お金のこと何も分からないままフリーランスになっちゃいましたが税金で損しない方法を教えてください!を読んでみて

1.この本を手に取ったきっかけ

新卒で企業に勤めて3年目になるが、2年以内にサラリーマンを辞めて個人事業主になる予定である。そんな中、お金についての知識が乏しいので税金について分かりやすくかつ読みやすい本が読みたかったので、この本を選んだ

2.内容要約

プロローグ

フリーで漫画家になったあんじゅ先生だが、税金のことについてさっぱり分からないので、税理士の大河内先生に教えてもらう物語。

1章 何が違うの?フリーランスと会社員

会社員の時は給料から税金が天引きされていたが、フリーランスは自分で管理して計算して税金を納めなきゃいけない。

源泉徴収票 会社が年末調整をして、会社があなたに払った給料から税金や社会保険料として代わりに払ってくれた額を教えてくれる紙。

フリーランスと会社員の違い

フリーランス(全部自分でやる)
収入 売上(事業所得)
税金の計算 自分で確定申告
納税 自分で納付
社会保険 自分で全額負担

会社員(会社にお任せ!)
収入 給料(給与所得)
税金の計算 会社が年末調整
納税 会社が納付
社会保険 会社が半分負担

フリーランスの方は年々増えているが、まだまだ信用が低く、家が借りづらかったり、クレジットカードが通りづらい。
だからこそ税金について学んでいく必要がある。

フリーランスになる!と決めたら何をすべきか

・開業準備で使った経費のレシートや領収書を保管する
開業前に使った仕事関連の経費は、後々「開業準備費用」ということで確定申告に反映できる

・名刺を作る
・クレジットカードを作る
・退職前に引っ越しの契約をする

開業したら何をすべきか

・開業届け
基本は開業後1ヶ月以内に提出
事業がまだ軌道に乗っていなくても必ず出しておこう
・国民年金と国民健康保険の手続きをする

2章 誰も教えてくれない税金の話


まず知っておくべき4つの税金の違い


4つの税金の違い
所得税 1年間稼いだ所得に関してかかる税金
税金の行き先 国
税率 税率5%〜45%(累進課税)
税金計算 自分で計算して税務署に確定申告
納付期限 翌年3月15日

住民税 自分が住んでいる都道府県&市町村に払う税金
税金の行き先 地方自治体
税率 原則一律10%
税金計算 確定申告を元に、自治体が計算(通知がくる)
納付期限 翌年6・8・10月と翌々年1月(4回払い)

事業税 所得に対してかかる税 職種によっては免税
税金の行き先 地方自治体 
税率 0%〜5%(職種による)
税金計算 確定申告を元に、自治体が計算(通知がくる)
納付期限 翌年8・11月(2回払い)

免税職種 芸術系 林業 農業 医療
第一種事業 サービス業など 5%
第二種事業 畜産業 水産業 薪炭製造業 4%
第三種事業 5%か3%
5% 医療関係 弁護士 理容業 コンサル デザイン
3% あんま マッサージ業

開業届や確定申告の職業欄でチェックされてあとは役所判断となる

消費税 
税金の行き先 国・地方自治体
税率 前々年の売上が1000万を超えた場合に計算
税金計算 自分で計算して税務署に確定申告
納付期限 翌年3月31日

会社員だと所得税や住民税が毎月引かれている
所得税…1月から12月までの給与から今年分が毎月天引き
住民税…6月から翌年5月の給与から前年分が毎月天引き
→前年の稼ぎが大きければ大きいほど引かれるから要注意

課税所得売上ー経費ー控除

控除は種類が複数あるが、今の自分に適用されるのは基礎控除48万円と生活などに関する控除だけ

税率表
5% 195万円以下
10% 195万円超330万円以下
20% 330万円超695万円以下
23% 695万円超900万円以下
33% 900万円超1800万円以下
40% 1800万円超4000万円以下
45% 4000万円超

節税への近道は課税所得を減らすこと
つまり…
①経費をたくさん作ること
②控除をたくさん使うこと


源泉徴収 
報酬が発生した時点で国が所得税を先取する仕組み(個人間では発生しない)確定申告で戻ってくる可能性がある

3章 リスクに備える!社会保険

社会保険制度 
病気や老後などリスクに備える公的な補償
医療保険、年金保険、介護保険など

フリーランスと会社員では入れる保険が違う

フリーランス
医療年金 国民健康保険
年金保険 国民年金

保険料の負担 自分で金額負担
加入方法 各市区町村で自分で手続き
扶養制度 なし(夫or妻や子供の分も人数分保険料がかかる)

会社員
医療年金 健康保険
年金保険 厚生年金
保険料の負担 会社が半分負担
加入方法 会社が手続き
扶養制度 あり(夫or妻や子供は保険料が0円)

社会保険で支払った分は全額控除になる
会社員からフリーランスになると国民健康保険に切り替えが必要で
保険料は前年度の所得に応じて決まるので
脱サラ組が1年目に支払う保険料は高額になる可能性もある。
その保険料を安くする方法は次の3つである。
①扶養に入る
②国民健康保険組合に入る
③任意継続する


将来もらえる年金がフリーランスは会社員より少ない
フリーランス平均 5万5809円 会社員平均 14万2467円
会社員より年金が少ない分、フリーランスにも年金に上乗せして任意に加入できる制度がある。(併用はできないが掛け金は全額控除になる。
①国民年金基金
一定の掛金を負担することで、会社員の厚生年金のように自分で2階建て部分を上乗せできる制度。
掛金は加入時の年齢や性別にもよるが、自分で設定できる。
ただし途中での解約ができない。
②付加年金
月額400円と手軽な掛金で、年金を上乗せできる制度
「200円×納めた月数」の分だけ、もらえる年金(年次)が増える
2年間年金を受給すると元が取れる仕組みになっている。



4章 ぶっちゃけどうなの?経費と領収書

確定申告 所得税を自分で計算して国に申告すること
①自分の所得税が決まり
②他の税金額(住民税など)や社会保険料が決まる
③所得税を払う(納付)多く払っていた分は戻ってくる(還付)

確定申告をしないと脱税になる恐れがある
税務調査では怪しい経費がないか、売上を少なめに申告していないか見られる

どこまで経費になるかの基準
・その人の仕事に関係しているか
・世間の常識的にどうか
基本は売上に貢献しているかどうか

自宅で仕事をしている場合、家賃や光熱費も経費になる
家事按分 
仕事もプライベートもまたがる費用について仕事で使っている分だけ経費になる
割合は広さや時間で割合を出す(部屋のスペースをどれくらいの広さで使ったか、1日のうち何時間作業スペースとして使ったか)

経費で認められやすいもの一覧
1人で作業した時のカフェ代(会議費)
2人以上で打ち合わせした時のカフェ・飲食代(会議費・交際費)
インタビューなどでのカフェ・飲食代(取材費)
仕事相手との食事や飲み会代(会議費・交際費)
仕事相手への手土産、お中元、お歳暮、ご祝儀など(交際費)
コワーキングスペースの利用料(会議費)
セミナーやイベントの参加費(交際費・研修費)
クラウドファンディングの支援金(交際費・消耗費・諸会費)
有料メールマガジン・noteなど(新聞図書費)
「やよいの青色申告」などの会計ソフト(消耗品費)
商売繁盛を祈願した祈料(雑費)

レシートは残しておくべきだし、経費外のレシートも残しておくと印象が良くなる。

5章 いざ!確定申告

確定申告には4種類ある
・届出必要なし
白色申告、控除0円→帳簿が簡単
・届出必要あり
青色申告、控除10万円→帳簿が簡単
青色申告、控除55万円→帳簿が大変
青色申告、控除65万円→帳簿&電子申告が大変
→青色申告承認申請書(p.120)の複式簿記を絶対に選択すること。

青色申告のメリット
・身内に給料を払って経費にできる(税務署に届出が必要)
・10万円以上30万円未満の高額なものを一括で経費にできる
・赤字を3年間繰り越せる
青色申告するには開業届と青色申告承認申請書を提出しなければならない

◉確定申告の流れ
1月1日〜12月31日に応じた所得にかかる所得税を計算する

書類(青色申告決算書、確定申告書B)を提出して申告する

納税する
※2月16日〜3月15日までに書類を提出すること

●青色申告の流れ
①経費に使った領収書を保存

②日々の取引を帳簿につける(1月1日〜12月31日)

③帳簿をもとに青色申告決算書(4枚)を作成

④確定申告書B(2枚)を作成

⑤税務署に提出=確定申告!

【会計ソフトで帳簿をつける流れ】
基本的にはどの帳簿も日付、金額、勘定科目、簡単な取引内容を記載すればOK

日々つけるメインの帳簿
・現金出納帳
現金のやり取りを記録する
使った経費はここに記載する
他にも現金取引で入ってきた売上があれば記載を忘れずに
日々つける習慣をつけると後で楽になる
・預金出納帳
預金のやり取りを記録する。通帳をそのまま転機でOK

年末年始の処理だけでいい帳簿
・売掛金元帳
売上の未収状況を記録する。
「売掛金」は簡単に言うと、「売上」として確定しているけど、まだ入金されていないもの。請求書を出した時点や、納品時点で記載しよう
仕事内容によって、帳簿で月々の正確な売上を把握する必要がなければ、年末時点で処理するだけで大丈夫
・買掛金元帳
仕入れの未払状況を記録する。
「買掛金」は簡単に言うと、支払いが確定しているけど、まだ払っていないもの。請求書をもらった時点などで記載しよう
こちらも帳簿で月々の正確な仕入を把握する必要がなければ、年末時点で処理するだけで大丈夫


6章 もっと知りたい!節税&お得なテクニック

フリーランスは退職金がなく、国からもらえる年金も少ない
そんな状況を救ってくれる救済措置がある

小規模企業共済
毎月自分でお金を積み立てて自分が事業を辞める時に受け取れる仕組み
普通の銀行より金利が高く、節税になる
・日本一の高利率
・掛金額を自由に設定
・最強の節税効果

普通預金と小規模企業共済を比べてみると…
例えば30歳から60歳まで30年間、毎月7万円(小規模企業救済の上限額)を貯め続けるとする

7万円×12万円=84万円(1年間)
84万×30年=2520万円(30年間)

【普通預金に預けた場合】
単純計算すると、
30年間預けて、利息は4000円に満たない。

【小規模企業共済に預けた場合】
中小機構のホームページにある「小規模企業共済制度加入シミュレーション」で資産ができる。条件を入力すると、受取額は約3000万円
30年間預けて、利息だけで約500万円になる!


iDeCo(個人型確定拠出年金)
毎月自分が決めた額を積み立てられる年金がある

小規模企業共済とiDeCoの違い

小規模企業共済
掛金 1000〜7万円(500円単位)
掛金の変更 いつでもOK(途中解約できる)
運用 自分ではしない
利回り 約1〜1.5%
手数料 かからない
節税効果 あり(全額控除)
受給できるタイミング 65歳〜(20年以上加入の場合)、廃業時、解約時など
受給の際の税金 課税される(税制優遇あり)
申し込む 金融機関、委託団体
こんな人におすすめ 確実に貯められてローリスク、自分の退職金として貯めたい人向け!

iDeCo
掛金 5000〜6万8000円(1000円単位)
掛金の変更 年に1回(途中解約できない)
運用 自分でする
利回り 運用先による
手数料 かかる
節税効果 あり(全額控除、運用利益非課税)
受給できるタイミング 60歳〜
受給の際の税金 課税される(税制優遇あり)
申し込む 金融機関
こんな人におすすめ ハイリスク・ハイリターン+αの年金として貯めたい人向け


消費税を納める必要の有無は以下で決まる
前々年の課税売上が
1000万超→納める必要あり
1000万以下→納める必要なし
(消費税を納める義務のない人で消費税を請求してOK)


いくら利益が出たら法人化すべきか
税理士に相談の目安は年間利益600万円を超えたあたりで
節税以外の理由で(信用問題など)法人化を迷っているならすぐにしてもOK


7章 実は得する?副業と確定申告

会社員で副業をやっている場合でも副業で稼いだ分は確定申告する必要はある。
おさらいすると
会社員の所得は「給与所得」フリーランスの所得は「事業所得」
副業の種類例
給与所得→アルバイト(本業以外の会社から給与発生)
譲渡所得/配当所得→株
事業所得/雑所得(事業として継続しているかで判断)
→YouTube、ブログ、メルカリ、仮想通貨、FX取引など
不動産所得→家賃収入

副業でも確定申告をするメリット
・イラストや原稿など企業との仕事が多い場合
→源泉徴収で引かれている分(ギャラの約10%分)が帰ってくるかも
・経費がたくさんかかる場合(事業所得として申告)
→経費がたくさんで所得がマイナスであれば既存の給与所得と相殺できる

【重要】副業が会社にバレない裏技

副業が会社にバレる一番の原因は住民税
会社に副業がバレるのは副業分の所得に対しての住民税が会社に通知され、給料に対しての住民税が高すぎると見られた時。

対策としては、副業の稼ぎ分を確定申告する時に住民税を通知してくれる役所に対し、「副業分と会社分の住民税を分けて発送して下さい」とお願いする。ただ見落とされることもあるので、確定申告書を提出した後に市区町村役所に確認するべきである。

副業の確定申告作業は、フリーランスとさほど変わらないが、開業届や青色申告承認申請書は通常通り提出することをお勧めする。

一点変わるのは、本業の源泉徴収票に記載してある情報を、確定申告者Bに記載すること。


3.感想

マンガで描かれているのでかなりわかりやすく理解できた。この一冊で税金の基本的なことは理解できるので入門書としておすすめである。今後は税金を意識してお金を稼ぎに行く。

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