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20歳から見たら40歳は完成して見える

私は今年47歳になります。40歳を超えてから、自分の年齢が分からなくなるぐらい、自分の年齢に興味が無くなりました。

来年48歳で、歳男などと言われてますが、私が20歳の時に見た40歳を超えた大人は、完璧に完成された大人で、確固とした地位を気づき、人生哲学を持ち、若者たちを導いていける威厳すら感じていました。

ちょっと悪く言うと、「完成しきったオジサン」「これ以上伸びないオジサン」というイメージがありました。自分たちとは全く違う世界に生きている「大人」だと思っていました。

でも47歳の私は今、「完成した感」ゼロだと言っても過言ではありません。全然完成してないどころか、修行していると言いますか、習作を作っていると言いますか、そんな感じです。常に「怒られるかも知れない」と思っています。40歳や50歳で完成させるには、時間が無さ過ぎだろ、とも思います。

一方で、20歳の若者から見たら、私は「完成された大人」に見えている可能性があります。部長クラスに見えてる可能性があるんです。信念を持って、ドーンと構えて、人生や世の中の陰影を見てきた大人、として見られている可能性があるんです。シガーバーで葉巻を吸っていると思われてる可能性もあるんです。

私が20歳の頃の大人の方が、実は精神年齢的にも成熟していて、私たちの世代が年齢に見合わず未熟なのか。それとも、その年齢になって初めて感じるギャップ感なのか分からないのですが、とにかく私には「完成された大人」の自覚がありません。

チャンスがあれば、「若手の登竜門」と書かれたコンクールやコンペにも積極的に出していますし、落とされて悔しがっています。今年も何本も落ちましたよ。オジサン、頑張ったんだ…

ちょっと話は脱線しますが、日本国内に「若手の」コンクールが多すぎる気がします。例えば、映画を作るチャンスをくれたり、映画の制作費を出してくれるコンペや、いろんな地域でやっている映画祭があるんですけど、必ずキャッチフレーズに「若手の」とか「若者の」とか入ってます。

そこの組織の立場を考えると、自分たちの組織から「新しい才能」を発掘し、世の中に出して行きたいんだと思います。もっと言うと、企画が通りやすいように「自分たちの手で新しい才能を発掘する」と企画書に書いて、そのコンセプトで予算を取ってしまったために、そうするしか無いのかもしれません。それにしても、「若手の発掘」が多すぎる気がするんです。

「0から1を生む」って、かなり素晴らしいコンセプトなんだとは思いますが、どこもかしこも「0から1を生む」じゃなくていいのにな、と思います。「2を3に育てる」「3を7に育てる」「5を10に育てる」みたいなコンクールやコンペがあってもいいと思うんです。コンクールだけじゃなく、いろんな助成などもそうです。

だって、0から1を発掘してばかりいたら、世の中に1が溢れてしまいます。そして1に対してこう言うんです。「チャンスを貰って1にしてもらったんだから、自力で10になるんだぞ。」と。

例えば、映画だったら少なくとも5とか6ぐらいにならないと食っていくことも出来ないと思いますが、1から5に行く道がありません。「道が無い」というか、「見えない」の方が正しいんですかね。

耳にタグを付けた産まれたばかりの子鹿をサバンナに放し、肉食獣に食われること無く、実力なのか偶然なのか分からないけど、数年後に発見される事が出来た大人の鹿に、やっとチャンスを与える感じと言いましょうか。

そこには、出来るだけ多くの子鹿が、大人の鹿になるチャンスを掴めるようなプログラムがありません。「実力主義」と言っちゃうのは乱暴過ぎる気がします。

何でこんな事を書くかと言いますと、私自身が直面している問題だったりするからです。例えば、ベテランではないけど若手でもなく、映画をやってる人には知られているぐらいの監督がエントリー出来るコンペって、日本ではほとんど見当たりません。企画や脚本が良ければ、1000〜2000万円ぐらい出す、みたいなのが無いんです。35歳〜55歳ぐらいの監督が胸張ってエントリー出来るコンペがあったらいいなあと、切に思います。「若手の登竜門」に恥ずかしがって出さなくてもいいように。

もう話を元に戻す気力が無くなってしまいましたが、ちょっとだけ戻しますよ。

何と言いますか、40歳になろうと、50歳になろうと、80歳になろうと、死ぬまで完成されないし、死んでも完成なんかされないんじゃないかと思ったんです。自覚として。

隣の芝が青く見えるのと一緒で、隣の人は完成してる様に見えますが、本人からしたら、完成している自覚なんて全く無いんだと思うんです。だから、中高年の皆さん、世間体とか気にせずに、みんなでどんどんチャレンジしましょう、そして失敗しましょう、と言いたいんです。失敗したら、みんなで共有して、笑えばいいんですから。

※写真は6年ぐらいまえに自撮りしたモノです。「ろくろを回した写真」を撮ってみようと思いまして。もちろん、この部屋には他に誰もいません。

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