田舎暮らしは仕事に困る

昨夜来の雪であたり一面白銀の世界。
湿った重たい雪がかなり積もっていて雪かきが大変。
もしも今の家に引っ越さずに以前の山里に住んでいたとしたら、多分一歩も外に出られなかったのではないかと思うとぞっとする。
先ほど、奥方殿に頼まれてスーパーへ買い物に行ってきましたが、こういった面を考えると街中で暮らすのは便利ですね。

さて本題、田舎には働くところがありません。
平日の田舎の昼間はごそごそと農作業をしている老人しかいなくなります。

現役の労働可能世代は、民間企業や官庁などに就職していて、職場は地元ではありません。
この集落内にある事業所は、市の支所・郵便局にローカルの土建業社が一社と旅館が一軒。
このうち、市の支所の職員は、多分いやいやながら街中からこちらへ通勤しているだろうと思われますし、郵便局の職員も最近は地元の人はほとんどいません。
仮に地元の人がいたとしても、超ベテランでなが~く努めておられる主みたいな人。
この人たちは仕事を手放しません。
そして、最近になって、土建業社は本社を集落内から利便性の良い街中へ移してしまいました。

と言う事で、地元には勤め先はありません。
それでは自営業はどうだろう?と言うことになりますが、そもそも地元に産業らしい産業が無いので、これもなかなか難しいと思われます。

そもそも、田舎の定義をすると、「人口密度が低く、産業もなく、観光資源にも乏しく、高齢化・少子化が進んでいる地域」となるわけですから、「勤め先が無い」・「自営業はやっていけない」が当然なのです。
だから、どこの田舎へ行っても、働くところはほとんどありません。
その上、田舎の事業所では、あまり能率を重視していないように感じます。
バリバリのやり手が来て片っ端から仕事を処理してしまうと、多くの人の雇用ができなくなってしまうので、多少能率が悪くても、なるべく多人数の雇用を確保したいという姿勢があるような気がします。
私の仕事であるシステム開発は、能率を求めないこの地の方々には余分なことなのです。

と言うことで、何とか地元で仕事をと思っていたのですがそれは無理な事とあきらめるしかありませんでした。

大企業やお役所を定年まで勤め上げて退職金をたっぷりもらい、そこそこの額の年金を頂ける方々には私のような心配は無いのでしょうが、実際に自営業で食べて行こうと思うと田舎では困難です。

よほどの預金があるか、あるいは地元の企業にコネがあって就職ができるか、又は、100%農家になってしまうか(いやいやこれも難しい)しか道はありません。

「田舎暮らし」と言う言葉の響きはなんとも耳ざわりが良いのですが、現実は厳しいものがあるのです。
でも、多少お金に苦労しても、イタリアンやフレンチのランチに行けなくても、一度、田舎のゆったりとした時間の流れに身をまかせてしまうと、都会には戻りにくくなってしまうのも確かです。

物質的に豊かな生活を取るか、精神的な豊かさを求めるか・・・?。
正直、ちょっぴり迷うところですね。

昨今なら、インターネットを駆使して収入の道を確保し、ゆったりと田舎で暮らしながら悠然と生活することも可能ではありますが、そんなことができる人は一握りで、標準的なサラリーマンだった人には難しいですよね。

幸いなことに私は、多くの方々からご紹介をいただいて、見ず知らずの土地なのに、そこそこのクライアントを見つけることができ、悠々自適とはいきませんが、ご飯を食べることくらいは何とかなっています。

と言うのも、「都会ではまずできない非効率な部分」を掘り起こして、そのシステムを農家さんに売り込み、それがそこそこ成功いたしました。

この地域は果樹農家が多く、りんご・梨・桃などとてもおいしいフルーツが収穫されます。
が、果樹農家の皆さんは昔ながらの農家なので、「インターネットを利用して販売するあるいは集客する」と言う方法があるのはご存じながら、具体的に「どうしたら実現できるのか」がお分かりになっていません。

・ホームページを設置
・SNSで集客、
・注文データの処理と発送伝票の発行
・メールマガジンで顧客を固定化
実は私は、この4工程を丸請けすることを思いついたのです。

解りやすく言えば、家にパソコンやスマホが無くても、
・WEBサイトが設置できて、
・オンラインでの注文は一覧表に変換されて届き
・宅配伝票は過去の注文データを参照しながら印刷可能
と言うところまで、フルサービスで請け負ってしまうと言う事です。

これ・・・そこそこ当たりました。

が、ここで問題が一つ。
ご高齢の上に後継者がいない農家さんが多く、「廃業」する農家さんが出てきてしまったのです。
もっとも私も負けず劣らずの高齢者なので、自分自身が「今の仕事がいつまでできる?」と言う不安を抱えている始末、農家さんが廃業されてしまうのも無理からぬことですよね。

後継者がおられる農家さんも何軒かありますが、うまく次世代の園主さんと引き継ぎができた場合と、世代交代によって取引が途絶えてしまうと言うケースもありました。
取引が途絶えてし舞うケースとしては、年齢的な価値観の相違で、若い園主が自分と同じ世代の知り合いの業者さん鞍替えすると言うケースです。
まぁ、これは仕方がないことですが、ちょっと残念ではありますね。

うまく引き継げたケースもあり、私の提案で、WEBサイトを新たに見直し、クレジットカードやバーコード決済などのキャッシュレス決済にいち早く対応し、今回のINVOICE対応にもご協力をいただいて、世代交代初年度からそこそこ売り上げも伸びたました。

いずれにせよ、田舎では「仕事を作り出す」事ができれば食べて行けるのですが、それができないとなかなか厳しいものがありますね。

特殊技術や資格などをお持ちであれば勤め先を確保することができる可能性は高くなりますが、そういった物がない場合は「自分で仕事を作り出す」努力をしないと食べてはいけません。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?