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向田邦子(1)

向田邦子は、亡くなる2年前、小学生時代を過ごした鹿児島を38年ぶりに訪れています。

照国神社は、コンクリート造りに変わっていました。繁華街の店も動物園も消えていました。住んでいた高台の社宅もありません。

あれも無くなっている、これも無かった―無いものねだりのわが鹿児島感傷旅行の中で、結局変わらないものは、人。そして生きて火を吐く桜島であった。 (向田邦子「鹿児島感傷旅行」)

その鹿児島の飲み屋で出会った外国からの客は、今夜1泊して、明日にはもう熊本へ向かう、といいます。

「鹿児島で何を見た?」と問えば、「サクラジマ」と答えます。「それだけ?」と同情した後で、でも、それだけで充分な気もしました。


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