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地平を歩く

人が歩いている
遥か彼方まで先の見えない地平線を、数えきれないほどの人が
片や東へ向けて、片や北北西へ向けて
それぞれがそれぞれの歩幅で、それぞれの歩き方で
好き勝手に歩いていく

その地平に階段を建てようとする人や、地面にレールを引こうとする人もいる
人によってはその階段を上ろうとする人や、レールに沿って歩こうとする人もいる
そのレールや階段は、時が流れていくにつれて古寂び、朽ちていく

人によっては目的地を決めて、人によっては気持ちよく歩く為に
ただ延々と続く地平線を歩いていく

その地平はある日突然崩れ去るかもしれない
それを恐れてうずくまる人も中にはいるが
大体の人はそれを忘れて歩き、中にはそれを恐れず進む人もいる

そうやってそれぞれがそれぞれの道を歩いていく
その正誤を調べる人もいるが、時が過ぎるにつれてその正誤も変わり、
あるいはその正誤も忘れ去られていく

ただそれぞれの人が歩き続けていく
新たに生を受けた赤ん坊も、生気に満ちた若者も、もう余命幾ばくもないお年寄りも
皆ただひたすら歩いていく

それが何になるのかなんて皆知っているようで知らない
只その地平に降り立った人は、すべからく歩く

そうして数えきれない人々がただひたすら歩く
どこまで続くかわからない、いつ終わるかもわからない地平を
数多の人が今日も歩く

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