見出し画像

長襦袢について和裁士が本気出して考えてみた②サイズ編

きっかけ編に続いて、次はサイズ編です。
まずはこちらの衿元を見ていただきましょう。左と右の違い、分かるでしょうか?

どちらも、マイサイズでお仕立てした着物を着ています。違うのは長襦袢の身幅です。左が既製品のSサイズ、右がお仕立てしたⅯサイズ。
そう!身幅が足りないと衿元が決まらないのです!

長襦袢は、着物を着る時の要となるものです。サイズが身体に合っていないと、衣紋が綺麗に抜けなかったり、衿元が崩れやすくなったり。着付けにも時間がかかってしまいます。
衣紋が綺麗に抜ける事を謳っている商品をよく見かけますが、そもそも身幅のサイズが合ってないと衿が胸をちゃんと覆ってくれません。大は小を兼ねますが、サイズオーバーの既製品は他も大きくなってしまいます。着物の袖口から長襦袢が見えてしまう……!

フルオーダーにしたらぴったりのサイズで仕立ててもらえますが、お値段はもちろん上がります。

そこで開発したのが、パーツごとに自分好みにサイズを選んでもらうセミオーダー式! 自身の体型・好みに合ったサイズで作れます。作りやすいキリのいいサイズを設定しているので、お仕立てをする側も作りやすい。

このセミオーダーの数字は、着物メーカーが作るサイズとは違います。和裁教室に通う生徒さんや、今までお仕立てをご依頼していただいた方たちの寸法を参考にして導き出した数字です。

かなり大胆な数字の刻み方をしているのは、既製品では対応出来ずに諦めていたサイズの方たち……SSやLLの身体を救いたかったからです。そうする事で、男性の方でもなんとか着用できるようなサイズ展開になったのではないかと思っています。

・背の高いほっそりさんは身丈と裄がⅬで身幅がS。
・背の低いぽっちゃりさんは身丈と裄がSで身幅がⅯ。
・全体的にⅯサイズでも、裄が足りないリサイクル着物をよく着られる方なら裄だけS。

という風に、体格や好みによって各パーツをカスタマイズ出来るのです。めっちゃ画期的だと思いません? 

これは、和裁士がお客様から直接受けるからこそ実現出来るシステムなんです。

呉服店でこれをしようとすると結局フルオーダーと一緒になるので、お仕立て代は変わりません。燈織屋のセミオーダー制は、フルオーダーよりも寸法の数字をキリよく分かりやすくする事で、作業速度を速くする事を目的としています。速く縫えたら、お仕立て代を安く出来る!

身丈は㎝表記でキリよく、裄と身幅は鯨尺表記でキリよく。
肩幅と袖幅の振り分けの仕方は、縫う人によって異なります。このセミオーダーは、生地の裁断の仕方・裄曲がり(肩幅と身幅との数字の差の事。ここが大きいと生地に負担がかかり、仕上がりが悪くなります)への対応・離れたサイズたちを組み合わせた時に無理がないように……など、色々な事に折り合いを付けた数字になっています。

お仕立ては鯨尺でしています。ずっと鯨尺でしてきたので、㎝はまだまだ慣れないです。和裁のお仕立ては1分(いちぶ)とその半分の5厘(ごりん)をよく使うので、㎝で仕立てるととにかくやりづらい。微妙にズレる。なので、㎝で見た時のミリ単位のズレはご容赦ください。
着る人に優しく、作る人にも優しいシステムであってほしいと思っています。

モニターの方たちが選んだサイズの一覧がこちら。
裄のサイズに悩む方が多いのですが、SかⅯどちらかで悩むなら、小さい方のSを選んだ方がいいです。

既製品とフルオーダーしかなかった着物の世界で、セミオーダーによる受注制はかなり斬新だと思います。作る人と着る人の間の『ちょうどいい』を見付ける。燈織屋はそんなお店を目指しています。

サイズについてはもっと説明したいですが、あまりにも長くなってしまうので、サイズ編はここまで!
次回はカラー編です。

和裁士が本気出して考えた長襦袢を、現在マクアケにて先行販売中!

・身丈、身幅、裄をSS~ⅬⅬでそれぞれカスタマイズ出来る、セミオーダー制
・全10色の中から推しの色を選べる
・肌に優しく、自宅で洗濯出来るリネン素材



この記事が参加している募集

仕事について話そう

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?