猫記録3-③ マイクロフト
それにしてもお腹が痛いしウンチも長い間出ていない。心配したマミーが又白い壁の白い洋服を着た人がいるところへ連れて行ってくれた。僕は一人にされてその白い服の人にされるがままで、お腹が痛くなり、そしてすっきりした。僕はカリカリが好きだし長い間お腹もすいていたので、うれしくなってあればあるだけ食べてしまっていた。
月日は過ぎ、特に困ったこともない日常が続いていた。ベランダは出てよいみたいだから、隙間から外を眺めたり、電柱の鳥にオラオラしたりして過ごした。外の空気を吸うのが好きだ。ベランダではない場所へ連れていってくれたが、変なものを首に巻かれなくてはいけなかったので、それだけは嫌で全力で拒否した。
寒い冬がやってきた。家の中は暖かくてとても心地よい。いろいろなところへ上ってみたりしているうちに、やっぱりガリガリするにはソファが一番気持ちよいことがわかった。木製のはしごや本棚でガリガリやってごらんといわれるのだけれど、特にこの緑のカバーのソファが気持ちよかった。しかしそうしているのをみつけられると、ひどく怒られた。カバーがボロボロになった。変な紙みたいなものも嫌だし。
ある日大きなカバンが出された。ものすごい大きなカバンだ。そこへいろいろなものを詰め始めていて、その中で遊ぶのがけっこう楽しかった。まさかそれを持ってしばらくマミーたちがいなくなるとは知らなかったから。
いつもどおり出かけていったマミーたち。いつもとちょっと雰囲気は違っていたが、特に気にすることもなく食べて寝ていた。そこへ鍵の開く音がしたので、あ、誰かかえってきたな、と思って玄関へ急いでいった。するとそこには一度見たことがある別のおばさんがたっていた。
「こんにちは、マイちゃん。」
と言っている声を後ろに一目散にマミーたちのベッドへ逃げた。一人で入ってきた?マミーたちは?いろいろと考えた。なにやら下でガサゴソしている音が聞こえてきたけれど、僕は見に行く勇気はなかった。しばらくすると又玄関の音がして鍵が閉められた。何だったのだろう。行ってみるとトイレがきれいになり、ご飯がおいてあった。悪い人ではないのだろうか?
その日の夜、待てど暮らせどマミーもダディも帰ってこなかった。ぐりぐりもしてもらえないし、膝にも乗れない。そして又その女の人はやってきて、トイレとごはんの世話をしてくれた。いつものように上へ逃げると、下からマイちゃん、と何度も呼んでくる。やっぱり会いにはいけない。
こんなことを何回やっただろうか。僕もその人に会いに行ってみようかとおもうようになった。そうっとドアのところから覗いてみると、向こうから寄ってきたから又逃げた。だってグリグリしていいものかどうかわからなかったから。それでも毎日来てくれるし、だんだん甘えてみようかという気にもなってきた。
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