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発芽玄米使用酒母について

割引あり

こんにちは。ヒライユウキです。
家族の創業地である100年の時が流れる家「日詰平井邸」に残された醸造所を2024年1月に復活させ、お酒を造っています。

平六醸造が造るすべてのクラフトサケに使用している副原料「発芽玄米」について、多くの方からお問い合わせを頂戴しております。

非常にざっくり説明すると、もち米の玄米を水に浸して発芽させたものを麹にし、それを利用して酒母を仕立てています。特に企業秘密というわけではないのですがとてもややこしいので詳しい説明は省略しておりました。

しかしながら、この製法による発酵は Re:vive(リヴァイヴ)layer(レイヤー)ともに意味的にも香味的にも大きなアイデンティティとなっておりますのでこの note に少し詳しくまとめてみようと思います。


なぜ発芽玄米?

平六醸造が取得した「その他の醸造酒」製造免許で仕込むクラフトサケは、「清酒」に該当しないために、主に下記の2点で清酒製法と差別化しなければなりません。

① こさない(どぶろく)
② 副原料を使用する

平六醸造ではどぶろくは製造しておりませんので主に「②副原料を使用する」必要があります。

私はかつて8年間日本酒を造っていました。20代のすべてを捧げ、家族や蔵人たちと切磋琢磨し目指す美酒を追い求めてきたのです。発酵や最終的な香味に影響が少ない(=限りなく日本酒に近い)副原料はたくさんあります。

しかしせっかくもう一度チャンスをもらえるならば、清酒カテゴリでは到達できない、表現できない領域にチャレンジできる可能性があるものが良いなと思っていました。

そこで製法の共同研究にご協力いただいている岩手県工業技術センターの先生方にアドバイスをいただきながら選択したのが発芽玄米です。

灯台下暗しです

そうなんです。結局、米と水のお酒なのだから日本酒に近い香味が楽しめるのは当たり前なのですが、本当のねらいは玄米に含まれている栄養素にあります。

玄米にはビタミンやミネラル、アミノ酸などの栄養がたくさん含まれています。食用として取り入れている人も多いと思います。食物繊維もたっぷりなので。

その栄養を発酵の主体である微生物たちに供給すること。すなわち活力を高めることで代謝物である香気成分や有機酸のバリエーションを豊かにすること。奥行きがあり鮮やかな、私が目指してきた「吟醸酒」を高い領域で表現できるのではないか、という仮説からはじまったのです。

結論を言ってしまうと、その仮説はそのまま正しいばかりか、思わぬ副産物を得ることができました。

醸造用乳酸無添、生酛系速醸

さて、実際にどのように発芽玄米を使用しているかというと、

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