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電脳虚構

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近未来テクノロジー空想小説のショートショート
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2021年9月の記事一覧

電脳虚構#20| 幽霊の証明

「どーですか? 私のかけてるこの”ゴーストグラス”。 一家にひとつ、いや個人にひとつ持っててもいいくらいですよ」 「これで本当に幽霊が見えるんですか? なんかイマイチ実感わかないなぁ」 「いやいや、この商品は”幽霊が見えないこと”に意味があるんですよ」 「え?みえなければ、ゴースト・・グラス? それの意味なくないですか?」 「この商品。我が社がNOSOと共同開発して何年もかけて実現した画期的な発明なのです。 現在、特許申請中ですが、いずれ大きなニュースになるでしょう

電脳虚構#18|課金地獄

さびれた工場の隅、毎日の退屈な流れ作業。 安い時給で鞭で打たれるように働かされ、身体を引きずるように帰る。 今日もスーパーで安いカップ麺と、見切り品の総菜を適当にを買う。 殺風景なワンルーム。 エアコンの調子が悪く、むせ返るような暑さだ。 日々溜まっていくのは金ではなく、捨てずに置きっ放しのゴミと、ストレスだけだ。 そんな現実から目をそむけながら、適当に夕食をかっこむ。 ゴミをいつものように放り投げ、逃げるようにして「あの世界へ」もぐる。 ・ ・ ・ Chapte

電脳虚構#17| 人生テトリス

この世の中、みんなそれぞれテトリスのブロックになり、自分の場所へとはまっていく。 向きを変え、スキマをさがし、上手に積み上がったブロックの中に溶け込んでいく。 時にスキマが生まれても、すぐ次のブロックがフォローして隙間を埋めてくれる。そういうチームワーク、助け合いがあるのが素晴らしきこの世界だ。 僕は・・でも僕は。 いつも自分の番が回ってきても、スキマなんかない。 どんなに向きを変えても、自分のというブロックがピタっとハマる場所が見つけられない。 タイムアップがきて、