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花の渦に乗って

 お越しいただきありがとうございます。
 最近の定形となってしまいましたが、2023年5月15日月曜日からの個展作品のご紹介です。
 展示と作品詳細は文末に掲載しておりますので、そちらもご覧ください。

後戸の花渦に乗って上方へそして下方へと絶え間なく行き交う生命

新しい命も消えゆく生命もひとつとなって久遠の時を巡りゆく

変わらないもの

 後戸の上部構造から花がむくむくと渦を巻きながら増殖しています。
 世界の繭から溢れ出た生命のエネルギーは四方八方へと増殖し、そとの世界へと生命の源を注ぎ込みます。大輪の花の姿をした繭からは瑞々しい花々が生まれます。
 この渦の先端に生じた少女は花の形を作り、この空間の外へ、新しい広い世界を求めて咲き誇っています。

 後戸のエネルギーが外の世界へ注がれようと下へ下へと降りていくのとは反対に、上方への運動も感じます。眷属の魚の一匹は明らかに上方へ向かっています。川を遡上するように何かが繭へと戻っていくのです。それは外の世界で果てた生命が、生まれ故郷を求めて世界の繭へと還っていくのです。

 外の世界へと向かうものと外の世界から還ってくるもの循環で成り立つ世界。全体から見ると生じるものも消え去るものも何もなく、ここには常に同じものが違う姿をまとって生じ、また消え、そして再び違う姿をまとう。この繰り返しがあるだけです。

 たまに感じる強い既視感、一度も会ったこともない相手に強く惹かれる感覚。もしかしたら別の生で会っていたのかもしれません。それどころか一体であったのかもしれません。生の渦は個体の別を超えて流れているのです。

白いお花の描画の話

 本作はこれまであまり描いてこなかった白いお花が主体となっています。例えば本作の下方にある赤い花は赤い色です。当たり前ですが(笑)しかし、白は周りの色の影響を強く受けます。そして花びらともなると色が透けます。そうなってくると描くときの要素が他の色に比べて格段に多くなるのです。というわけで結構苦労しました。
 白い芍薬や牡丹は黄色みの帯びた白、シャクナゲの白は縁にあるピンクを受けて全体的にピンクっぽくあり、かと言ってピンクになりすぎない絶妙な混色が要求されます。本作ではそういった色味も見て頂きたいポイントのひとつです。
 
 たしか浮遊する少女を初めて描いたのは本作の方に、上方から伸びてくるお花の下に漂う少女でした。このような浮いている少女を構成することによりずいぶんと世界が広がりました。普通に人物を描こうとするとどうしても地面とセットにせざるを得なくない相当な制約があります。それがなくなることで技術的、構成的な幅だけではなく、絵画の世界感そのものが広がることとなりました。
 参考までに件の作品の画像も載せますね。

 最後まで読んでくださりありがとうございました。
  それでは今後の記事も宜しくお願い致します。

【作品情報】

タイトル:生命の花が渦巻く (後戸 _a_ 久遠の増殖)
サイズ:12 号変形(606*333mm)
技法:パネルに油彩
価格:330,000 円(300,000 円 + 税)

【展示情報】

『平林孝央個展 “世界”の繭』

会期:2023.5.15(月)〜21(日) ※会期中無休
時間:11:00〜19:00  ※最終日は16:00まで
会場: 銀座月光荘・画室Ⅰ 〒104-0061東京都中央区銀座8-7-2 地下1階
   (〒104-0061 東京都中央区銀座8丁目7−2 1F・B1F 永寿ビル)


購入など作品に関するお問い合わせは下記画廊までお願い致します。
◆ギャラリーサイト(すみれ画廊)
http://gallerysumire.squarespace.com/jp/shop/takahiro-hirabayashi2023

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