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【じーじは見た!】 後編:IPCC AR6に向けてのWG1報告書 ~気温上昇の速度がこれまでの予想より早そうだ⁉~

IPCC(気候変動の政府間パネル)が発表している気候変動問題に関する評価報告書は、2022年に第6次評価報告書(AR6)が発表されます。

AR6は3つのWG(ワーキンググループ)の成果発表ですが、まずWG1(第1作業部会:気候システム及び気候変動の自然科学的根拠についての評価を担当)の報告書が発表され、8月9日に環境省のHPに内容が公表されました。

じーじは、この発表内容の意味合いを3つのポイントでとらえました。

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1)現在の地球温暖化は、人間が化石燃料を燃やしてきたことが原因であると断定する。【脱炭素社会の要請】

2)産業革命前から既に地球の気温は1.1℃上昇しており、2040年には1.5℃上昇するであろう。【自然災害激甚化への備えの要請】

3)2050年までにカーボンニュートラルを実現し、早い段階でカーボンネガテイブを実現すれば、2100年に1.5℃~2.0℃上昇に抑えられる可能性がある。【温室効果ガス排出削減加速の要請】

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1)については、前編で話をしましたので、前編を読んでからつづきを読んでいただいた方が分かり易いと思います。

今回は、2)3)についてです。


✅自然災害激甚化への備えの要請⁉

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👆環境省資料より抜粋

上のグラフは、WG1において大気中の炭素濃度が2100年までの間でどのような経路を通るかをシミュレーションしたものです。

900以上の経路シミュレーションの中で代表的なものが示されています。

SSP1-1.9だとか、SSP1-2.6と書いてあるのが、経路番号です。

企業が行うTCFDシナリオ分析において2℃シナリオだとか、4℃シナリオといった想定をしている世界の気温上昇は、SSP1-2.6であったり、SSP5-8.5だったり炭素経路が想定している気温上昇です。

IPCC(気候変動問題の政府間パネル)だけでなく、IEA(国際エネルギー機関)のシナリオも使って企業での分析が行われています。

例えば、SSP1-2.6におけるハザードマップがどうなっているのかをIPCCから入手して、自社の工場のロケーションを見て備えを考えるといったことを企業は実施しているのです。

さて、WG1は、工業化前と比べた世界平均気温を次のようにシミュレーションしています。

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2021~2040 年の世界平均気温は、
 SSP1-1.9:+1.2~1.7℃(約 1.5℃)
 SSP1-2.6:+1.2~1.8℃(約 1.5℃)
 SSP2-4.5:+1.2~1.8℃(約 1.5℃)
 SSP3-7.9:+1.2~1.8℃(約 1.5℃)
 SSP5-8.5:+1.3~1.9℃(約 1.6℃)

* SSP1-1.9 では、1.5℃を 0.1℃より超えない範囲で一時的にオーバーシュートする。

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2041~2060 年の世界平均気温
 SSP1-1.9:+1.2~2.0℃(約 1.6℃)
 SSP1-2.6:+1.3~2.2℃(約 1.7℃)

 SSP2-4.5:+1.6~2.5℃(約 2.0℃)
 SSP3-7.9:+1.7~2.6℃(約 2.1℃)
 SSP5-8.5:+1.9~3.0℃(約 2.4℃)

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2081年~2100年の世界平均気温
 SSP1-1.9:+1.0~1.8℃(約 1.4℃)
 SSP1-2.6:+1.3~2.4℃(約 1.8℃)

 SSP2-4.5:+2.1~3.5℃(約 2.7℃)
 SSP3-7.9:+2.8~4.6℃(約 3.6℃)
 SSP5-8.5:+3.3~5.7℃(約 4.4℃)

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上記を見ていただいて気が付きましたか?

2040年までは、どのシナリオで進んでも1.5℃の気温上昇は既に分かっている未来なのです。

厳しい対策を取れば、2040年以降で徐々に差がつき始め、2100年では大きな差となるのです。


【1.5℃上昇することが意味することは?】

WG1は、科学的な研究成果を発表しているだけなので、これを受けて政治がどのように社会を誘導していくのかを決めるわけです。

こんなことが記してあります。

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●陸域のほとんどで1950年代以降に大雨の頻度と強度が増加(人為起源の気候変動が主要な駆動要因)

● 人為起源の気候変動は、大気蒸発散需要の増加を通じて、いくつかの地域における農業及び生態学的干ばつの増加に寄与

○温暖化した気候では、極端な雨期又は乾期、並びに気象の極端現象の深刻さが増大

○ 世界規模では、地球温暖化が 1℃進行するごとに、極端な日降水量の強度が約 7%上昇

● 強い熱帯低気圧(CAT3~5)の発生割合は過去 40年間で増加(内部変動だけでは説明できない)

● 北西太平洋の熱帯低気圧は、その強度のピークに達する緯度が北方に遷移(内部変動だけでは説明できない)

● イベント・アトリビューションや物理学的な理解は、人為起源の気候変動が熱帯低気圧に伴う大雨を増加させたことを示唆

○ 非常に強い熱帯低気圧(CAT4~5)の発生割合と強度最大規模の熱帯低気圧のピーク時の風速は、地球規模では、地球温暖化の進行と共に上昇

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今年も熱海での土石流災害、九州や中国地方の線状降水帯被害など自然災害が頻発していますが、WG1が示唆しているのは『もっと自然災害の頻度も規模も激甚化していく』ということです。

今後10年、20年の話ですから、私たちはのんびりしていられないのです。


温室効果ガス排出削減加速の要請⁉

一番大切なことは、今後10年、見えている気温上昇は、どの経路、つまりどの対策をとっても大きな変化はないということです。

これは「反対」「反対」と同調圧力で変化を嫌がる人々には都合が良く、改革を目指す人には都合の悪い変化です。

大きな船が主舵一杯切っても直ぐには方向が変わらないのと同じで、気候変動問題も脱炭素政策という国民に痛みを伴う政策を取ろうが、化石燃料を燃やし続ける政策を続けようが、当面の10年~20年は、厳しい政策を取った時に見合う成果(気温上昇の抑制)を実感できないということなのです。

既得権益者は、直ぐに成果がでないのなら国民受けしない政策を求めるハズがないのです。

既得権益者の方々の年齢を考えると自分が生きている間が安泰ならと考えてしまうのは想定内です。

だから四半世紀以上GDPが伸びてこなかったのです。

既存野党ではバックキャスティング思考も方法論もなく、失言切り取りだけで、なんでも反対するだけです。

だからこそ、じーじは、現象でなく理屈で考える「Z世代」に期待しているのです。Z世代の若者が2025年にきっと政治を変えてくれる。

そうじーじは信じていますよ。

いつもの決め台詞。 
頑張れZ世代!


最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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