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読書歴「朝が来る」:他人の生き様を想像すること


🌷はじめに

こんにちは。Hinaです。
少しずつ読んでくださる方が増えてきてとても嬉しい限りです。ありがとうございます。
みなさん昨晩の満月は見ましたか?🌕
私はあれだけnoteの記事で「月でも見てのんびりします」なんて言っておきながら
すっかり忘れて一生懸命家事をしていました。

今朝は散歩に出る余裕があったおかげで、
まだ高い位置に残っている月に会うことができました。
ありがとう🙏🌕

さて、読書の秋と言いますが、読書は私の趣味の中の一つです。
小説、ミステリー、ルポなどのノンフィクション、エッセイ、自己啓発本、社会に関する本、専門書…
どんな本でも好きで、昔からお菓子の代わりに本をねだる子供でした。

noteでは初めての読書記録になりますが、
今回は私が読んだ「朝が来る」(辻村深月著)の
感想をつらつらと書いていこうかと思います。


🌷「朝が来る」辻村深月著

この本を読んで「どうしようもない」という言葉が持つ意味を考え直させられました。

本に出てくる「ひかり」は13歳で妊娠、出産をし、子供を養子縁組団体に預けます。
家の雰囲気に居づらさを感じて高校生で家出をし、着いた先で住み込みで働く。
その寮で出会った女の子に騙されて借金取りに追われる身となり、新しい職場で窃盗。
そんな人生を背負った、20歳そこそこの女の子「ひかり」を軸に物語が進んでいきます。

このあらすじを読んで、どう思われたでしょうか?
「自業自得」「自分が悪い」
そう思いませんでしたか?
私は仕事柄、このような生育歴の人と出会うことが少なくありません。

「ここで頑張らなかったからそうなった」
「みんなこういうことあるけど耐えてるよ」
そんな風に、思ってしまいます。

しかし「ひかり」の生き様を並走していくと、
もう本当に、本当にどうしようもないのです。

どうしようもないというのは、
もちろんどうしようも無いほどにひかりの考えが足りてない部分もあります。
しかしらそれだけではありません。

ひかり1人の力ではどうしようもないことが、彼女の人生には起きているのです。

好きな人と深いスキンシップをしたら妊娠してしまうことを、ひかりは知らなかった。
13歳で子供を産むということが社会的に望ましくないことであると、感じていなかった。
家の中に居場所がない時の逃げ場が無かった。
訳アリの人が働く職場にどういう危険があるのか、分かっていなかった。
騙されて負った借金から、安全に逃げる方法を知る術も、相談する人もいなかった。

ひかりがどうしようもなく甘い考えだったのと同時に、そうなってしまったのもまたどうしようもない、仕方のないことだったのだと思います。

🌷「どうしようもない」のは誰のせい?

「そうなったのは自分のせいでしょ」
と思う気持ちも分かります。 
しかし社会福祉士として働いていると、
自分1人の力ではどうしようもない出来事に人生を左右されてきた人が大勢います。

パチンコに依存して生きていけなくなった人にも、依存するまでの過程に「どうしようもない」背景がちゃんとあるのです。
社会で生きている私たちにとって、その背景にまで目を向けるのはとても難しいことだと思います。
多くの人にとって、それは想像もつかないことだから。

人は自分の経験を元に物事を捉えます。
自分が乗り越えた経験を、時にすべての人が乗り越えるべき障壁だと思いがちです。
そしてそれを、「乗り越えられないのはその人の努力が足りないから」と決めつけてしまうこともあると思います。

しかし、同じライフステージであってもそのフィールドはみんな違います。
持っている武器も、スペックも、障壁の数も違います。
同じ敵を前にしても、同じように戦える人ばかりではないのです。

それを感じるためには、私がこの本を読んでひかりの人生を横で並んで読み取ったように
その人のことをもっと知ろうとすることが大切だと思います。

ニュースで「コンビニ強盗 無職、40代、お金なくてやった」等流れてきた時
ほとんどの人がこの人の人生に何があったのかを知ろうとしません。

あなたは、どうですか?
この人がこんなことをしてしまうまでに何があったんだろう?と考えてみる。
そんなきっかけになる本でした。
ひかりの人生に起きる「どうしようもない出来事」を、どうか他人事と思わずに
自分ごととして読んでくれる人がいますように。
自分の知らないライフヒストリーに興味がある方は、ぜひ読んでみてください📕

長くなりました☺︎
では、また🌻

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