「映身を上演する」プロジェクト制作日記⑦
少々日にちが空いてしまったけれど。
3/31に無事re-creation版の上演を終えました!そして昨日その映像も公開になったということで、ちゃんと振り返っておこうかなって。
この2回目の上演は(再演と呼ぶには内容がまるで変わってしまっているのだけれど、)実は初演よりも更に少ない制作時間で上演を行いまして。
でも、初演が終わってからずっとみんなが考え続けて、時折話をして、という一か月の積み重ねがあってこその制作だったから、実際に確保できた時間こそ少なくても、出来上がったものには濃密な何かが注がれていたのだと思う。
「これやってみたい」「これ楽しい」をただひらすらに、お腹いっぱい詰め込んだのが初演だったとしたら、「初演やってみて、今何を考えてる?何をみんなと共有していたい?」というのが今回の上演だったような気がします。あ、ここでいうみんなっていうのは、お客さんも含めた、”みんな”です。
良い意味で、初演ではできなかったことが詰まったre-creation版だったと思っています。できなかったっていうか、初演があったからこそできた、浮かび上がってきた、みたいな。
本当はその場で体験してもらえたらそれが一番だったけれど、映像でも何かは届くと思うので、ぜひ観てもらえたら。(リンクは下にあるよ)
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さて、結局ね、「映身」を上演する、と大風呂敷を広げてこのプロジェクトを始めて、じゃあ「映身」って何だったのよ、って、そこに触れずにはいられないわけなのですが。
少し、寄り道しながらお話しすると。
この4年間、私は主に演劇と少々哲学って感じの映身生だったので、映像やダンスは遠目に見ていただけで。その他のジャンルにしても、どうしても遠かったんですよね。
でも、このプロジェクトは、演劇・映像・ダンス・それ以外も、本当に色んな人たちが集まって、一緒に作品をつくったり、それを観たりできて。やってきたことこそ違えど、みんながそれぞれ抱えてきたものの話ができたりして。
そんな時間を過ごしていたら、
自分の見ている世界が、興味の範囲が、いつの間にかぐわーっと広がってたんだよなあ。
映像の強み・面白さ、身体表現の自由さ・繊細さ、空間の持つ力、光が人に与えるもの、言葉の力とその怖さ、写真が切り取るもの・残すもの、演劇がお客さんと共有しているもの・できないもの、
いっぱいいっぱい、考えたいことが増えました。
知りたいことが増えました。
とても、とても豊かなことだなあと思う。
そしてその豊かさこそが、「映身」だ、と感じています。すごく。
今、ようやく、映像身体学の入り口に立ったような気がしていて、それは院に行く身としてはとても幸運なことなのだけど、でも、その「入り口」って、何も学問的なものだけじゃないと思っていて。
むしろ、この「入り口」に立つことが、映像身体学科4年間のゴールだったんじゃないかなって、この「入り口」に立つことができたなら、それはその人にとって良い4年間だったってことなんじゃないかなって、感じています。(もちろんそうじゃなくても素敵な4年間は人の数だけありますよん!)
で、話を戻すんですが、「映身」とは何か。
二つ意味があると思います。一つは、「映像身体学」という学問。もう一つは、「映像身体学科」という場所。映身生が集っている共同体・コミュニティ的な意味合いの”映身”。
そもそも、映身って上手く言葉で説明できないよね、じゃあ作品にしちゃおうよ、っていうのがこのプロジェクトの始まりだったりするのですが、ちょうどこないだ、どんなことをやっている学科か、っていうのを外部の方に説明する機会があって。
その時、一番しっくりくる言葉が、「表現と哲学について考えてみようよ、っていうところです」って言い回しでした。
今、その言葉を落ち着いて考えて補足するなら、
一個目の、学問的な意味では、
「表現と哲学について、理論と実践の両面から思考・探究する人間学」
二個目の、”映身”というコミュニティ・場所、としては、
「表現とか、哲学とか人間とか、答えのない曖昧なものを愛おしく想って、大切にしている人が集まりやすい場所」
みたいな、感じかなあ。どうしても言葉足らずになってしまうような気がするけれど。でも、今の私が、あえて定義づけをしてみるのなら、これ。
でも、言葉に収めてしまうなんてとても野暮で、私が過ごしてこの4年間、特に最後の1・2か月くらい、このプロジェクトを通して経験したこと・感じたこと、それが全てだなって、思っています。
ただ、その「全て」って言葉や感覚に満足してしまうんじゃなくて、それを人に伝えようとしてみたり、それほんとなの?って疑ってみたり、他の人はどう思うか聞いてみたり、思考すること、問い続けることこそ必要だなと思っているので!今の、私なりの言葉を、ここに記しておいてみました。
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というわけで、演劇とも映像作品ともダンス作品ともインスタレーションとも何ともジャンル分けできない「上演」が、あえてジャンル分けをするなら「映身」が、2つ、立ち上がりました。
これは4年間のまとめみたいなものでありながら、始まりなんだなと思っています。
そして、これからも色んな人にこの上演が出会って、何かを考えるきっかけになってくれたら嬉しいなあと!
観て、感じて、考えてみてください。そしてそれを、アンケートで私たちに伝えてください!一緒に、考えたいです。考え続けていたいです。
というわけで、「映身を上演する」プロジェクト、これにて一区切りでした!
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