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鍼灸院の〝取り組み〟vol.3 【障がい福祉に鍼灸を!】

はり師・きゅう師、日野さとしです。
ぼくの鍼灸院の〝取り組み〟は以下の3つ。

・治療ギフト
・認知症ジュニアサポーター養成
・障がい福祉に鍼灸を!

今回は3つ目の
『障がい福祉に鍼灸を!』についてのお話です。

2つ目の取り組み『認知症ジュニアサポーターを養成する』と同じく、
ぼくの治療院理念、

「要介護になっても楽しく暮らせる街を創る」

というのが根底にあります。
それではいきましょう。


【障がい福祉と出会ったきっかけ】

そもそもぼくが鍼灸師になった理由は、父が障がいを持って介護が必要になったから。

父は、昼は病院でのリハビリや人工透析を受け、夜はぼくが鍼灸施術をするという日々を送っていました。(当時ぼくは臨床研修生)

父曰く「鍼灸施術を受けた日はよく眠れる。透析後のかゆみもない。そして翌日のリハビリは身体の動きが良い。」との事でした。
(ひいき目もあったと思いますが笑)

そんな日々を送る中、障がいがあって介護が必要な人達のために、

『介護と鍼灸施術のアプローチで少しでも身体を楽にできないか』

そして、

『楽になった身体で、有意義な時間を過ごせるお手伝いがしたい』

と思うようになったんです。

そんなこんなで、鍼灸学校での臨床研修や、開業鍼灸師のもとでの修行も終え開業準備をしていた頃、
隣町で開業している「鍼灸院 利休」の宮崎 利文先生に声を掛けていただいたんです。

「日野さん、障がい福祉デイサービスに来てみない?」と。

宮崎先生に声をかけていただき、ぼくがやりたい分野だったので、二つ返事で行ってみることにしたんです。

これが、ぼくが障がい福祉に携わることになったきっかけで、
当時は開業目前だったので週一日の出向ですが、2022年で丸8年になります。

せっかくなので、宮崎先生の「鍼灸院 利休」のホームページやインスタをご紹介しておきますね。

➤HP→ https://peraichi.com/landing_pages/view/riq
➤instagram→ https://www.instagram.com/riq.healer/

インスタでは素敵な写真とともに、ほっこりする記事を投稿されています。鍼灸院と併設して、奥様が「おやつ工房りきゅう」というお菓子屋さんを営んでるんですよ!(^_-)-☆
大らかな人柄に加え、鍼灸院とおやつ工房は素敵な空間なので、ぜひのぞいてみてください!
宮さんこと、宮崎先生には本当に感謝しています!( ´艸`)


話がそれたのでもとに戻しますね。

【鍼灸師としてどう関わっているか】

障がい福祉デイサービスに行くことになり、最初にびっくりしたことがあります。
それは、

〝利用者さんもスタッフもとことん明るい〟

ここのデイサービスの利用者さん達は、先天性や後天性関わらず重度の障がいをお持ちの方が多く、難病の方もいらっしゃいます。

なのになぜ、こんなに皆さん明るいんだろう?と不思議に感じたのが正直な印象だったのですが、この考えはただの偏見であったことに後々気付かされます。

なぜこんなに明るいんだろう?

その答えは、
〝利用者さんもスタッフも皆、とことん元気に挨拶をされる〟


挨拶なんて当たり前?

そう、当たり前のことなんですが、皆さんとことん明るく挨拶をされる。
利用者さんの中には、声を発するのが難しい方もいらっしゃいますが、
もちろんその様な方にもスタッフは笑顔で挨拶をする。
利用者さんは、それに応えようと各々の方法で挨拶をしてくれます。
その時の表情は皆さんすごくいい🥰

障がい福祉って大変なイメージだと勝手に抱いていたのを、ぼくは気付かされた。

さて、ここでは鍼灸師としてどう関わっているかという話でしたね。

障がい福祉デイサービスの主な仕事は、送迎・トイレ介助・食事介助・入浴介助・レクリエーションなどなど。
他にもたくさん仕事はあるわけですが、大まかな仕事は今述べたものになります。

ぼくは、入浴介助以外のそれらに加え「機能訓練指導員」として利用者さんへのリハビリに携わっています。

障がい福祉デイサービスに携わって4年目からは、ほぼリハビリだけに集中させてもらっています。(スタッフと連携しながら、送迎やトイレ介助に入ることはありますよ。)

3年間はリハビリ以外の仕事にも携わっていたのですが、今振り返ると、携わらせていただいて本当に良かったと思っています。

なぜかというと、例えば送迎の場合、送迎車内での利用者さんとのコミュニケーションはもちろんのこと、利用者さんのご家族とも接する機会があります。
ご家族と接することで、

・利用者さんの体調やリハビリ内容を共有できる
・リハビリ担当のぼくの事を知ってもらえる

これって、ご家族の安心感にもつながると思うんです。

他にも、利用者さんとコミュニケーションを取りながら食事介助やトイレ介助をすることで、

・リハビリの時、利用者さんが心を開いてくれる
・利用者さんのリハビリモチベーションが高い

などを感じています。
日頃のスキンシップが、利用者さんの安心、信頼感につながってるのかなと思います。
スキンシップって本当に大切!

そして、機能訓練指導員としてリハビリに集中させていただいている現在では、リハビリとともに以下のような仕事があります。

「リハビリ報告書作成」
「ケア会議への出席(←出席できる時だけですが…)」


鍼灸師の皆さんも「機能訓練指導員」として、色んな事業所に携わる機会があるかもしれません。
その時はどうか「機能訓練指導員」ということに良い意味でこだわらず、利用者さんファースト、そして多(他)職種との連携を意識して携わって欲しいと思っています。

現在では、国(厚労省)が打ち出した「地域包括ケアシステム」が動き出しています。
この取り組みは簡単に言うと、
『要介護になっても、住民が住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最期まで過ごせるよう、住まい・医療・介護・予防・生活支援が一体的に提供されるシステムのこと』
(厚労省サイトより抜粋)

参考までに…
◆地域包括ケアシステムについて
(厚生労働省サイト)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/chiiki-houkatsu/


ここで大切なのは、医療・福祉従事者が多(他)職種連携をとって、住民や利用者さんへの支援を行うことだと思います。

これは地域単位での動きですが、1つの事業所からでも取り組んで発信することは可能だと考えています。
そして、鍼灸師の視点が利用者さんやご家族へ寄与できる事ってたくさんあると思っています。

そんなこんなで、鍼灸師として障がい福祉にどう関わっているかを書いてきました。

障がい福祉デイサービスに携わらせていただくことによって、利用者さんへ往診するご縁もたくさんありますし、利用者さんのご家族、スタッフ、スタッフのご家族、シルバーさん(送迎車の運転手)、シルバーさんのご家族、などたくさんの方が鍼灸施術を受けに来てくださっています。
(上記の方々の友人知人も来られてます😊)

ご縁に本当に感謝です😊

あ!これ大事なこと👇
利用者さんへの往診を行うことで、その方の体調はもちろん、自宅での様子(居住環境や家庭環境など)について、担当のケアマネやデイサービスと共有をしています。

鍼灸で訪問施術を行うことで、利用者さんと障がい福祉の架け橋になるよう努めています。

【障がい福祉×鍼灸の今後の展望】

最後に書きたかったのが、障がい福祉×鍼灸の今後の展望です。

今後の展望というか、ぼくが実現させたいコトなんですが、2つあります。

①「治療ギフト」と連動させて食べ物を注文できるようにしたい
②介護士のために「マッスルスーツ
®️」を導入したい

①つ目の『「治療ギフト」と連動させて食べ物を注文できるようにしたい』は読んでてもしかしたらピンとくる人は少ないかもしれません。
(ぼくもまだ行動に落とし込めていないので…)
でもあえて書きたいと思います。

まず、ぼくの鍼灸院が取り組んでいる「治療ギフト」って何かを簡単にご紹介します。

『治療ギフトとは』
◆通院している患者さんが施術を受ける
 ☟
◆いただいた治療費をポイント化する(「治療ギフトポイント」とよぶ)
 ☟
◆ポイントは当院がまとめて保管
 ☟
◆0才~15才の子ども達が鍼灸施術の際にポイントを利用
 ☟
◆施術を受けた子ども達が『サンキューカード(お礼メッセージ)』を書く
 ☟
◆来院された患者さん達は『サンキューカード』を見ることができる

すごくざっくりとした紹介になりましたが要するに、普段受けてくださっている患者さんの治療費を、子ども達の鍼灸施術に還元しているんですね。
「治療ギフト」の取り組みについてまとめた記事も書いていますので、そちらもお時間があるときにご覧いただければ☟

そこで、「治療ギフト」という取り組みと連動させて、食べ物が注文できる仕組みを作りたいと考えています。

「治療ギフト」は現在、

・治療ギフトポイントは当院が保管
・治療ギフトに協力してくれた患者さんのリターンは『サンキューカード』を見るだけ

なんです。
それを仕組み化することで今後は、

・治療ギフトポイントは患者さん達が各々保管
(ギフトしたい子どもに使える)

・治療ギフトに協力してくれた患者さんのリターンは『サンキューカード』に書かれた文字数をポイント化したもの
(仮にサンキューポイントとよぶとしようw)

という風にして、協力してくれた患者さんのサンキューポイントが、食べ物を注文する際に利用できるようにしたいなと構想しています。

食べ物の中でも、まずは『お米』が注文できるようにしたい。

なぜ『お米』かというと、
『お米』はほとんどの方が食べる食材だから。
『お米』のほか、惣菜や弁当なども考えていますが『お米』が一番重い(;’∀’)

来院されている患者さん達は比較的ご高齢の方が多く、「買い物行くのにお米が重い(;^_^Aと言われる人が大半です。

そして、障がいをお持ちの方でしたら尚更、お米を買って運ぶというのは大変なことだと思うんです。

鍼灸施術を受けて身体が少しでも楽になり、
なおかつ、誰もが必要とする食材の買い物負担を解消したい。

これは、
「要介護になっても楽しく暮らせる街を創る」
というぼくの治療院理念につながる想いなんです。

この仕組みを実現するためには、システム・販売・流通などの構築を何とかしなくてはいけません。

お金もかかります(笑)

ご協力いただける方いらっしゃいましたら、教えてください<(_ _)>

5年以内に実現させたいな。

以上が、①つ目の『「治療ギフト」と連動させて食べ物を注文できるようにしたい』でした。


長くなりましたが次が最後、
②つ目の『介護士のために「マッスルスーツ®️」を導入したい』について。
皆さんは「マッスルスーツ®️」って聞いたことがありますか?

これは、東京理科大学工学部 小林 宏教授が研究・開発された、装着型作業支援ロボットで、人や重い物を持ち上げる・中腰姿勢を続けるといった、身体に負担のかかる作業をする際の動作をアシストし、作業負担を軽減させるとともに、腰痛予防に貢献するアシストスーツです。

今ではCMなどで見かけた方もいるかもしれませんが、介護・製造・物流・農業などの職種の方々に注目をされています。

参考までに…
◆東京理科大学ホームページ☟

◆マッスルスーツEvery(エブリィ)公式ホームページ☟

ぼくがマッスルスーツ®️と出会ったのは、九州医療専門学校での臨床研修生時代でした。
もう10年ほど前になります。(時が経つのは早い(;’∀’))

研修時に「美容鍼灸の研究」を行う中で(ぼくは手伝っていただけですがw)、鍼灸による肌への影響・肌と心身状態との相関などの「数値化」にご協力いただいたのが、東京理科大学の小林 宏教授だったんです。

そこで、小林教授がマッスルスーツ®️を開発されていることを知りました。

今でも九州医療専門学校の鍼灸臨床研修科は小林教授と親交があり、そこではなんと、マッスルスーツ®️を施術の一環として活用しています。

鍼灸施術と組み合わせて、マッスルスーツ®️を用いることで「体幹の再構築」「アライメントが関わる身体トラブル」等の研究が行われています。

◆九州医療専門学校 鍼灸臨床研修科 ホームページ☟


このマッスルスーツ®️を、ぼくが携わっている障がい福祉デイサービスに導入したいと考え、上司と3~4年前からお話を重ねています。

今年か来年あたりに導入できそうな動きがありそうだとか。。。

で、マッスルスーツ®️を導入してまずぼくがやりたいコトは、

『マッスルスーツ®️を使ってスタッフの身体をケアしたい』

時々業務終わりに、スタッフへ鍼灸でケアをすることがあります。
でもいつも思うことがあるんです。

「介護の仕事も体力仕事。症状が出てから治療するには限界がある。。」

そこでマッスルスーツ®️を用いて「体幹の再構築」と「アライメント調整」を行うことで、
鍼灸施術と組み合わせて、
「症状が出にくい身体創り」として寄与していきたいと考えています。

そのような取り組みを通して、

「介護福祉士という職種の魅力の底上げ」
「ぼくが携わってる障がい福祉デイサービスがより魅力のある場所」

になっていったら良いなというのが、ぼくの想いです。

以上が、ぼくの鍼灸院の〝取り組み〟3つ目。
『障がい福祉に鍼灸を!』についてのお話でした。

今回は本当に長文になりました(;’∀’)(想いが強すぎて(笑))

最後までお読みいただきありがとうございます。

ほかの、ぼくの鍼灸院の〝取り組み〟や〝治療院理念〟もよかったら読んでみてくださいね(^_-)-☆

 それでは!一緒に頑張っていきましょう!

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