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短編

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#大和

泣いたって始まらないのに18

泣いたって始まらないのに18

 由美はお店を出ると、足早に駅へ向かった。
急いでいる訳ではないのに、足が勝手に動いてしまう。
鼓動がすれ違う人にも聞こえそうなほど高鳴っている。
 爽子の旬を見る目を……
そして旬の指先が爽子の頬に……
あぁ厭らしさなど微塵もない。
ふたりには日常のひとコマなんだね。
 でも、でも眩しくていたたまれなかった。
愛し合っているって凄いんだ。
わたしのまだ知らない世界。
わたしに訪れてくれるのか? 

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