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チャンスに飛び込めるかが人生を分ける話。

1月7日、私は始めての撮影会に臨んだ。緊張しすぎて家を出る時間を1時間間違え、軽く震えながらスタジオ入りすると、同じく今日出演するモデルさんと鉢合わせしたので少し話した。

「今日めちゃめちゃ寒くないですか?」
「寒いです、、、、風が強いから髪の毛わーってなっちゃう」
たったそれだけだったけれど、フレッシュのモデルさんでも、アイドルしてても、こんなに可愛くても、やっぱり普通の女の子なんだということに気づいてちょっと嬉しくなったし安心した。そりゃあ考えれば当たり前のことなんだけど、idolには偶像という意味があるし、こういうところにいる女の子は自分とは住む世界が違うように感じていたから。私はこれまでかわいい女の子を偶像として崇拝する側だったから余計に緊張していた。

正直、かなりお門違い感はあった。同じセッションのモデルさんは現役の地下アイドルさんやグラビアアイドルさんや舞台で活躍する女優さん、いわゆる「芸能人」ばかり。私は芸能事務所なんて所属していないし、そもそも所属したこともないし、これから芸能で食べていくつもりもないし、本当にただの田舎の大学生でしかない。そもそも私は自分からモデルに応募したわけではなく、先にモデルを始めていた後輩の紹介でこの仕事を始めた。誘われて、バイト感覚でOKしてしまった。それなのに、私がステージや雑誌やネットで活躍する人だらけのこんな芸能の現場で、しかも演者として存在していていいのか、とんでもないところに来てしまったな、、、と、控室に入ってから事の重大さをやっと認識して慌てた。

被写体は撮られるために存在する。それはつまり一種のマネキン、偶像になるということ。今までずっとオタクをしてきたパッとしないただの女子大生が、突然偶像として扱われている。こんなことがあっていいのか、あまりにも変化が大きすぎる。脳がバグった。注目を集めるのは怖い。そんな、偶像になる心の準備は全くしていない。

ここでは、アイドルもモデルも俳優も一般人も、被写体として同様の扱いを受ける。私たちはここでは皆一様に被写体であって、それ以上でもそれ以下でもない。多分、女子大生とアイドルの間には天と地ほどの差があるように見えても、実際はほとんど違いはないのだ。

多くの人が経験しているように、私にも人の前に立つ職業を夢見た時期があった。でも私はそこまでずば抜けた容姿をしているわけでも、流行りの顔をしているわけでもない。痩せてもいない。際立って面白くもない。人の前に立てる要素は一つも持ち合わせていなかった。でもなぜか今、まあド底辺だけど、被写体をしている。要素ももちろんとても重要だけれど、多分、人の前に立つ人間とそうでない人間の一番の違いは、勢いなんじゃないかなと思う。やりたいことが中途半端ではなく明確で、そのチャンスに飛び込めるか否かがその先を大きく左右する。

私は先述の通り自分から応募したわけではないから、チャンスに引きずり込まれた形だった。でも、もし被写体をしていなかったら相当違う生活をして、相当違う考え方をしていただろうな、ということは容易に想像がつく。人前に立つなんて絶対できないと思い込んでいたことに気づいたし、ついにはやってみたら案外できるかも、、、、、?なんて思い上がるまでになった(そんなことないですね、身の程を弁えて勉強します)。

きっとこんな風に、できないと思い込んでいるけどやってみたら意外とできることって結構あるのだと思う。なんだか自己啓発本みたいになってしまってちょっと嫌だけれど、なりたい自分になれるか、やりたいことができるかの分かれ目はチャンスに飛び込めるか否かにある。


でもある程度の自信というか、自己肯定感がないとそんなことできないよなあ、とも思う。私も自他ともに認める”事故肯定感”の持ち主なので、危うく、「どうせ自分にはできない」と思い続けて一生が終わるところだった。自信って生きてく上でめちゃめちゃ大事だということに気づいたのは、大学生になってからだ。

何か挑戦しようとしている人に対して、軽くあしらうつもりで「どうせあなたには無理」「やめときなよ」と言うのは本当にその人の自信をゴリゴリ削るのでやめたほうがいい。特に親が自分の子供に言ってしまうのは一番だめだ。その子の今後の生き方に関わってくるし、子供の時に培われなかった自己肯定感を大人になって得るのは本当に本当に難しい。子供の自己肯定感を親がすりおろさないでほしい。

結局のところ、自分の好きなことで生きていける人はチャンスに飛び込める人であり、チャンスに飛び込んでもなんとかなると思えるほどに自分を信頼している人だ。

チャンスに飛び込める人が多い社会は、いい社会だと思う。未来がある社会だと思うし、そういうところから発展の種が生まれるのではないのかなと私は考えているから。理想論と言われてしまったらそれまでだけど、皆が自信を持って生きられる、チャンスに飛び込める優しい世界が全ての若者にあってほしいと願わずにはいられない。


読みたいと思っていた本と撮影用の衣装を買うために大切に使わせていただきます。