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【じーじは見た!】前編:世襲議員の是非論考を見てみた⁉️

心はZ世代! 身体は還暦過ぎた昭和人! Z世代応援団のじーじです⁉️

さて、最近になって世襲議員への批判が盛り上がってきています。
岸田首相の息子さんの振る舞いが話題になり、岸田さん自身や安部元首相が世襲であることに話が及び、自民党の議員や閣僚に世襲議員が多いということが問題視され始めています。

今回は世襲議員に関する論考など学術研究を見てみることにしましょう。


✅どんな研究資料を見てみましょうか?

世襲議員は選挙に強い人が多く、選挙区の地盤・看板・鞄の3バンがしっかりしているので、どぶ板選挙に時間を取られる野党の1世議員のような心配がなく、余裕があるので野党議員よりも勉強熱心で政策通の政治家が多いとも言われています。

ただし、世の中に閉塞感と政治不信が渦巻いた時には、世襲批判が起こり、政治が動き始める予兆のような現象が現れます。

つまり学術的にも「世襲議員」研究が盛んになる時期は、政治が動き出している時なのです。その証拠に調べてみると、民主党政権発足前後に「世襲議員」研究が盛り上がっていました。

そして最近も「世襲議員」研究が盛んになり始めています。
今回、取り上げるネタを紹介します。

世襲議員の実証分析(飯田健・上田路子・松林哲也:2010年の独立論文)

世襲議員と政策形成能力のあり方について―『政治主導』時代へのインプリケーション(東京財団研究所 加藤創太 研究主幹 2009年の論考)

有権者が当選させているのだから仕方ない」は本当か…政治家が劣化した世襲議員ばかりになった根本原因(キャノングローバル研究所 山下一仁研究主幹 2023年)

増殖する世襲議員「政界ネポベイビー」の大問題「2世芸能人」も増えている!その深い理由は?(2022年12月 東洋経済オンライン)

⑤豊田真由子さんの神戸新聞の寄稿コラムで「政界の世襲のリアル」を特集していたのものが結構面白いです。
・「政界の世襲」のリアル(1) 総理や閣僚に世襲議員の占める割合は?
・「政界の世襲」のリアル(2) 世襲の宿命、恩義も恨みも延々とつながっていく
・「政界の世襲」のリアル(3) 世襲議員が引き継ぐ「地盤、看板、カバン」一般候補とは歴然の差
・「政界の世襲」のリアル(4) 公募の実態と「信じられるのは身内だけ」という現実
・「政界の世襲」のリアル(5) 政治は世襲で引き継ぐものが当り前ではない海外

前編では、①、②の民主党政権発足前後の研究を見てみましょう。後編では最近の論調変化を見ていくことにしましょう。

✅2010年時点の世襲議員の実証分析

実証分析というだけあってデータが充実しています。

世襲議員の実証分析より抜粋①
世襲議員の実証分析より抜粋②
世襲議員の実証分析より抜粋③

この②③のグラフは、世襲議員は選挙区選挙に強いことがよく分かります。つまり、世襲議員の8割が選挙区選挙に勝って国会議員になっているという訳で選挙区での強さが際立っています。

世襲議員の実証分析より抜粋④
世襲議員の実証分析より抜粋⑤
世襲議員の実証分析より抜粋⑥

息子さんを議員にするには、まず議員秘書にするというのが、世襲の鉄則なのでしょうか?

世襲議員の実証分析より抜粋⑦

上記の表は、「世襲議員に代表されている地域は,そ うでない地域と比べて,受け取る補助金の額が多い」という仮説を立てて、次の推定式を求める際に使われた基礎データになります。

[Transfer]i,t = ß [Dynasty]i,t–1+γ1[LDP]i,t–1+ γ2[Term]i,t–1+γ3[Margin]i,t–1+λwi,t+φt+ρi+εi,

この推定の結果は、下の表5のとおり示されています。

世襲議員の実証分析より抜粋⑧

つまり世襲議員を選出するということは政権党に所属する議員を代表に持つということとほぼ同じ効果を得るのである。一連の分析から明らかになったことは,非世襲議員に比べて世襲議員はより多くの補助金を代表している市町村にもたらすということである。市町村財政に対する世襲議員の効果は比較的大きい。都道府県レベルの補助金総額を用いて同じような回帰分析を行ったが,表5に見られるのと同じような結果を得た。これらの結果は,議員の当選回数などの議員個人に関する要因, あるいは地方自治体の財政力などの属性を考慮に入れてもあまり変化しなかった。このことは,少なくとも世襲議員が補助金獲得という面では非世襲議員に比べて優れているということを示唆している。

世襲議員の実証分析より引用

結局、補助金頼りの行政であれば、世襲議員は自治体にとって大変ありがたい存在になるというのです。おもしろい分析ですね。

しかし、30年給料の上がらない日本を作ってしまった根本もこんなところにあることを忘れてはなりません。

✅論考「世襲議員と政策形成能力のあり方について」

この考察から12年経っていますが、未だに変わっていないですよ。民主主義的公平な競争が機能していないというのは、その頃も今も、何にも!

世襲議員批判に対する反論の最大の論拠となっているのも、世襲議員は選挙を経て選ばれている、という点である。つまり民主主義的正統性である。有権者が真に世襲議員を望まないのならば世襲議員は選挙で選ばれないはず、だから第三者が口を挟むべきではない、というわけだ。特定郵便局長の世襲制に批判的だった小泉元首相が息子を世襲候補として立てた件にも、議員の場合は民主的な選挙によって選ばれるから特定郵便局長とは話が違う、という反論は可能である。
(中略)
しかし、強固な「三バン」を持つ世襲議員などが実際の選挙で非常に優位に立つことは、過去の世襲議員の当選率の高さなどから見て否めないだろう。候補者同士が対等な立場に立って競い合うという、民主主義的競争が十分に行われていない可能性がある。

論考「世襲議員と政策形成能力のあり方について」より引用

世襲、世襲と批判するな、彼らはちゃんと選挙で選ばれて議員になっているんだから、どこに問題があるんだという主張に対して、民主主義的競争が十分に行われていない可能性があるという論考です。

今後の候補者については、自分の直系親族の選挙区と同じ都道府県の選挙区からの立候補を一定期間(最低で20年間)禁じるのが最も妥当性を持つのではないか。この規制の導入は重大な効果を伴うので、きちんとした実証分析が必要となるが、優秀な世襲候補の機会を一切奪わないことと、競争条件を均質化することとの、ちょうど妥当なバランスはこのあたりだと考えている  。もちろんこの規制を入れたとしても世襲候補(議員)は、親の党内でのネットワークを通じて非常に優位な位置に立つと予想される。ただ、競争条件の完全な均質化は不可能である以上、この点での規制はこの限度に留めておき、党内のプロセスの透明化を通じて外部のチェックがはいるようにすべきである。

論考「世襲議員と政策形成能力のあり方について」より引用

13年前の論考ですが、なかなか見どころがありました。ただ、こんな世襲規制を自民党自らが立案するということは現実的でないかもしれませんね。

やっぱりまずは女性議員数を増やすクォータ制が現実的なのでしょうかね?

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