猫記録2-② チャー坊
そんな中、子供二人と犬1匹を連れた家族がやってきた。先住の犬がいるけれど、猫も飼いたいとか。僕をとても気に入ってくれてぜひトライアルをしてみたいと言ってくれた。薄目を開けながら観察すると、とても仲良しの家族のようで、犬も幸せそうだった。実際、犬は公園で良い記憶がなく、わんわん吠えて威嚇されるイメージがあったのだけれど、今僕を目の前にしてもこの犬はとても冷静で、うまくやっていけそうな気がした。
数日後にその家族の家へ連れていかれた。広い。庭もあり楽しそうだった。と思ったら、僕は外へ出てはいけないらしい。公園生活のような自由はもうないのかもしれない。それでもケージはやはり窮屈だし、家の中を歩き回れるのならうれしい。
しかし、下の女の子が咳こむようになり、調子が悪いと言い出した。急にだ。僕も心配だったが、まだソファの陰に隠れていたので、なにもしてあげられなかった。病院へ行ったらしい。なんと、ひどい猫アレルギーだった。お医者さんは薬を飲めば大丈夫になると説明したらしいが、アレルギーが消えるわけではないらしい。僕のせいなのだと思った。さようなら。迷惑かけてまで居座るつもりもなかった。
やむなく又ケージへ戻って他の猫たちとの生活へ戻った。もう一生このままなのかもしれない。しょうがないと思っていた。妹たちは会えないけれど、少なくとも怖い思いはしなくてすむ。
ところが数日たったころ、又車へ乗せられて出かけることになった。もはや次になにが起こるかは想像できない。そして又別の人の家へ入っていった。子供はいないようだ。なんとなく匂いはするのだけれど。この人たちのことは覚えていた。おじさんはあまり見たことがない容姿をしていた。目とか鼻とかが違う。そう公園で、ケージの中をものすごく楽しそうにのぞいていた人だ。ぼっーっとしている僕だって、この人俺の事好きなのか!と思ってしまうくらいの雰囲気だったから。
少し他の猫の匂いもするその家は階段がたくさんあった。なるべく落ち着こうとまずは壁などや床などの匂いを嗅いでみる。その間、その家の人とお世話をしてくれた人はいろいろと話している。僕が保護された経緯、血液検査の結果等。公園にいた僕がなぜ人間の家を探しているのかなどの理由。それを理解してくれてもらってくれる人を探していたからだ。
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