ご挨拶
初めまして。まさとうと申します。養鶏と野菜栽培を営む農家です。
前職の機械部品メーカー営業職を辞め、農家になって17年が経ちました。
直売と業務用卸しで、卵と鶏肉と野菜を販売しています。 農産物の販売を通して一般の方とお話をすると、農業に関して先入観をもたれた方によく出会います。
例えば、野原でお日さまを浴びて歩く鶏を見た場合「健康的な飼育」と思われるのではないでしょうか。そういった飼育は消費者の印象が良いので、売ってゆくために都合が良いという事は理解しています。
狭い場所に押し込められた鶏をみて「かわいそう」と思われるのではないでしょうか。世界的な動物愛護の潮流もあって、消費者にそう受け取られても仕方のない映像も目にします。
しかし、生産者の頭の中までがその印象のままで良いかと言うと、私は別の考えを持っています。
実際の養鶏に求められることとか、アニマルウェルフェアとか、食の安全を守るといった場面では、その印象が足かせになると感じます。
なぜそう言えるのかという事は、事例・文献・データなどを使って説明してゆきます。
鶏とはどんな生き物なのか
まさとうの平飼い養鶏は、その問いかけから始まります。
「さんさんと降り注ぐ日光の下、広々とした大地に遊ぶ鶏たち・・・」
養鶏を始めた頃に思い描いた光景です。トップの写真は、そう信じてカーテンを全開にしていたころのものです。 ですが鶏を観察し、人に聞き、文献に当りながら辿り着いたのは全く違うものでした。
「運動場など取り壊し、鶏は一日中建屋の中に入れたまま、カーテンも出来る限り開けず、薄暗い環境を作る」
鶏は東南アジアのジャングル出身です。数羽あるいは数十羽からなる群れを作ってテリトリーを守ってきた鶏たちに広い場所は不要です。身を隠せてこそ安心できます。光も風も必要ですが、思ったより少なくても足ります。
雨に当れば風邪をひき、野鳥が来れば菌や虫をうつされます。
人間都合の安易なイメージからは導き出せない「解」がそこにあります。
いかに鶏の日常を掻き乱さず管理し、平穏に過ごしてもらうか
昼よりも重要な夜の過ごし方、ここをいかに快適に過ごしてもらうか
まさとうが問い続ける日々に終わりはありません
自己紹介
大学卒業後、メーカーで営業職として6年と少し勤めて退職。
約一年を視察や研修で費やし、2005年6月に開業。
途中3年間中断し、農業大学校に入学。園芸科(野菜栽培コース)を履修。
座学と実習で、野菜全般について学びました。
卒業論文のテーマは「トマトの果実品質向上」 肥料と仕立て方の面から、2本書きました。
そこから卒業・再開して9年目になります。
農場の場所は広島県の中ほどの向原町。
県北の三次盆地から広島市にかけての山並みにある、いわゆる中山間地と呼ばれる地域です。
平飼いという方法で鶏を飼育しています。
飼育密度は坪10羽。施設としては600羽まで飼育が可能ですが、鶏を入れ替える関係で常時飼育は300羽。
業というには規模が小さいですが、直売と業務用卸しで卵と鶏肉と野菜を販売しています。
直売は県道脇に簡単な小屋を建てて手売りするものと、グループ購入の方に配達するもの。
業務用は病院・クルーズ船・飲食店への配達です。
こちらは自分で発送する場合と、親族の会社に卸す場合とがあります。
養鶏を始めるにあたり、農場の整地や建屋の建築など、自作しました。
飼育やエサの研究は、独学あるいは仲間内の情報交換で高めてきました。
そういった経験をふまえて「小規模な農家」の実像をご紹介します。
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