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学びを実践に。飲食店開業のスタートダッシュに活かした「PR戦略」とは?

■朴 熙哲(ぱく ひちょる)さん/サンテル株式会社 常務取締役

デジタル技術の発展に伴い社会の変化が著しい昨今、必要とされているのが現役のビジネスパーソンの学び直し(リスキリング*)。その背景として、産業や企業のDX(デジタル・トランスフォーメーション)化によるビジネスモデルの変化によって、これまでに存在しなかった仕事や課題に対応できる人材の育成が企業に求められているからです。

*リスキリング:新しい職業に就くために、あるいは、今の職業で必要とされるスキルの大幅な変化に適応するために、 必要なスキルを獲得する / させること

経済産業省「第2回 デジタル時代の人材政策に関する検討会」資料2-2 P6

宮崎県内の産業人材の育成を目的に実施している、宮崎県主催の人材育成事業「ひなたMBA」。今回は、経営者や経営幹部、中堅社員向けに昨年度開講した「PR戦略」講座の受講者の声をご紹介します。インタビューを受けていただいた方は「サンテル株式会社」の常務取締役・朴 熙哲(ぱく ひちょる)さんです。

■受講講座:『メディアに取り上げられる実践的PR戦略セミナー』(講師:田代くるみ氏、2023年1月27日開講済)

■所属企業:サンテル株式会社(所在地:宮崎市老松2丁目1番48号 3106.BLDG、代表取締役:山本貞輝 氏)
平成19年宮崎市で創業。建設業から始まり、飲食事業、不動産事業(センチュリー21)、運送・代行事業(出前館)、駐車場運営管理事業、建設業、特殊洗浄業など、様々な分野へと事業を拡大中。「サービスによる感動体験」「心躍る空間」を生み出すため、各事業がシナジーを生み出しながら成長を続ける宮崎のまちづくり企業。

朴 熙哲さん

受講動機は「飲食部門新店舗のプロモーション活動を成功させたい!」

━━さっそくですが、「ひなたMBA」との最初の接点はいつですか?

朴さん:2020年6月です。グロービス経営大学院学長の堀義人さんが宮崎で特別講演をされるという案内が届きました。著名な方なので、どんな話をされるのか興味がわいて、弊社代表の山本と一緒に参加しました。それがひなたMBAに関わる最初のきっかけでしたね。

━━講演などの学びの場によく参加されるのですか?

朴さん:そうですね、代表の山本も私もよく書籍を読みます。講演や講座にも、自分たちが課題に感じたり、不足している部分で、学びになるような機会があれば参加するようにしています。

━━昨年度は『PR戦略』について学ぶ、田代くるみ氏登壇『メディアに取り上げられる実践的PR戦略セミナー』(2023年1月27日開講)を受講されています。PR戦略について何か課題や不足感を感じていらっしゃったのですか?

朴さん:この講座があることを知ったとき、ちょうど飲食店を新たにオープンする計画が進行中でした。「トリホルテルヤ大塚店」という鶏焼肉のお店なんですけど、初期からたくさんご来店いただけるように、どのような形でPRしていこうかと考える中で、ちょうど私たちが求めていることにマッチした講義内容でしたので、受講を決めました。
当日は私と、弊社建設部門『九健』社長の堀口、弊社飲食事業部マネージャーの押川の3名で参加しました。

▲2023年3月19日に宮崎市にオープンした「トリホルテルヤ大塚店」

━━なるほど。新店舗のオープンはいつだったのですか?

朴さん:こちらに、実際に受講後に作成したプレスリリースがあるんですけど…(プレスリリースを確認しながら)2023年3月19日がオープンですね。

━━オープンの1カ月半くらい前の受講だったんですね。まさにドンピシャのタイミング!

朴さん:そうですね、これを作るために受講したようなもので…(笑)。
私は以前も結構プレスリリースを手掛けたことがあって、それをきっかけにメディアさんに取り上げられた経験もあります。だからその重要性はわかっているんですけど、より精度を上げて、メディアにもっと取り上げていただくためにはどうしたらいいかっていうところを学びたくて参加しました。

▲実際に使用したプレスリリースと、記事が掲載されたメディア

講座で学んだ「広告とPRの違い」

━━講座の中で学びになったこと、印象に残っていることはどんなことですか?

朴さん:いろいろあるんですけど、「広告とPRの違い」の部分でしょうか。
広告って、自社の伝えたいことを経費をかけて掲載してもらい、たくさんの方に知っていただくためのもの。一方PRは、Pはパブリック(公共の)を意味するので、公共性というか、社会的にも良いもの、面白いものであれば発信していただける、という感じで捉えています。
広告とPRではそもそも打ち出し方や、訴える観点が全然違ってくる、ということ。それまではなんとなくしかわかっていなかったですね。

━━それは受講時のメモですか?

朴さん:はい、私はメモを取らないと忘れるタチなので(笑)。…(メモを見ながら)キーワードは「新規性」「希少性」「話題性」「公益性」などですね、あと逆説対立とかトレンドとかも意識しながら、このネタで何がフックになるのかを考えるという…

実際にプレスリリースを作るときに読み返しながら、そんなところを意識して作業しました。

あと、プレスリリースに使う画像も、こちらで加工してしまうとメディアさんが使えないとか。解像度や容量についても、メディアに掲載してもらうことを前提にした仕様でこちらも準備しないといけないとか。講座を受けるまで、全く意識してなかったですね。

━━すごい、即実践してプレスリリースを作られたんですね。朴さんが書かれたのですか?

朴さん:講座に参加した2人で、開業前準備の様々なタスクを一覧表にしたりスケジュールを組んだりしてオープンまで進めていったんですけど、そうやってプロモーション活動をチームでやっていく作業の一つとしてプレスリリースの原稿も作りました。マネージャーの押川が書いて、それをもとに意見を出し合ったり、一緒に揉んだりしながら仕上げました。

都市部の大企業では社内に広報の専門部署がありますが、弊社は関係部署と総務部で協力しながら広報活動をやっている状況です。

━━結果的に初動のPRとしては成功しましたか?

朴さん:はい、県内の主要なメディアはおおよそ取材・発信してくださいました。

実はオープン直前に関係者向けのレセプションを開いたんですけど、そのご案内もプレスリリースに添えて、県内各メディアさんにお送りしたら、結構来てくださって。実際に召し上がっていただけるので、伝わりやすいですよね。帰り際には「絶対取材に来ますね」と言ってもらえました。ちょっと無理やり感ありますけど(笑)。

インプットあってこそのアウトプット

━━講座を受けたり研修に参加したりといった学びの機会は、会社全体としても積極的に活用されているのですか?

朴さん:活用している方だと思います。例えばここ(下の写真/センチュリー21サンテル宮崎本店)も不動産部門でセンチュリー21九州地連や宅建協会さんなど団体に所属しているので、いろいろ勉強の機会のご案内をいただきます。この内容だったらこの人に適しているからと勧めたり、逆に現場からこんな内容のこの講座に行ってきていいですか、と要望が上がってきたりしますね。

ー会社が学びを後押ししてくれるのはありがたいですね。

朴さん:そうですね。ただ当然仕事として行くので、受講したらちゃんとレポートを書いて会社に提出するルールにしています。何かの課題を解決するために学びに行くので、その時の学びをどう実務に落とし込むかが大事。ただ「勉強になりました」で終わらせるのではなく、使った時間以上の成果を出せるように意識する必要はあります。

━━経営層の方々自身も、学びを大切にされているのでしょうか?

朴さん:どちらかと言えば積極的なだと思います。日々の実務が忙しすぎてなかなか行けないっていう人もいますけれど、やっぱり自分たちがインプットした部分しかアウトプットできないですね。社内のDX化についても、ただただデジタル化するのではなく、業務効率や生産性が高まらないと意味がないので、経営層も勉強は必要だと感じています。

━━今、朴さんが学びたい分野はありますか?

朴さん:地方の会社ではなかなか専門部署がないのが、「広報」に加えて「人事」の部分だと思います。採用や育成、人事面について、自分が勉強して強化していきたい気持ちはあります。

━━最後に、ひなたMBAを受講しての感想とメッセージをお願いします。

朴さん:私たちは昨年PR戦略について受講して、それまで知らなかった情報が得られました。それを生かしながら今の成果につながっている部分もあると思います。経営幹部とは言え若輩者の私が言うのも恐れ多いのですが、諸先輩方もこれまでの知識や経験に新しい知識を取り入れることで、会社に新たな展開が生まれるかもしれません。もし自社に足りないところや勉強が必要だと感じる分野の講座がひなたMBAにあれば、受講してみるといいんじゃないかなと思います。


サンテル株式会社を牽引する若き幹部、常務取締役の朴さんは、ひなたMBAで得た知識やテクニックを即実践。自社飲食店のプロモーションに取り入れて、手応えを感じていらっしゃいました。

2023年6月には、グループ各事業部がシナジーを生み成長していくことを目指し、ホールディングス化しています。新たに自社ビルも誕生し、これからの発展がますます楽しみな宮崎の企業です。


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取材・構成・執筆:矢野 由里

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