見出し画像

東京から

東京から半径100kmのコンパスをぐるりと回せば、水戸や、前橋や、宇都宮に行き当たります。

その距離を、4:30にスタートして15時間以内に走る。マゾヒズムに満ちた富士五湖ウルトラマラソンに友人が挑戦する、と聞いて、応援(見物)に赴きました。

レースの佳境は、夕闇が迫る頃からでした。体力が限界に近付いたランナー達の足は引きずられ、腕は垂れ下がり、顔からは表情が消えていました。

夕闇の中、富士山をバックに脱けがらのような人々がトボトボ歩いていく光景は、何かの宗教の苦行にも、ゾンビ映画の一場面にも似ていました。

それでも見事に完走した友人は、感慨に浸る間もなく、ギュウ詰めのバスに押し込まれ、都心に逆送致されて行きました。

この記事が参加している募集

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。何らか反響をいただければ、次の記事への糧になります。