真夜中の御褒美
手のひらを2つ合わせてあふれるくらいの大きさのクッキーを焼いて、一口かじっては薄めたブラックのコーヒーを一口飲み、一口かじっては…を繰り返しながら今日を振り返る。
…ああ、もう既に昨日か。
2軒の病院をはしごしてきた。
午前中
娘の通院するクリニックへ。
娘と私、ふたりで電車で向かう。
特に病気に罹患しているわけではないが、保育園時代から幾度となく、娘にとって大きなショックとなる出来事がいくつかあったことがきっかけで通院を始めた。娘曰く、
「先生と話すと、頭の中のぐちゃぐちゃがスッキリする(=整理できる)!」
だそうだ。
娘の主治医が言うには、
・おそらく知能が高いために、実際の年齢よりも多くのことを考えてしまうため、脳が処理しきれない。
・HSPと思われるがゆえの、周りへの気遣いで気持ちを押し殺してしまいがちなため疲弊してしまう
とのことだ。クリニックまでは電車で1時間半ほどの距離があるため、元々は季節の変わり目や長期休みの入り・明けを目処に通院する予定だったが、小学校に上がったタイミングで娘の悩みが激増してしまったため、本人の希望もあって月イチペースで通っている。土曜日は初診専用なので平日のみの受診をしなければならないのだが、前述の通りなかなかの距離なので、その度に授業を休むことになる。娘にとっては主治医に会えることが楽しみと嬉しさでいっぱいのようなので、通院日を楽しみにして1ヶ月をがんばって乗り切ることができているようでもある。
午後は
娘の通院が終わって夫と合流。午前中は夫は手続きがあり別行動だったので、時間的に娘のクリニックで落ち合うことになっていた。なんともベストなタイミングで、私と娘がクリニックに到着したタイミングで夫も車で到着、診察が終わるまで駐車場で待っていてくれた。
ファミレスで昼食を取り、夫の主治医の元へ。娘のクリニックからは高速を使って1時間を少し超える。自宅からであれば約2時間。娘のクリニックがちょうど中間地点になるだろうか。今日は病歴の聴き取りため、診察室ではなく院内カウンセリングルームに入った。まず最初に夫が自分で時系列に沿って自分の記憶の限りを話す。そして娘と一緒に退室してもらい、夫の説明では足りない部分や忘れている部分を私が補強?補完?し、さらに解説する。そんなまどろっこしいやり方をするのは、夫の病気特有の“面倒くささ”があるからだ。病名は今はまだ書けない。すんなり書けるほど心の準備ができてない。書きたくないというのが本音だが、吐き出したい気持ちもないわけではないので、そのうち書くことになるんじゃないかな?と思っている。
とりあえず今はこれくらいにしておきたい。別に勿体ぶってるわけではない。私が今も抱えるトラウマは、ほぼ全てがそこに起因するものであるから、書くのにはそれなりの覚悟が要るのだ。
今日、聴き取りをしてくれたのは私のカウンセラーでもあるが、私は信頼する彼女にさえ今日の今日までうまく説明できずにいた。苦しくて、でも話せば自分を責めたくなるから、必要に迫られた今日になって、よぉ〜〜〜〜〜……っうやく話せたのだ。
「今まであかりさんが話してくれてたこれまでの話が、点と点が線になってようやく繋がりました!」
カウンセラーはそう言った。初めてのカウンセリングから約3年だろうか。私はようやくまともなスタート地点に立てたのだ。
御褒美のクッキー
そんなわけで、早々に真夜中に目が覚めてしまった私は、少量の牛乳を混ぜ合わせるだけでクッキー生地ができる製菓材を使い、ただ一枚ベローーーンと伸ばしただけの大きなクッキー生地を形成し、ガスコンロを使って適当に焼いて、それを今日の自分への“御褒美”として食べたのだった。本当ならもっと御褒美らしい御褒美を用意してあげるべきなのかもしれないが、『面倒くさい気持ちを全肯定・絶対的尊重』をして、『ドでかいクッキー』を『真夜中に食べる』ことは、私にとってとんでもない贅沢なのだ。フトッチマウカラネ…
朝になったら娘と朝風呂に入ろう。そしてスッキリしてから出かけよう、そうしよう。
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