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伝え方の話

「たとえ相手にとって耳の痛い内容であっても、本当に相手のためを思って真剣に考えたことであれば、それは相手に伝わって距離がぐっと縮まることがある。伝える内容が論理的であっても、そこに情熱(パッション)を込めて伝えることで、相手の感情を揺さぶって行動を促すことができる」

という趣旨のツイートを見て思うところがあるので伝え方について少し深く考えてみようと思いました。

ロジカルからパッショネイトへ

昔は私はロジカルモンスターでした。

自分ではその自覚はなかったのですが、以前に勤めていた会社を辞める際、当時の本部長と3時間くらい面談していただいた時にそう教えてもらいました。その時は、「直さないといけないな…」などは意識しなかったのですが、何かのきっかけで、(たぶん子どもの成長につれてだと思います)ロジックだけでは他人に言いたいことの半分も伝わっていないのだろうと思うようになりました。

ということは、社会でも上の立場へは行けないし大きな仕事はできないと感じたのです。

それ以降は、意識してパッションに寄せるようにしてみました。

パッションを持つ

具体的にどのようにパッションに寄せていったのか。

それまでは人の行動や結果に興味があったのですが、そうではなく、人の考えやプロセスに興味を持つようにしました。もともと、価値観の相違には寛容なタイプなので、人の考え方というものにあまり興味が持てなかったのです。そこを他人の価値観を深く知ることで自身に役立てようと言い聞かせ、どういう考えで他の人が行動しているか、行動や発言の裏をよく読み取るように努力をしました。

気になったことはメモを取ったり、じっくりその人を観察したり、失礼にならない程度につっこんだ質問をしたりして、自分の感覚と相手の本音をすり合わせながら、関わる人々の裏側の背景に意識を向けてきたつもりです。

そういった取り組みの中で感じたことは、大きく以下の3点。


① 人に動いてもらうには、ロジックとパッションのどちらも重要だということ。
② ロジックだけで動ける人は実はごく少数なのだということ。
③ TPOによって、同じ相手でもロジックの割合とパッションの割合を変えた方が効果的であること。

上記の①・②・③はどれが欠けてもだめで、すべてを網羅的に意識しておかないといけないということがわかりました。

そしてパッションもスキルではないかと考えるようになりました。

ロジックもパッションもスキルであるとするなら、身につけたほうがいいし、実際に身についてきました。私もまだまだ道半ばではあるけどだいぶパッションスキルがついてきたような気がしています。ここからは私が気をつけたり意識している点を書くので何かの参考にしてもらえればうれしいですね。

だけど、若いうちに身につけておいて欲しいのは、圧倒的にロジック。なんなら30歳くらいまでは戦略的にロジカルモンスターでもいいと思います。

環境にもよるけど、若いということで回りのことを鑑みなくても許してもらえたり、万が一、周りと折り合わなくてもキャリアのやり直しがききやすい。なにより、パッションには経験がいると思っています。

どのようなパッションを

パッションと言ってもやみくもに熱ければいいわけでもなく、相手の温度感を確かめながら少しずつ熱を伝導させていくことも必要。そのためにも自分の放つ熱量を調節する感覚を身につけないとうまくいかないです。これには個人差があるので一概には言えないのだけど、私の場合は、熱量を上げる際は、「身振り手振りを大きくする」であったり、「目をしっかり見てトーンを落として話す」であったり。これは、ぜひ自分なりのやり方をみつけて欲しいです。

まずロジックに基づいたストーリーを準備。これで相手の知性や理性に働きかけ、その上で実際に共感を得て、仲間になってもらい行動に移してもらうためにタイミングを見ながら身振り手振りを大きくしたり、目を見てトーンを落とし気味で話すなどして、パッションをうまく使っていく、そんなイメージです。

パッションに深みを持たせるなら、自身の体験談や知人の体験談なども織り交ぜることでよりパッションに濃淡を出すことができると思います。

また、ロジックを徹底的に磨いていきある程度ロジカルモンスターになってしまうと、ちょっと話を聞いただけで、その話にロジックが通っているか、聞く価値があるか。がわかってきます。でも、聞く価値がないと判断してしまうと相手に伝わってしまうので、そこをどう制御するかが難しいところです。

私は、上でも書きましたが、その人が言っている内容よりも言っている背景を考えることで、結果的に話を最後まで聞くようになり、この問題をうまく回避できたのではないかと考えています。そして、相手の背景を理解することで、伝える側に立った時に、よりわかりやすい文言やたとえ、適切なロジックの立て方やロジカル度合いなどを調整しつつ伝えることで共感を得て、自身の影響力を高めようとしていたりします。

以上のように、ロジックという比較的普遍的な土台の上に、パッションという自分の風味を乗せることにより、自身の個性を出していくことができるのではと考えています。それにより同じ内容の話でも、違った印象を与えることが可能になり、それは自分の社会に対する価値を提供できるリソースになり得ると。

ひょっとしたら、「同じものごとを違った印象で受け手にとらえてもらうことができるスキル」が価値になる日も近いのかも知れないですね。


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