やまちゃんのこと


こうして本当にいろいろな軌跡が重なって、やまちゃんは我が家のメンバーになった。とてもしっかりした女の子で、最初から肝が据わっていたし、慌てたり、こけたりというイメージもなかった。


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何度も腫瘍ができてしまい、手術だらけの最後はかわいそうだった。今でももっと早く楽にしてあげればよかったのではないか、などの後悔を感じて胃がキューッと縮む思いをする時がある。

他の猫でもそうだが、自分も生きている限り辛いことも多々あって、膝に乗りたいといってきたのに、やめて、と追い返すことも多々ある。言葉であたってしまうときもある。その都度後から後悔することになるのだけれど。

彼女は本当に長い間いっしょにいてくれた。だからこそいろいろな私たちを見ていたし、やはり引っ越しを何度も経験させてしまったことも、あのままあちらで庭つきの家にいたほうがそりゃ幸せだったにちがいない、と何度も思った。これは娘に対しても言えることなのだけれど。

こうなると後悔ばかりしているようだが、それよりも喜びとか愛おしさとかの方が断然多いのは事実。そこにいつもいることが当たり前になっていた。

娘と共に成長したのだというのは、残された数々の写真から溢れている。娘が小さいころはやまちゃんを抱っこしていても大きな猫に見えたけれど、娘が成長していく中で、だんだん小さいやまちゃんになっていった。外猫だったし、黒だし、毛も短く体もしまっていたので、余計に他の猫と比べるとカッコよさが際立っていた。

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亡くなってからお隣さんが、さびしい、と言ってくれた。勝手に入ってくつろいでいたのだけれど、ちゃんと見守っていてくれたのだと改めて感謝した。

やまちゃんは確実に我が家史上特別な猫だ。たくさんの思い出をありがとう。そしていつまでもおしゃれでクールなやまちゃんは私たちの中に生き続け、いちいち他の猫たちと比べるとき、やまちゃんはこんな時とても冷静だったよね、と言われ続ける存在なのである。

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