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【じーじは見た!】 前編:COP26では何がどう決まったの?

10月31日~11月12日にイギリスグラスゴーで開催されましたCOP26(気候変動枠組み条約締約締約国第26回会合)において、いったい何がどう決まったのでしょうか?

開幕したばかりの頃は日本のマスコミもグレタさんの動きや会場の雰囲気を伝えながら気候変動問題をとりあげていましたが一過性でした。

総選挙後第2次岸田内閣が組閣され、岸田さんも慌ただしい政治日程の中で0泊2日でイギリス入りして官僚が準備したスピーチ原稿を読んでトンボ返りでしたので話題性に欠けました。

しかし、地球規模の気候変動という問題に世界が協調しようという動きをしっかりと受け止めないといけません。

今回は、政府発表のCOP26の成果報告のペーパーをじーじなりに皮肉も交えて解説します。・・・年内に投稿できてよかった😊


✅まずお題目を確認⁉

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上記の日本政府代表団のCOP26結果概要👆は、A4で6頁のペーパーです。
1.概要、2.世界リーダーズ・サミット、3.交渉結果概要、4.閣僚級二国間会合等、5.議長国プログラム、6.我が国の取組の発信・サイドイベント、のタイトルが付けられています。

この内「3.交渉結果概要」に注目してみましょう。サブタイトルは次のとおりでした。

(1)COP・CMP・CMA 全体決定

(2)パリ協定第6条(市場メカニズム)

(3)透明性枠組み

(4)NDC 実施の共通の期間(共通時間枠)

(5)適応・損失と被害(ロス&ダメージ)

(6)気候資金

(7)その他

この7つのお題目に注目してみましょう。

それと「5.議長国プログラム」の中で日本も署名した「森林・土地利用に関するグラスゴー・リーダーズ宣言」について話を進めたいと思います。

✅COP、CMP、CMAって何?


COPは、気候変動枠組み条約締約国会議のことを指していてCOP26ということで26回目の会合となりました。

IPCCという気候変動問題の政府間パネルから出てくる科学的知見に基づく将来の気候シミュレーション情報を基に政治的決断をする会議がCOP26です。

COP26と一緒に、京都議定書締約国の第16回会合(CMP16)もあり、パリ協定締約国の第3回会合(CMA3)も同時に開催されたのです。

外務省のHPから会議体系を抜粋👇

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結局、COP26の話題の中心は「パリ協定」であり、パリ協定を実効性のあるものにする議論とは「世界共通のルールブック」をどう機能させるかということでした。

COP26、CMP16、CMA3の結論は、日本政府の言葉を借りると下記のとおり👇です。要約すると「産業革命後の気温上昇を1.5℃に抑える努力をしましょう」ということです。

我が国からは、パリ協定の 1.5 度努力目標の追求は、国際社会が一致団結して取り組まなければならない課題であり、全締約国に取組を求めることが必要であること、今後の 2030 年までの「勝負の 10 年」における全締約国のさらなる行動を呼びかける内容とすべきこと、必要に応じて、1.5 度努力目標に整合的な強化された NDC 及び長期戦略の提出を求める文言が必要であること等を提案した。

✅日本政府が自画自賛するパリ協定第6条とは⁉


日本政府が自画自賛している第6条(市場メカニズム)とお題目の3番目「透明性枠組み」は、2030年までに自分でこれだけCO2を削減しますとNDCで宣言したことが守れなかったら他国から排出権を買ってきてでも達成しなさいねという仕組みです。

日本は正々堂々としているというのか、自ら提案して他国から排出権を買ってでも達成しますと言っているようなものです。

また、透明性のある枠組みはフェアな競争のために重要なメカニズムだとも言えます。

つまりCO2排出量という非常に計測が困難でズルした報告をしやすいことに透明性を持たせて、どの国も同じような計算方法でCO2排出量を国連に届け出することを担保しなくてはなりません。

ただ、言うは易し行うは難しの面もあります。各国の事情があるからです。

例えば、下記のようなことは正しいか正しくないかではなく、各国の事情を考慮したバランスがルールづくりには大切だとじーじは思うのです。

●家畜のゲップで大気中に吐き出されるメタンガスをどう計算するのか?・・・家畜は悪か?

●森林を破壊して農地として活用する際に森林に蓄積されていた炭素の排出をどう計算するのか?・・・貧困から脱出するために山焼きするのは悪か?

●木を伐採した時にCO2排出とみなすことで木を燃やしても二酸化炭素は排出されないというルールの下でバイオマスボイラー(再エネ電力)でどんどん木を燃やすことは正しいのか?

CO2の問題だけでなく、例えば、動物愛護団体から日本の鶏の飼い方は残酷だという指摘に耳を傾けて、土地もない日本で卵の価格が今の10倍になってでも鶏が歩き回れる環境で飼うべきなのか?

何をもってフェアかというのが非常に難しいのが気候変動問題なのです。

✅試されている人類の知恵?


気候変動問題を各国のエゴのぶつかり合いで議論していたのでは手遅れになるだけだとじーじは思うのです。

何故ならば、エゴの結果は今を続けて変革を先送りするだけだからです。

30年以上経済無成長の日本を見ていればよく分かることです。

インクルーシブ(包摂的)とコンプロマイズ(妥協)が重要だと思うのです。

鶏さんはかわいそうですよね。

でもあの飼い方をしているからサルモネラ菌の繁殖を抑えて、日本人は生卵を何のためらいもなく食べられる、食文化を維持できています。

「石炭けしからん」その通りですよね。

でも日本は原発で大いなる間違い<既得権益のムラ社会の前に危険性を開示もされず、安全確保を怠られていたことを秘匿されていた>を犯して原発アレルギーになりました。

その国民感情をなだめて納得させられる政治家もいない状況で再エネ100%なんてできないことを押し付けられてもいいのでしょうか?

石炭が「Phase Out」(段階的廃止)から「Phase Down」(段階的削減)に弱まったことを日本のマスコミは批判だけするが、それなら、一億総貧困に直面している日本人をどうするつもりなのか、代替案もなく批判だけはやめましょう。

✅時間がない。まず行動を⁉


国連という場で議論するとどうしても先進国(先に発展を謳歌した国)と発展途上国という対立構造ができてしまうのでお金の問題でフンづまります。

海面上昇という国の存立基盤を脅かされている島しょ国にとっては切実な問題であっても、既に適応対策が進んでいるオランダのような国もあり、企業任せでまともに国会で議論すらしてこなかった日本のような国もあります。

先進国には分類されてはいるものの30年間給料は上がらず今やある意味1億総貧困化に直面している日本にあって、産業基盤であった自動車産業の存立基盤を危うくする電源構成の大変革を正しく報道もせず、電源構成から火力発電を無くすことに消極的なのはけしからんという無責任な報道しか情報の入らない国民はどう考えていけばいいのでしょうか?

後編では、解決策になってほしい「森林・土地利用に関するグラスゴー・リーダーズ宣言」を掘り下げてみましょう。

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