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カフェの接客英会話応用編 1.コーヒーの焙煎度による味わいの違いを説明する


はじめに

カフェの接客英会話基本編では注文を取る際の表現をみてみました。でも、そう簡単にいかない場合もあるかもしれません。例えば、あなたのカフェはスペシャリティコーヒーショップで、メニューはコーヒーだけ。しかもコーヒーの焙煎度しか書いてなかったとします。

お客様が自分のコーヒーの好みと焙煎度の関係に自覚的で完全に自分の好みを把握しているなら、これだけの情報でもすぐに注文を決められるのかもしれません。でもそうじゃない方から焙煎度による味わいの違いの説明を求められたとしたら?その前提で英語での会話例を書いてみました。

コーヒーの焙煎度による味わいの違いを説明する英会話例

あなた "We have three types of coffee: light, medium, and dark roast." 当店では、浅煎り、中煎り、深煎りの3種類のコーヒーをご用意しております。
お客様(A、B) "Well, what is the difference in taste?" ええと、味はどう違うんですか?
あなた "You'll enjoy more acidity with light roast coffees. Also, light roast coffees reflect the characteristics of the coffee's origin. Dark roast coffees have more bitterness than others. Medium roast coffees are between light and dark roast." 浅煎りのコーヒーではより酸味をお楽しみいただけます。また浅煎りのコーヒーにはコーヒーの産地特性がより強く反映されます。深煎りのコーヒーは他の種類より苦味があります。中煎りのコーヒーは浅煎りと深煎りの中間の味わいです。
お客様A "I prefer coffee with a bitter taste. So, I'll go for the dark roast." 苦味のあるコーヒーの方が好きなので、深煎りにします。
あなた "Good choice! Today, we have a dark roast from Brazil. It is a well-balanced coffee." いい選択ですね!本日の深煎りはブラジルをご用意しております。バランスの良いコーヒーです。

お客様B "I don't like bitter coffee. So, I'll go for the light roast." 苦いコーヒーは苦手なので、浅煎りにします。
あなた "Good choice! Today, we have a light roast from Ethiopia. It has fruity flavors with a floral aroma." いい選択ですね!本日の浅煎りはエチオピアをご用意しております。フルーティな味わいでフローラルな香りのコーヒーです。

ポイントを見ていくとまず、焙煎度の表現は、

  • 浅煎り light roast、light roasted

  • 中煎り medium roast、medium roasted

  • 深煎り dark roast、dark roasted

です。そして上の英会話例で味わい表現のポイントとなるのは、

  • 酸味 adicity (形容詞は acid 酸味がある)

  • 苦味 bitterness (形容詞は bitter 苦味がある)

  • コーヒーの産地特性 the characteristics of the coffee's origin

の3つで、これは『スペシャルティコーヒー大辞典』の著者であるジェームズ・ホフマン(James Hoffman)さんのYoutube動画"Coffee Roasting Explained"を基に説明文を作ってみました。この動画の1:30〜3:20のところを見ていただくと焙煎度と味わいの関係の説明を聞くことができます。

焙煎度と味わいの関係(ジェームズ・ホフマンさんのYoutube動画"Coffee Roasting Explained"より)

また、上の会話例では、最初は酸味、苦味、産地特性の説明をして、焙煎度を選んでいただいてからそれぞれのコーヒーの味の特徴をさらに追加するようにしてみました。そのため、深煎りを選ぶお客様Aと浅煎りを選ぶお客様Bの2通りのパターンを作ってみました。このあたり、結局そのコーヒーの味わいで強調したいところはどこなのか?という問題になってくるかもしれません。

さらにシンプルな説明

さて上の会話例を英会話の先生6人(南アフリカ1人、アメリカ4人、オーストラリア1人)に読んでもらったのですが、英語としては正しくてもわかりにくいという先生が2人いました。特に、酸味=acidityはコーヒーの表現として違和感があったようです。「sourならわかるけど、acidityってコーヒーの専門用語じゃない?」なんて意見も。聞けばこの2人の先生はコーヒーといえば深煎りで苦いという印象をお持ちの様子。

ちなみに、sourはコウビルド米語辞典で

Something that is sour has a sharp, unpleasant taste like the taste of a lemon.

コウビルド米語辞典

と説明されています。和訳するなら「sourなものとは、レモンのように鋭くて不快な味」。つまり、sourはネガティブな印象の言葉なので、お店のメニューの説明にはふさわしくありません。

一方で、「スペシャリティコーヒーショップならこれくらい説明して当然じゃない?お客さんはそれを求めてるでしょ。」という意見の先生も2人。

ちなみに、上の説明だとわかりにくいという先生が提案した説明は

The taste depends on the roasting level. The dark roast coffee tastes more bitter, and if you want to enjoy a milder taste, go for the light or the medium roast coffee. (味わいは焙煎度によります。深煎りのコーヒーはより苦いので、もっと優しい味わいを楽しみたいなら、浅煎りか中煎りをお選びください。)

アメリカ人の先生談

で、酸味には触れず、深煎り以外は単に「もっと優しい味わい」になっています。上の説明で通じなかった時は、ぐっと単純化してこう説明してみるといいかもしれません。以前の記事「インバウンド対応には何語が必要? 2023年の訪日外国人観光客のデータから考える今必要な外国語」に書いたように訪日外国人の半数以上を占めるのは東アジアの方。口頭ではよりシンプルな表現を、さらに説明したいならメニューに書いてしまったり、絵や色などで表現するなどの工夫があるとより「伝わる」かもしれません。

まとめ

以上、焙煎度と味わいの関係について、ジェームズ・ホフマンさんの動画をもとに、英語でどう表現して説明したらいいのかを考えてみました。思うに言語を問わず、「コーヒーは苦い」という概念を超えていくのはなかなか難しいことなのかもしれません。でも、普段苦いコーヒーを楽しんでいる方に苦くないコーヒーの美味しさも紹介できたら、それはそれで素敵なことだなあと思います。

その他、こんなことが言いたいんだけどぴったりの英語表現が思いつかない、となんてことがありましたらぜひ記事にしてお答えしてみたいので、natsumi.kajii@gmail.comまでお寄せください。

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