「セカンドライフは田舎暮らし」と田舎暮らしになんとなくあこがれている人が少なくないそうです。
「田舎暮らしをしよう」と田舎暮らしの雑誌を読んだり、インターネットで調べたりと、色々と情報を収集しておられる方も少なく無いでしょう。
ここまでなら、まだアクションを起していないので実害はありません。
緑豊かな山々や青い海に囲まれて生活している自分を夢見ながら、想像の世界で十分に楽しめるのです。

しかし、「田舎に移住する」と言うアクションを実際に起こす事ができる人は多くはありません。
家族の問題・仕事の問題・子供の問題、健康の心配・生活の不安・人間関係の不安・・・そんなことを考えるとなかなか踏みきれないのもうなずけます。

「生まれ故郷の田舎へ帰る」とか「奥様の実家へ引っ越す」とか、そういった縁故があると人間関係や生活・風習などの情報も事前に入手が可能ですが、知り合いが一人もいない全く知らない土地へ移住するとなると、かなりの勇気が必要になります。

とは言え、考え方によってはそれほど大した事では無いのかも・・・。

外国へ移住するわけでは無いので言葉の心配は要りません。
テレビの番組もほぼ全国共通だし、新聞もローカル新聞とはいえ、全国紙と大きな変わりはありません。
現在ならインターネットの普及で情報が閉ざされてしまう事もありません。
気候だって、北海道はこんな寒さ、沖縄ならこのくらいの暑さと、大方の予想はできます。
「居住空間を移すだけ」と考えればそれほど大げさに考える必要は無いのかも知れません。

しかし、「背水の陣で第二の人生を目指したのだけれど、どうしても田舎になじめない」とか、「妻が以前の土地と比較して毎日文句ばかり言っている」とか、理由はそれぞれですが、途中で田舎暮らしに挫折してしまう方も少なくないようです。

過大な期待と情報過多による実際の暮らしとのギャップ、そして何よりも人間関係の煩雑さに翻弄されて田舎暮らしをあきらめてしまう人も多いと聞いています。

それでは、田舎暮らしを続けられる人とはどんな人なのか?。

以前、私のホームページで2軒の田舎の空き家情報を出したことがありました。
その時は、そこそこの方々が空き家を見学にいらっしゃいました。
世の中には色々な価値観を持った方がいるものだな・・・そんな方々とお話をさせていただき、そんなことを思ったものでした。

「田舎暮らしをしたい」と言う事で、空き家を見に来られる方々のお考えも様々です。
随分自分勝手なことをおっしゃる方もいらっしゃいました。
とても紳士的で感じの良い方もいらっしゃいました。
しかし、田舎暮らしに対する思いは皆さん少しづつ異なります。
そして、2軒の家をお借りになるのを決められたお二組には共通項がありました。
お二組とも、家をご覧になってその場で即決でした。

即決されたお二組に共通するのは、「田舎暮らしをする」事が最初から決まっていた方々でした。
「田舎暮らし、いいな~」と言う単なる憧れや、その時の気分ではなく、「私達はどこかで田舎暮らしをするんだ」と言う決意があって、どこかで田舎暮らしをすると言う事をすでにお決めになっていらっしゃったようなのです。
そして、私がお会いした印象も、「この方々に来て欲しいな~」、「きっとこの方々だったら田舎でもうまくやって行けるだろうな~」と思えるような方々で、田舎へ移住する事にあまり不安は抱いておられないようでした。

濃過ぎてわずらわしい人付き合いや、田舎ならではのよくわからない生活費用、買い物の不便さや病院までの距離など、一通りのデメリットはご説明させて頂いたのですが、それらの悪要素?はあまり大きな問題では無いようでした。
もっと軽い乗りのような気がしました。
「国内にいるんだからそんなに大それた事をしたわけでは無いさ」見たいな感じです。

実は、居住の本拠を移す時、この軽さが最も大切です。
あまり真剣に考えてしまうとどうしても現状を変えることはできません。
「もう20~30年、好きなことをして生きたい」が正直な気持ちなのでしょう。
好きなことをするためには当然多少のリスクは付いて回ります。
そのリスクを当たり前のように軽く捕らえて「チョット田舎へでも住んで見るか?」と、そんな乗りで移住をお決めいただいているのでしょう?。
これは正解かも知れません、ダメならまたどこかを探せば良いのですから。

即決をされた方々は、年齢的に、今更職を求めたり、子育てをする訳ではありません。
余生を送るのに、もう地位や身分や余分なお金は必要無いのです。
最も必要なのは「時間」なのです。
もう人生の残りはそれほど多くはありません。
過ぎてしまった時間の方がはるかに長いのです。
そこに思いを寄せれば行動には迷いは出なくなります。
この先人様に迷惑を掛けるようなことは無さそうだし、世の中に貢献しようとしても年齢的にそれほどのことはできそうにありません。
ならば、ご夫婦で、残された時間を楽しむためだけに使っても悪くは無いと思います。
「自分の時間をどう使おうと誰にも文句は言われない筈」と考えるとうんと気が楽になるのです。

あーでもない、こーでもないと考えていると、何もできません。
人生なんて、子育てさえ終えてしまえばそれほど重さは無いのかも知れません。

半面、「考えて見ます」とお返事をして帰られた方々は、「考えてみます」ではなく「やはりちょっと!」と言う事で、私が見る限り「田舎暮らし」に対する覚悟ができておられないようでした。
「まあ、どんなもんか?、ちょっと見てみるか?」程度の、続に言う「ひやかし」ですね。

私の場合は「子育て」の最中に、いや、その「子育て」が主な目的で田舎に移住してきたわけで、かなり特殊な事情があったのですが、「定年退職後の余生を田舎でのんびり」なんて余裕しゃくしゃくの方々には田舎暮らしも良いかもしれません。

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