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忍耐

忍耐という名を付けられた探査車が、7箇月間の宇宙の旅を経て、火星に着陸しました。これから2年を掛けて、生命の痕跡を探す、といいます。

けれど、生命の痕跡って、何だろう。まさか、タコ足星人がふらふら歩き回っている訳でもありません。

私達が探査し得る痕跡とは、私達が想像し得る生命体の痕跡でしかありません。だけど彼等は、もっとほのかで、おぼろげで、曖昧な存在かもしれません。

もう既に7箇月も前から、あなたの周りで着々と何らかの任務を遂行しながら、その痕跡をちっとも残さない程度に。

人類は小さな球の上で/眠り起きそして働き/ときどき火星に仲間を欲しがつたりする(谷川俊太郎「二十億光年の孤独」)

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