【極私的】2020年ドラフト指名寸評【セ・リーグ編】

■巨人
菅野智之の真の後継ぎは山崎伊織か

早い時期から1巡目指名を公言していた佐藤輝明(近畿大)を外すと、弱体気味のリリーフの補強に方向転換して、ハズレ1位で平内龍太(亜細亜大)を獲得。交渉権獲得決定の原辰徳監督の表情を見ると、故障明けとはいえ即戦力型の豪腕投手を獲れたことがよほどうれしかった様子。大学時代の起用法を見るとリリーフ適性がたかそうなので「菅野智之の後継者」発言はリップサービスだろうと判断する…というか、そうであって欲しい笑。

むしろポイントは2巡目指名の山崎伊織。6月にトミージョン手術を受けたので、来季も実戦で投げられるのは早くてシーズン後半からが濃厚。それでもボールの質はドラフト1位クラスの逸材で、スケール感もある。メジャー挑戦が噂されるエース、菅野の真の後継ぎはこちらではないかと見る。同じ東海大学出身だしね。

3位以下の選手たちは即戦力というよりも素材重視。12名も指名した育成枠の選手たちと同様、この中からモノになる選手が1~2人出ればいいといわんばかりの物量で押しまくるソフトバンクの育成スタイルを踏襲した感が。資金力のあるチームらしい指名ですね。

■中日
3年連続地元枠1巡目指名の意図は?

大学生が人気になる年は得てして一本釣りを狙う傾向があったが、今年もその伝統通り、高校ナンバーワン投手と評判の高橋宏斗を一本釣り。根尾昂、石川昂弥に続き3年連続で地元出身の高校生を狙い撃ち。

それだけでなく2位指名でも愛知出身の森博人(日体大)、5位で加藤翼(帝京大可児)を指名して地元枠指名を敢行した。1位の高橋はともかく、ほかの2人は愛知出身でなかったら獲らなかったのでは?という気も。もしかして千賀滉大を獲り逃したのが尾を引いているのかな?

とはいえ、高橋宏斗は甲子園が開催されなかったので、知名度はイマイチだけど、順当だったら昨年の奥川恭伸のようになっていたはず。下手な大学生よりも完成度も高そうで、新人王のダークホースとなるかも。

■阪神
佐藤輝明獲得でダイナマイト打線復活か

昨年が高校生中心だったからというわけではないだろうけど、今年は高校生の指名はわずか1名。ただ、指名選手はどれもチームの弱点をピンポイントに埋めていて不満が全くない。要するに昨年は将来性重視、今年は即戦力型で攻めるみたいな2年に渡るドラフト戦略が昨年の時点でできていたのかも。やるじゃん、阪神!

他の3球団とは違い、公表しなかったからなんかズルい感じ(笑)もするけど、4球団競合の佐藤輝明(近畿大)を引き当てたことでチームの未来図が大きく開けた。佐藤を獲ったことで福留孝介や糸井嘉男らベテラン揃いの外野陣はガラリと変わるし、大山悠輔とのクリーンアップ形成も期待できるようになった。というかこの並びが実現すれば、阪神ファン増えるんじゃない?というくらいロマンがある。

2位、3位は即戦力タイプの投手を指名。実戦型の伊藤将司(JR東日本)は能見篤史の穴を埋めそうで、荒れ球系の佐藤蓮(上武大)も短いイニングなら威力を発揮しそう。


■DeNA
地味ながら手堅い独自路線の指名

1巡目指名の際、失礼ながら「1位指名でそこ!?」となったのが入江大生(明治大)。作新学院時代の印象が強いからイマイチピンとこないけど、投手としても即戦力の本格派右腕だとか。ただ、失礼を承知で言えばDeNAは伝統的に明治大学の選手を獲る傾向があるから、そのパイプを生かすための指名という感が。最悪、野手転向という奥の手があるし←

「うまくやったな~」と個人的に評価したいのが2位の牧秀悟(中央大)。リストが利いた打撃が魅力で、プロとしては中距離打者になりそうだけど、チームには宮崎敏郎らお手本にしやすい選手が多いのも魅力的。

また、3位で地元横浜出身の長身左腕、松本隆之介(横浜)4位で高校球界を沸かせたスラッガー、小深田大地(履正社)を手堅くゲット。他のチームと比べると地味ながら全体的に手薄だった投手陣と二遊間を手堅く埋められてよかったかなと。


■広島
強い広島を彷彿とさせる即戦力狙い撃ち指名

故障者続出で苦しんだチーム状況を考えると、即戦力の投手が喉から手が出るほど欲しかったはず。実際、5位まで投手、それも4位の小林樹斗(智辯和歌山)以外は大卒、社会人卒で固めた辺り広島の切実な投手不足がうかがえる。

競合必至の早川隆久(早稲田大)を避けて、本格派右腕の栗林良吏(トヨタ自動車)を単独指名。大学時代からドラフト候補だったように完成度では今年のドラフト指名選手ではトップランクに挙げてもいいほど。森下暢仁に続いて2年連チャンでの新人王獲得も夢ではないはず。

2位森浦大輔(天理大)、3位大道温貴(八戸学院大)も先発として期待が持てるけれど、細身な体格な森浦よりは大道の方がデビューが早いかも。森浦は5位の行木俊(徳島インディゴソックス)とともに体作りに励んでもらいましょうか。

■ヤクルト
クジ2連敗でも即戦力を求めたブレなさを評価

1巡目で早川隆久(早稲田大)を競合で外し、ハズレ1位でも鈴木昭汰(法政大)を指名し、それが外れたら木澤尚文(慶応大)ととにかく即戦力タイプの投手を敢然と指名。「なにがなんでも大学生投手を獲るんだ!」という強い意志は感じたし、それは評価すべきかと。

2度外した後のドラ1とはいえ、最速155キロ右腕の木澤が獲れたのはハッキリ言って儲けもの。慶応ボーイの割に気持ちを前に出すタイプでヤクルトにはあまりいないタイプの投手。ただ、故障がちな選手なだけにヤクルトで大丈夫?という不安もなくはない。

2位の山野太一(東北福祉大)も即戦力型の左腕で背丈から石川雅規っぽさがあるが、技巧派というよりは本格派の印象。ただこちらも肩に故障経験があるので再発しないことを祈るばかり。

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