夏でぇむん

中学生のころ国語の教科書で
春をうたう方言の詩を読んだの
北と南で大いに違えど
春を喜ぶやわらかい響きで
未だにその一節を
そらで言えるほどに残ってる

今年もまたこの季節がやってきて
外野はニュースを見て思い起こすくらい
たくさん学んだし現地にも行ったのに
今は入れなくなったらしいガマにもぐり
ひめゆり学徒隊の生存者の講演を聞き
貴重な体験をしてきたはずなのに

人間はすぐ忘れてしまうから
祭事などという年中行事は
思い出すためにあるのだと思う
奇祭の神事で宮司が話していたけれど

世界はすぐに忘れてしまうから
どれだけ時間がたったとしても
思い出すために記念日を続けるんだろう
今日という日を心のどこかに置いて

こういう使い方をするのは間違っているのかしら
だけどこう表現することしか私にはできなくて

ああ 夏でぇむん
今年もまたこの日がやってきた