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島田慎二 スポーツビジネス講演会 千葉ジェッツ復活の軌跡(2020.01.26)

<自己紹介>
49歳 1970年生まれ
日大を卒業後3年間旅行会社を経営して以来6個ほどジャンル広く経営
経営者歴24年
30後半でいちど会社を売却し海外を回ったりする生活を始めるも41歳でジェッツの社長に就任 昨年退任
最近は自分でもよくわからない感じにいろいろやっている

<ジェッツについて>
2012年2月1日 8年前に社長に就任
NBLへ移籍 会社がつぶれそうななかISO9001を取得
スポーツクラブとしては世界初
うちにとっての品質は試合興業 しっかりとビジネスとしてとらえているという思いから取得
2015年10月富樫入団 その2か月後千葉市とフレンドリータウンに
昨年ミクシィと資本提携 富樫1億円プレーヤー 退任と忙しかった
競技力はトップクラスに

<富樫1億円時の裏話>
3~4年前からお前が最初に1億円プレーヤーになるべきだ、という話はしていた
オレが稼ぐから、富樫はそれに見合うプレーを、という話をしていた
富樫の方も「そう思います」と自覚
昨年のクォーターファイナル富山戦のあと焼肉大将軍の個室で、もうそろそろいいのではないか、という話をしたところ富樫は躊躇
「優勝しないと…」ということだった
ファイナルの劣勢からの最後の追い込みの背景には彼のそうした執念があった
どのレベルに達したら、ということを目線合わせしていた
ジェッツはノリでやっているように見えてしっかり目標を立ててやっている

<復活の軌跡>
2011年 売り上げ2億~昨年17億6000万 8倍
観客数も1000人から5000人 5倍
経常利益1億 リーグ最高
表向きはトリッキーに見えるが地味なこと地味なことをやってここまできている
スポーツチームの経営も普通といっしょなんだな、ということを今日の話で感じてほしい

2011年11月 10月にbjリーグのファーストゲーム
当時のオーナー道永理事長から経営を依頼される
新潟県人で完全に落下傘
コンサルではむしろ早くたたんだ方がいいと言っていた側
やってくれなければたたむと言われ私のせいでなくなるのはひどいと思って1年の約束で引き受ける
そんななかNBL移籍をするならあと3年やってくれと言われ3年
Bリーグ移行前に退任しようと思っていたのをまた3年
昨年の退任は有言実行
属人性がベーシックとなってしまうのはよくないと思ってのタイミング
当初50ページくらいの提案書をまとめる
弱み:おらが街のチームになりづらい、協会との関係性が薄い
強み:資金力のあるベンチャー企業がある→後述
2つリーグがあるのが弱点と思っていた
当時それを言うのはタブーとされている中言い続けた

<再建に向けて>
1.組織改革
フロントが強くならないとチームは強くならない
稼いで強くするという順番 そこが福岡なんかは逆だった
2.ブランディング
当初県内の認知度が3%
3.マーケティング
いい商品をいい売り方をすれば必ず売れる
お金を増やすには増資・借り入れ・スポンサーの3つ
増資:だれも融資してくれない
借り入れ:地銀全部に断られる
スポンサーの力を借りるしかない

<1.組織改革>

自分が社長になった当時は社員に負け癖がついていた
みんなやめようとしていた
頑張ろうと思わせる マインド的に勝つ
小さい結果で勝ち癖をつけさせる
経営理念の設定:千葉ジェッツをとりまく全ての人たちと共にハッピーになる
社長になることが決まった12月あたりからずっと考えていた
月末にスタッフから今月は給料がちゃんと振り込まれるか電話がかかってくる状況
どこに向かうのかを示す 2月1日に所信表明
とりまく全て:勝ち負けは自分たちでコントロールできない
ステークホルダーが多い
選手はオフに走り回り社員は休めない状況
あっちもこっちもよい顔をしていたのをやめる
あれもこれもできないということをはっきり言う
力をつけて人が増えたらやる 中途半端にやらない
地場産業は一度切られたら戻ってこない
それに基づきMISSIONを設定 ホームページ、社内掲示

2012年から一言一句変えていない 選手契約にも入れているし入社時にも確認している
8条 プロスポーツだからこそできる社会貢献
選手は基本月曜OFF スタッフは出 社会貢献をしたい という利益相反
一般企業でも営業とバックヤードの間で見られるようなもの
クラブのマニフェストとして掲げられているのでこれを優先する
属人的にしない
社内の課題があるときは方針・ルールを決めておくことが重要
ハッピーになるということが大事で勝つことが最上位ではない

何かを決めるときの原点が経営理念
ここが間違っていたらすべて間違いになる
ソフトバンクの孫さんも最近の日本企業は計画は上手だが何のための計画か、というところが欠けているということを言っている
確固たる原点をつくり下までつなげていくことが自分の仕事

どう実現するか 結局は個人=社員がどう結果を出せるか
大事なのは値付けと目標設定
プロセス管理:その人の力量に応じて1人ずつ設定していく
正しい目標、達成されたときのメリットを見える化する
数値・行動の人事評価
元気のない子に「元気良い挨拶をする」
「人を傷つけるようなことを言わない」と言ったところまでやる

うまくいった要因=毎週のようにコミュニケーションをとったこと
毎週火曜日10:00~1時間朝礼
その後19:00まで営業等行かずひたすら面談
社員と向き合う日というように決めていた
当時はそんなに時間を取ることにバカじゃないのなどとも言われた
放置しないことが信頼関係に
大事なのは(図の)右側の部分 力を合わせてやること
奇跡を起こすにはエネルギーがないと無理
集約=同じ方向を向く
そのために決めるべきルールを決めた→プロマインド教育
・掃除=謙虚さ 心を磨く
調子に乗らない このレベルになると戦術・戦略ではない
・業者接待禁止
受けるとファンのためか自分のためかがわからなくなる
やったら解雇
一気にこれにより業者とのコミュニケーションは減ったがそれでしっかりとした関係性ができた
・メールスピード 遅い人は信用しない
七難隠す メールは既読がつかないからこそ油断する
仕事の生産性、マインドが上がり他の仕事にもポジティブに影響
顧客が大事にしてくれていると思える
今スポンサーが300社 我々にとって300社でも相手にとっては1対1
すぐに結論が出せない時は「検討中です」でもいい
・時間管理
自分のハッピーの価値基準として短い時間で結果が伴った方がよいと思っている
仕事中プライベート携帯を禁止
最初は注意していたが注意する自分が嫌になってきた→ルール化
喫煙 半分くらい喫煙者がいた
自分のペースで休憩が取れてしまう 理念に反する・不平等
吸う人は年間12日分の年休分に相当する時間を取っている
最初は3日ほど文句が出るが我慢すると4日目には忘れる
・身だしなみ
「スポーツチームなんで」はだめ
その隙を見せた瞬間に崩れる
ひげも経営に影響する、とまで思っている

<2.ブランディング>

就任当時は1クラスにみんな同じような人が集まっているというイメージ
差別化したい
キャラ設定→いろんなチャレンジ
やんちゃなチャレンジャーという設定をして活動
bjからNBLへの移籍、ISO9001など、日本初、バスケ界初などのことはいいか悪いかの前にやってみる
こういったところでもゴール設定から何をすべきかということで行動

<3.マーケティング>


資金力あるベンチャー企業が多い
価値のない商品を売るためには今はないけどこうすれば価値が出る、というストーリーをつける
点と点を結ぶ線のイメージ
「打倒トヨタ」を掲げるが当初は資金が全然集まらず
NBLはサラリーキャップ1億5000万 bjが6800万
8000万の差額で世界のトヨタに勝てるかもしれない、という数字を見せた
それによりイメージができる 差がそれだけだ、と思わせた
「あといくらでトヨタを倒せるの?」と言われるように
集客についてもあと何人で動員数日本一というのを示して行政を巻き込めた
結果2億5000万ほど集められ西村、バーレル、リカードの獲得につながった
1年目はトヨタに5戦5敗、ダブルスコア→2年目3勝2敗→そうした中富樫入団が決定
ホップ 資金集め ステップ チーム強化 ジャンプ 集客(演出等)
それがBリーグ1年目に花開いた
社員が頑張って選手がその気になれば大体勝つ

<100年続くクラブへ>

「スポーツビジネス」なんて言っている時点でダメ
普通のビジネスである
ユース・育成に力を入れだしている
アリーナづくり、エンタメ追求
100年続くためにはまずはアリーナづくりが大きなプロジェクト

地域密着は当たり前
ゴールは地域愛着
吸引力 あるから住みたい
人口が増え行政的にも経済的にも活気も出る

<質疑応答>
Q.ルール付けを始めたのは理念を出した時期からどれだけ経った頃か
すべてそろったのは3~4年前 成長を実感してくれていた時に

Q.理念が浸透したと実感してきたのはいつか
1年目はトリッキーに利益を出したので2年目になってボーナスが微々ながら払えたとき
逆に言えば2年かかった 変わるということはそれだけエネルギーがいること

Q.アジャストできないスタッフ、取引先をどうしているのか
スタッフ:自然とあぶり出る いづらい人はいづらくなる
最初はやさしい話から始めていくが次第にそういう人は窮屈に感じていく
みんなのハッピーのためにはあなたのハッピーだけ優先できない、ということを直接コミュニケーションする中で伝える はっきりさせる
取引先:ビジネスパートナーなのでエモーショナルではなくお互いプロフェッショナルとして対応
モチベーションを上げよう、という感覚はそんなにない

Q.ミクシィとの提携とその効果
アリーナづくりについては自分も悩んだ
私の代だけ考えればいらないと思っていた 単価を上げても満員のほうがコストはかからない
ただ私がやらないとそのあとが決めていくのは無理と思った
そうした中でミクシィは地場の企業も大事に考えてくれた
今年ユニフォームからロゴが外れているのもそのあらわれ

Q.他スポーツの可能性
大なり小なりオリンピックが終わると人気のないスポーツは苦しくなる
ネガティブポテンシャル
テコンドーを通じて横展開する
自分が体験してみようと思って引き受けた
貧すれば鈍する
マーケティング・稼げるかどうかが大事
自分はこのチームならこれをやろうというネタはいっぱい考えている
欲する人に売る 誰にどう売るか
ストーリー 発想を変える

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