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#81 私が私のために読む絵本

「本を読む」という行為って能動的な分、けっこうエネルギーを使うと思います。
そのため、子どもが生まれてからは、重厚な長編小説などはあまり読めていなくて、エッセイ集など細切れでも読める本が本棚に多くなりました。

それと似たような理由で、自分自身のために絵本を読むことも増えました。
絵本って短い作品だと5分もかからず読めるのに、その世界観に触れた後は少し気分が変わったり、気持ちが落ち着いたり、確かな効用があります。

というわけで、今日は繰り返し読んでいるお気に入りの絵本を2冊ご紹介したいと思います。

ヒルダさんと3びきのこざる


ヒルダさんは3匹のこざるを大切に育てているのですが、このおさるさん達がとにかくやんちゃ。
ヒルダさんが外出している隙を見ては、家をめちゃくちゃにしてしまいます。
ある日、堪忍袋の緒が切れたヒルダさん。

「ああ、もう いいかげんにして!」
ヒルダさんは おおきなこえを はりあげました。
「わたしの しずかなくらしを かえしてちょうだい。
こんな にくたらしい こざるなんて、
もう いらないわ!」

クェンティン・ブレイク 文 エマ・チチェスター・クラーク 絵 むらおか みえ訳『ヒルダさんと3びきのこざる』

でも翌日、外出から戻ってみるとこざる達の姿がどこにもありません。
青ざめて家中を探し回るヒルダさん…。
涙が止まらないのでタオルをとろうと、戸棚を開けると…。

私は、ヒルダさんを自分自身、3匹のこざるを子ど達に重ねながら読みます。
正直、やんちゃな子供たちに手を焼き、うんざりしてしまう時もあるのですが、ある日突然子ども達がいなくなってしまったら?
もう会えなくなったら?

この絵本を読むと、子ども達がただ元気に育ってくれているだけで十分だと思えます。
子供たちの愛おしさ、ありがたさに立ち返らせてくれる絵本です。

14ひきのせんたく


『14ひきシリーズ』は大好きな絵本です。

おとおさん おかあさん おじいさん おばあさん
そして きょうだい 10ぴき。
ぼくらは みんなで 14ひき かぞく。

いわむら かずお著『14ひきのせんたく』

というお決まりの冒頭で始まるシリーズ なのですが、14匹のねずみ一家の生活をそっと覗かせてもらっているような、ほっこりする絵本です。

季節の行事や暮らしを扱っているので、春には「ぴくにっく」冬になると「もちつき」とその時々の季節を存分に味わうことができます。

夏のこの季節は『14ひきのせんたく』がおすすめです。
自然の風景の描写がとても美しく、画集のような感じで眺めているだけでも癒されます。

『14ひきのせんたく』も川の水が流れる様子、木の上で気持ちよく洗濯物を干してそれが風に揺られる様子が何ともいえず夏らく、涼しげです。
絵本を通して季節を感じられて贅沢な気分になりますね。

14匹シリーズは、かなり高い確率で街の図書館にも置いてあると思いますので、興味を持っていただけた方は借りてみるのもいいかもしれません。

 『「働くママ」に読んでほしいおすすめ絵本』 と称しておすすめの絵本を5冊紹介する記事も書いています。
あえて読者を限定するようなタイトルにはなっていますが、働いていてもいなくても、共感できる内容が多い作品をまとめているので、よろしければこちらもご覧になってみてください。
(『ヒルダさんと3びきのこざる』も5冊の中に含まれています。)

最後まで読んでいただいてありがとうございました

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