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2020年度に創作した詩

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有島緋ナとして、初めて有料で公開した詩のマガジンです。 作者である私がラジオ配信で朗読したものございますので、あらかじめご了承くださいませ。 ヘッダー画像について https:… もっと読む
すべてオリジナルで、今後の更新頻度は二週間に一度を目標にしております。 マガジンをご購入いただきま… もっと詳しく
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2020年11月の記事一覧

コトバノヒカリ

言葉を体現する姿 目を逸らさず 見つめた 翌朝は 冷たく曇る空に 決意を反復した もうすぐ このおかしな時代の 年の瀬がやってくる どこにも 見通しがない 絶望と 僅かな希望を持て余そう 明るい響きの中には 追い詰める場面を孕んだ 本当は 覚悟を映した音に 決意が揺らいでしまう もうすぐ こんなおかしな自分の 新しい時間がやってくる 知らないことが多過ぎる 光と 途方に暮れて迎えよう もうすぐ このおかしな時代は 次の時間を迎えてしまう もうすぐ こんなおかしな自

ONLINE LIVE CONCERT

文字しか この頭にはないから 歌詞を追うこと 全身の表現 目を凝らし 画質の悪い一部始終 釘付けで なぞっていた 過去にない スタイルと色が 最初に見た世界を連れ 泳ぐ その次への繋がりをもたらす 新しい音の配列も見つけ 知っている 表情 身振り 何も変わらない姿が映っていた 手の動き 全身からの言葉 大切な 大切な 始まりの人 新しい世界を開いた曲へと 歌詞は追えないのに 心が 誘われ 次の姿を眩しく 釘付けで 眺めていた そこにいる人は 確立した 新しい音の配列を

幕は上がる

磨りガラスの内側 猫を抱いて 本を開き 再生し ひたすら待ってる ある日 知らせが 君の音を告げ 予約したサイトで あと少しを待つ

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数えきれない

裏口から 外へ出て 隠れて 座っていた寒い夜 星が見える町では 他の子どもになりたかった 服も 文房具も 何もかも うらやましくて 言えなくて 素振りは不興を買う 自分の表情(かお)はなかった 悲しい 辛い 苦しい すべて 自分のせいだから 知られたら また外へ 感じなければ ラクだと知った

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不調のロンド

朝がこないままでいい 目が覚めないままでいい 猫のことなら 信頼できる人がいるし 仕事なら もはや必要ないらしい さあ 浅い眠りの夢の続きを 結末までは まだまだ 遠い 家族 そんな良いものではないよ 友人なら 少ないことが美点 さあ セピア色の夢の続きを 次の場面は アリアを高く 朝がこないままでいい 目が覚めないままでいい 大したものは 持っていないし 誰かが 欲しがるはずもない さあ うつつになかった無茶を ここから 飛んでみたかった 君を 見つけなけれ

ボーカリスト

お箸で食べるプレート 駐車場もないお店 少ない席の窓際で 眺めながら 思い返す 風が吹くたび舞い落ちる 大きな 掌のよう 季節外れの暖かさと 対比するように続く 白い襟に込められた 気持ちを 見た気がした 伝えたい 言葉を 君は ただ 歌に乗せていた

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時代錯誤

画像を探した リーダー メンター

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最後列のVIP席

何も気にせず 深く座り 登場する時刻を 待っている 今夜の夢は どんな広がり 歌う世界を連れてくるのでしょう 後ろには 機械がならび いつからか その手にかかると知った 今夜の夢は どんな道のり 導かれて行くのでしょう その様子を 最良の音で聴いて どんな気持ちが 溢れてくるのでしょう この席は 今夜 他の誰も座れない 幸運を連れたまま 駅へ向かう 上書きの音は いらない このまま 眠って 忘れない

足りないもの

見たいもの コスモス畑と風の景色 聞きたいもの 好きな声と 猫の音 部屋から出ない 雨の一日 何も食べず ただ眠る 行きたい場所 ススキが広がるひだまり 感じたいもの 冬が来る前の柔らかい空気 気にしなかったメッセージ いつのまに 蝕んでいる 記憶とは別世界の景色 右も左もわからない 知らない人に会い 短い時間で淡々と決める 見たかったもの ライトが当たるステージ 聞きたかったもの 大切な声と その足音