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【じーじは見た!】 前編:橘川武郎さん再び! 日本の原子力政策に喝⁉

心はZ世代! 身体は還暦過ぎた昭和人!  Z世代応援団のじーじです⁉

電気代・ガス代・ガソリン代、値上がりしていますね。値段だけの問題でなく、電気が足りません。まだ暑くもない3月22日には、東京電力管内で電力不足による計画停電のピンチ⁉

真面目な日本人は萩生田大臣の節電要請でピンチを脱しましたが、真夏や真冬の計画停電は、想像しただけで恐ろしいですね。でも、復旧までに長期間を要する大規模停電を避けて、電力不足への対応として計画停電は仕方がないところ!

電気が足りないから仕方ないですよね。電化やEV(電気自動車)化は電力需要を増やしても減らすことはありません。

さて、今日は、そんな日本のエネルギー事情をまたまた橘川先生に登場していただき、政府の無能・無策ぶりに「喝」を入れてもらいます。
じーじは、橘川先生を以前こんな記事👇で紹介しています。

そんなエネルギー問題のご意見番の橘川先生は、東京財団政策研究所の「加速するエネルギー転換と日本の対応」研究プログラム(研究期間:2020年4月~2023年3月)にプログラムリーダーの一人として参加されています。

その活動の中で2021年度研究報告として「カーボンニュートラルに向けた 日本のエネルギー政策のあり方」と題するレポートが発表され、橘川先生は、2つの章を担当されました。

政府の御用学者とは一味違う、歯に衣着せぬ「喝」は読んでいてスッキリします。

今日と明日で橘川先生が書かれた「原子力と化石燃料のゆくえ」を見ていくことにしましょう。

✅原子力から目をそむける政治家たち⁉

橘川先生は、選挙がある限り、日本の原子力政策は漂流を続けるだろうと予想されています。

日本は2050年カーボンニュートラル実現を宣言し、そのマイルストーンとして2030年に2013年比46%の温室効果ガス排出削減(GHGと書くと分かりづらいので以下CO2削減と書きます)をNDC(国の約束事)として国連に提出しました。

そのマイルストーンの前提として2030年の電源構成に原子力発電比率を20~22%とする第6次エネルギー基本計画を作りました。

橘川先生は、何らかの形で今後も原子力発電を使うのであれば、同一敷地内で古い原子炉を廃棄し最新鋭の原子炉にリプレースすることに言及することを期待していたと書かれています。しかし、残念ながら期待外れの第6次エネルギー基本計画になりました。

与野党を問わず政治家は原子力から目をそむけ昨年秋の総選挙を戦いました。どうして目をそむけるのか?橘川先生は次のように述べています。

なぜ政治家は、選挙になると、原子力問題に深入りすることを避けるのか。答えは簡単である。原子力については、強く推進を唱えても、声高に反対を叫んでも、どちらの場合も、票を減らすことはあっても増やすことはないからである。

「原子力と化石燃料のゆくえ(橘川武郎)」より引用

2021年 10 月に行われた総選挙でも、原子力問題は争点となるこがなかった。例えば九州電力・川内原子力発電所の地元である鹿児島県で多くの読者をもつ『南日本新聞』は、総選挙2日前の10月29日付の紙面で、「川内原発がある鹿児島3区の候補者は原発の延長問題に触れようとせず、争点化を避けている」と書いている。

「原子力と化石燃料のゆくえ(橘川武郎)」より引用

票にならないから争点から外すという考え方自体がおかしいことは、年寄りの情報貧民は別として、今の若い情報富裕層には通用しません。

彼らはしっかりと理解しています。

だから誰か一人でも政治家が争点にしてくれて、責任ある代替案を示すことができたら、たとえ少数政党であっても全国区で若者票が集まるハズです。

言ってくれるとしたら「教育国債」に言及した国民民主党の玉木さんくらいしか想像できないかな?今の政治家の中では?

✅漂流政策は何が無責任なのか?

政府は2030年に原子力発電を20~22%使うことを前提にNDCを国連に提出しました。

橘川先生は、この電源構成比率は絶対に未達になると予想されています。
そして一番危険なのは、安全が確保されない原子力発電所を数字の辻褄合わせで無理に稼働させてしまうことなのです。

橘川先生は次のように述べています。

依存度の多寡を問わず、将来において原子力発電をなんらかの形で使うのであれば、危険性を最小化するために最大限の努力を払うことが、不可欠な前提になる。原子力発電の危険性を最小化する施策とは何か。それが、最新鋭の設備を使用することである点については、多言を要しない。
ところが、日本の原子力発電設備は、最新鋭であるとはとてもみなせない。それでも全体の半分強を占める沸騰水型原子炉(17基)については最新鋭の改良型沸騰水型軽水炉(ABWR:Advanced Boiling Water Reactor)が4基存在するが、残りの半分弱(16基)の加圧水型原子炉については最新鋭の改良型加圧水型軽水炉(APWR:Adovanced Pressurized Water Reactor)やAP1000(AP:Advanced Passive)が皆無である。

「原子力と化石燃料のゆくえ(橘川武郎)」より引用

日本の33基ある原発の内、最新型と言えるのが4基(4/33=12%)だそうです。何らかの形で今後も原子力発電を使うのであれば、最新型の原子炉に置き換えて使うというのが責任ある態度ではないのか?と橘川先生は指摘し、20~22%依存すると数字だけ書くのは「無責任な原子力維持路線」とまで書いておられます。

✅では責任ある原子力利用とは?

第6次エネルギー基本計画を無視する訳ではなく「可能な限り原発依存度を低減する」という歴代内閣の公約とも整合させながら、次のような橘川先生の提言をパクる政治家がいないものかなあとじーじは思うのです。

リプレースを行うにしても、古い炉は積極的に運転を停止し、2030年度の原子力依存度は15%程度まで押し下げるべきである。可能な限り低い依存度の枠内で原子力発電のリプレースを進めることが、将来において原子力を使用する際の唯一責任ある道だと言える。

「原子力と化石燃料のゆくえ(橘川武郎)」より引用

さて、20~22%依存しないといけないハズの原子力発電を15%まで押し下げたら、ギャップの5~7%はどうするのか?

橘川先生には、ちゃんと代替案があります。後編では、その代替案を見ていきましょう!

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