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双子座新月の詩 2023

地図を開かずに
目の前に現れた太っちょの猫の
後をつけて行くこと
教科書を読まずに
窓の外の曇り空から
雨が落ちてくる瞬間を
見張りつづける50分間
電話を待ちながら寝落ちて迎える朝
打ち明けなかった恋心が思い出になっていくこと
祖母からもらった100円玉を
他のと混ざらないようによけておくこと

コツコツ積み重なっていかない
他人には価値をはかれないこと
ドラマチックな喧嘩や
花丸もらえる成功体験には
見劣りしてしまうけど
無駄なことやなんでもないことが
物語のいい隠し味になるんじゃないかな

これは双子座新月の詩なのかどうか
正しさを証明しようとする暇があるなら
漫画を一冊読む時間にしよう
若しくは
勇者になったり 王様になったり
ひとりぼっちのふりしてみたり
寄り道したり 触ってみたり
恋をしたり 募金をしたり
木を植えたり 免許をとったり
傷ついたり 傷つけたり
手放したり 望んだり
やりたいことを全部詰め込んだ
わたしだけの物語をやろう


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