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作り物の世界

 今回も記事にお越しいただきありあがとうございます。
 2023年5月15日月曜日からの個展作品のご紹介です。
 展示と作品詳細は文末に掲載しておりますので、そちらもご覧ください。

はじまりの庭 (岐 _∅_ 楽園の聖域)

ここから楽園ははじまった

しかしいまやここを訪れるものはいない

理想郷の先には何があるというのだろう

作られた世界

 ここは作り物の世界です。空に浮く天体もあまりにも近く後ろの壁に影を落とし、動物は関節がボールジョイントでフィギュアのようです。また金魚も吊られているかのよに浮いています。背景の空でさえも書割(舞台などの背景画)かもしれません。なによりも少女は一体何者なのでしょうか。彼女も人間ではなくお人形さんなのかもしれません。
 この世界はここに住む人達が苦しまないように、嫌なこととは一切無縁でいられるように作られた世界です。ここで暮らしていた人々はどこへ行ってしまったのでしょうか?少女の後ろにぽっかりと口を開けたくらい穴の先にいるのでしょうか?

 本作のタイトルにもあるように、この地は楽園のはじまり/ゼロ地点です。ここから楽園は四方八方に拡張されていきます。少女の背後の穴にどのような世界が広がっているのか、皆様ひとりひとり色々な風景を思い浮かべてみてください。

理想郷の末路は?

 本作は、疑問を投げかける絵です。
 理想的な環境に身をおいた人類はどうなってしまうのか?あらゆる危険から隔絶された人はどのように変質してゆくのでしょうか?
 私たちが暮らしているこの世界にしても日に日に潔癖的な性質が強まり、すべての事柄が人類の意思によって制御できるという慢心があるように映るのです。そのことに対して少なからず違和感を感じています。私は記号化(象徴化)しきれない何物かに興味を持ち、それを表現しようと思い絵を描いています。人が未だに理解しきれない残余に関心があるので、全てが制御できてしまう世界はおもしろみ欠けますし、それ以上に危険をはらんでいるのではないかと思うのです。
 求める理想郷が最終的にディストピアだったというお話はSF作品をはじめ、よくあるテーマです。その皮肉めいたところが面白いというのもありますが、それ以上に私たちの進む道にとって示唆的なのものを含んいるのではないかと思います。

こちらに同系統の作品の記事も貼っておきます。よろしければご覧ください。

 

 最後まで読んでくださりありがとうございました。
 今回は改めて個展に出品する作品の相関図を掲載します。実はそれぞれの作品はゆるやかに通時的に関連づいています。そのような視座からも作品をご覧ください。
 それでは今後の記事も宜しくお願い致します。

【作品情報】

タイトル:はじまりの庭 (岐 _∅_ 楽園の聖域)
サイズ:M10 号(530*333mm)
技法:パネルに油彩
価格:330,000 円(300,000 円 + 税)

【展示情報】

『平林孝央個展 “世界”の繭』

会期:2023.5.15(月)〜21(日) ※会期中無休
時間:11:00〜19:00  ※最終日は16:00まで
会場: 銀座月光荘・画室Ⅰ 〒104-0061東京都中央区銀座8-7-2 地下1階
   (〒104-0061 東京都中央区銀座8丁目7−2 1F・B1F 永寿ビル)


購入など作品に関するお問い合わせは下記画廊までお願い致します。
◆ギャラリーサイト(すみれ画廊)
http://gallerysumire.squarespace.com/jp/shop/takahiro-hirabayashi2023

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