はじまりのはじまり

ふとした瞬間にいつも、思うことがある。

「わたしは今、どこに向かっているんだろう…」

世界中を旅していても、日常にいてもその答えはもやっとしていて、いまいちよく分からない。わたしは常に行き当たりバッタリで、あまり予定をたてず直感で動くからか、その時々のゴール風景が先に見えることがない。

気がつけばここに着いていた、こんな人に出会った、こんな時間を過ごしていた…そんな繰り返しの日々。旅でも日常でも、それはあまり変わることはない。

何年か前に「10年後の自分はどうなっている」というイメージを書く機会があった。その時わたしは、ササッと紙に素早く書き上げたことを覚えている。不思議なもので、実は遠いところのゴールはあたまの中でイメージできていたのだ。

優柔不断なわたしはたまに、あの時あっちの道を選んだから今こうなっているんだと、過去に選んだ道に対してモヤモヤと悩んだりもする。そんな折、知人にこんな言葉を教わった。

「道はどこにもない。ただ、大草原が広がっているだけ。」

なるほど、大草原だと道はふたつだけではなく幾通りでもある。だってもともと道などないのだから。草を倒して歩けばそこに道ができる。たどり着く先に大差はない、どこを通るか、近道を行くか遠回りをするかの違いくらいで。そう、目指す方向さえ定まっていればどうにでも行けるんだ。何だかちょっと楽になったよ。

最近、自分がトライしていたことが失敗に終わってがっくりと肩を落としていたわたし。そのタイミングで「過去と未来を大きく動かせ！」と言わんばかりに、人から勧められたことが幾つかある。そのひとつが「note」だ。

ふむふむ、noteか。名前は聞いたことがあるぞ、確か２年くらい前に友人から勧められたかもしれない。だけどわたしはその時、noteに一歩を踏み出さなかった。そして今回、身も心も疲れ果て、人生を再構築していかなければという段階で目の前に再浮上してきたツール「note」。

予言するよ、これはきっと「はじまりのはじまり」だ。

さぁ、改めて何を書いていこうか。今までやってきたsnsでのアウトプットって、フェイスブックとブログをちらっと。ブログは最初にそこでのテーマを小さく絞りきってしまったので、ほぼ更新できてない。因みにテーマは「わたしとハワイ」。最近ほとんどご縁が遠ざかっているだけに、全く書けない。

フェイスブックに関しては、わたしの日常や感情がだだ漏れしている。今、こんな風にして生きているよっていう生存報告。あと、とにかくあたまの中に溜まったものをどこかにアウトプットしたくて使っているだけ。出すとすっきりして、次の新しいものがわたしの元にやって来るという循環のシステム。

だけど、せっかく一度はやって来たものを常に流しきってしまうのも、その時に確かにあった時間を消し去ってしまうようで少しさみしい。10年後にたどり着いた時、こういう道を通ってここまで来たんだよって、自分に教えてあげる為にもこれをまとめてみた方がいいなと思った。なので、ここでnote！

過去を留めるのと同時に、新たに書いていくものも沢山あると思う。というか、書く。ここでしか書けないもの、書きたくなるものがきっと次々とやってくるだろう。過去の記憶は更新されていく、忘れていたひとかけらを付け加えることによって。過去と未来を同時に動かせる可能性が、ここに見えた。

あたまの中にある妄想的世界、現実に出歩いた世界の情報、風景、あらゆるモノの写真たち…わたし「Hinatan」というワールドをここに展開していくことがもし許されるのなら、どうかあなたの仲間に入れてやってくださいませ。

ということでひとまず、最近のわたしのあたまの中をどうぞ。

私はアイスランドの大草原を歩いている
前にも後にも 道はない
足を踏み出すたびに 草はゆらり倒れる

大草原の下には神戸の地下道がある
薄暗いオレンジの電灯が心元ない
私は老眼の目をしばたかせながら歩いている

大草原の上には青い空がある
太陽が雲の上を真白に照らしている
私は飛行機内で本を読みながらハワイへ向かう

私は縦に 上下一列に並んで移動している
カレンダーの日付は今日10月5日
世界はまだ ゆっくりと回転を続けている
たまに カチリと変化の警告を打つ

時折自転車が勢いよく
大草原の向こうからこちらにやって来る
すれ違いざまに色褪せた記憶の香りを放つ
未来からのノスタルジア
誰かが言った言葉がリフレインする

私は今 部屋の椅子に座っている
大草原の歩みは 頭の中で未だ薄っすら進行中
私は今 たぶん 部屋の椅子に座っている

父が見ているテレビの音が
母が台所で作っている味噌汁の匂いを連れ
階段を登って私の部屋までやってくる

ここはいつもの日常
カレンダーの日付は今日10月5日

ドレモガワタシデ アルヨウニ

今日も沢山の私が
いつかの どこかに向かっている