欲望のかたまり

欲が無さすぎると言われたのは
中二の三者面談で
成績にはとんと興味が無くて
順位はそんなものかと受け入れるだけで
担任が言ったわ 欲が無さすぎると
本人が成績に欲を持たなさすぎだと

貪欲は悪いことだというのが
体にしみ込んだ感覚だったわ
きっと幼いころから教え込まれた
たくさんの価値基準のひとつだったはず

だから成績だって同じこと
そこに求めるものはなかったわ
それなのに成績が下がるたびに叱られて
釈然としなかったこともたぶんあったはず

ほんとうは
自分は貪欲だと思ってたわ
成績には興味はなかったけれど
人間の三大欲求ならそのままに
飢えていたから欲している
私は欲望のかたまりだなって

ほんとうに
自分だけがおかしいと思ってたわ
周りはきっともっと無欲
この欲望は恥ずべきものだと
だから隠し通していただけ
私に渦巻く欲望のかたまりを

ほんとうの
自分は今も少しも変わってないわ
あらゆることに貪欲で
飢えて欲していることを
無欲なふりして隠してる
私自身が欲望のかたまり