マガジンのカバー画像

電脳虚構

25
近未来テクノロジー空想小説のショートショート
運営しているクリエイター

#未来

電脳虚構#18|課金地獄

さびれた工場の隅、毎日の退屈な流れ作業。 安い時給で鞭で打たれるように働かされ、身体を引きずるように帰る。 今日もスーパーで安いカップ麺と、見切り品の総菜を適当にを買う。 殺風景なワンルーム。 エアコンの調子が悪く、むせ返るような暑さだ。 日々溜まっていくのは金ではなく、捨てずに置きっ放しのゴミと、ストレスだけだ。 そんな現実から目をそむけながら、適当に夕食をかっこむ。 ゴミをいつものように放り投げ、逃げるようにして「あの世界へ」もぐる。 ・ ・ ・ Chapte

電脳虚構#12 | どろろ

Chapter.1 サブスク 人体転送サービス「ファストトラベル事業」が盛んになり、企業の低価競争がはじまった。 サービス開始当初は1回のトラベルから発生していた料金。 ついに「トラベルし放題」のサブスクが主流の時代へ。 ・全世界どこへでも! ・国内のどこへでも! ・地域限定 ・夜割、学割 ・レディースデー・シニアデー 様々なターゲットにしぼり、サービスが次々に実装された。 僕は頭も悪く、容姿もごく普通。特に取り柄のないフリーターだ。 お金もなくサブスクに入るような