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大人の人生観・恋愛観・結婚感

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若い頃には感じなかった人生観や価値観などを語ったもの。
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#母

本当は料理が嫌いではなかったのかもしれない

週末になるとスーパーで食料品を買い込む。 それは大人になってから長い長い間行っていたが、楽しんで買い物をしたことはなかった。週末以外はまともに料理をしていなかったし、その週末すら惣菜や冷凍食品をレンジでチンで終わらせることが多かった。 かつて、母から「料理を手伝いなさい」とよく言われたが、それが苦痛で仕方なかった。母は料理がとても上手な人であったが、私と食の好みが異なっており素材選びや味付けで反発することが多く「それだったら手伝う必要ないでしょう」と母からも料理からも逃げ

きっと私は解放されたのだと思う

母の四十九日の法要と開眼供養、納骨を終えた。 納骨の予約の際に「開眼供養(かいげんくよう)が必要なのでワンカップのお酒と一握りの塩と研いだお米を持ってきてください」と墓地の担当者より言われ「開眼供養」が一体なんなのかわからずに確認したところ「その墓地に初めて遺骨が納められる際に行う供養のことです」と言われ納得した。両親は自身のお墓を予め準備していたが、母が亡くなり今回始めてそのお墓を本当の意味での「お墓」にするということなのだろう。 納骨の朝、家に置いていた遺骨や位牌や写

母からの呪縛がとけた日

母が旅立った。 6月18日(金)。仕事から帰宅したとき母はいつもと違っていた。ベッドに寝ていた母に声をかけても返事はなく、ただ口をパクパクと呼吸をしていた。そばにいた父に聞いたら朝から一度も起きないしこんな感じだと言っていた。父はどうしていいかわからなかったのだと思う。ただ呆然と母の顔を見ていただけだった。 その前の日は少し体調が悪そうだったが話の受け答えはできていた。薬の効きが切れかけているときはいつもそうだったので、最近では気にすることが無くなってしまい「薬が効いてく

母と病気と私の関係、そして夏休み

この夏休みはいつもの夏とは異なる。ウイルス感染拡大に伴う自粛もあるが、自分の中でもいろいろな思いで過ごしている。 母は15年くらい前からパーキンソン病という難病指定された病気にかかっている。普通の人と比べると脳の中に生成されるドーパミンが少ないというものである。ドーパミンは快感や多幸感を得る、意欲を作ったり感じたりする、運動調節に関連するといった機能を担う脳内ホルモンの一つであり、そのホルモンが少ないことは生きていく上で大きな障害となる。ただし、病名は多分知られていると思う