見出し画像

Run the World (Girls)

昨日から始まったオンライン授業で「ビルボードチャート」について扱われた。そういえばビルボードの年間チャート上位の曲は、ラジオとかテレビを聞いていなくてもアメリカの至る所で聞くのだ。

私が留学していたシーズンの2017はエドシーランの"Shape of you"一色だった。

本当に、本当に至る所で聞くのだ。テレビも見ていないのに。
カーステだったり、「ちょっと音楽かけるか」みたいなタイミングでかけたりするのがだいたいこれだった。

「は?めっちゃ留学思い出すじゃん」

音楽が持つ力はすごい。
何がすごいって本当に全部思い出す。
なんならちょっと嫌な思い出とかも思い出す。
なんともいえない風呂の汚さとか、ウーバーの中に置いてきちゃった水筒の色とか、夜まで永遠にやってた課題のこととか、思い出すことはたくさんある。

そしてこれもとても思い入れのある一曲だ。

はじめて、シュート・場当たりから音響操作として参加した芝居で使われていた。
アメリカのお芝居は、音響や照明のタイミングを全て舞台監督が指示を出す。だから外国語話者の私でもできる。思い出いっぱいのお芝居だ。

シュートの時。
名前を聞かれて「Hinako」と答えたら
「Do you have nickname or something?」
と聞かれた。びっくりした。
「No I don't! Please call me Hinako! H I N A K O, Hinako!」

そんな最悪な始まりだったけれど、場当たり(Cue to Cue)はとても面白かった。1日かけて、キューの場所を決めていく作業をするのだ。
とはいえ私は20キューもなかったので、ずーっと眺めていた。
私は場当たりオペレーションをここで学んだ。
そしてキューでオペレーションを固めるのもここで学んだし、Qlabっていう天才無料ポン出しソフトの使い方もここで少し学んだ。

ちなみに、ステマでもダイマでもないのだが、Qlabというやつは本当にすごい。私は帰国後それを使って90キューくらいのSEを組んだことがあるのだが、とにかくタイミングでスペースキーを押せばFIもFOもストップもできるという優れものなのだ。誰でも操作ができる。もちろんフェードの時間も指定できる。サイコーだ。製作者がクラウドファンディングとかしていたら50ドルは払いたい。
(全部英語表記なことと、iOSにしか対応していないところが難点かな、、、)

閑話休題。
そして何よりその座組はとてもいい人が多かった。
舞台監督のアリヤ。本当に優しくて、私の雑談も話し終わるまでちゃんと待ってくれた。そしていつも毅然とした態度をとっていて、帰国したら私はこういう舞台監督になろう、と思った。あとQ2Qの時にぬいぐるみを連れてきていて、私もそれ真似しようと思った。(?)

舞台助監督のスティーブン。お調子者なのだけれどもとても優しくて、日本の漫画オタク。その次のショーでも一緒になって、私はiPadにワンピースの登場人物の名前をカタカナで書かされた。学期末には他のシアターの友達と共におうちに招待してくれて、アメリカのご家庭を体験させてもらった。しかもメキシコからの移民で、ママはスペイン語を主に話す。いわゆるSoCalのリアルだったな。まあ、家でポケモン見てたけど。笑 サトシはAsh。
去年は日本にも遊びに来てくれて、いろいろなところを連れ回った。

照明オペで、クラスメイトだったメガン。日本で言うオーランサークルみたいなのに入っていて、いわゆるウェイ系。金髪白人。私のこと、きっと見下してくるだろうな、と思ったけど最後まで仲良くしてくれて、毎晩ショーが終わると寮まで車で送ってくれた。ハリウッドに遊びに行こうと約束していたのだけれども、オーディションが進んで行けなくなってしまったこともあったけど、本当にいい人だった。
まあ、アジア人の友達がいるよっていう周りへの自慢でもあったのかなって感じもする。結局授業中は私はヒスパニックの子たちと仲良くしていたので、、、。でもそれ以上にとても良くしてくれたから感謝している。

照明プログラミング担当に日本人がいて、少し日本語でお話しできたのもよかった。

そして彼らは本番中ヘッドセットでずーーーーーーーーっとおしゃべりしていた。それがとても面白かった。
私は黙って聞いてたので、たまに「Hinako? are you there?」と呼ばれた。笑
そしてたまに日本のことを聞いてくれた。

セントパトリックデーにはみんなが緑のお菓子とかを持ってきて、本番前にみんなで食べたりした。

そしてinternational women's dayもあった。
今日は国際女性デーだからね!と、舞監のアリヤがいつものプレイリストの順番を変えて、その日最初にかけたのが、"Run the World (Girls)"だった。
女性であることに誇りを持っていていいな、と思った。
それを武器にしたり、それを盾に何かを主張するのではなく、
「女の子!イエイ!」みたいな態度がいいな、と思った。

ちなみにこのエントリーはそのショーの間にかいた。それも思い出した。

ショーに参加すると、夜が遅くなる。
風呂入ったり課題やったり夜食食べたりして深夜まで起きている体力はここで身についた。こうやって職業的に演劇に関わるということを鍛えていくのだな、と思った。
日本人のルームメイトのダンスメジャーだったので、相方がショーをやっている時は食堂からブラウニーを持って帰ってあげたりした。


たった一曲だ。
たった一曲でこれだけの思い出が蘇る。

今、アメリカで生きている彼らは元気だろうか。
ちゃんと学べているだろうか。
ちょうど期末テストの時期だ。優しくて明るくて、表現力豊かなみんなが、どうか無事でいることを願う。

いただいたサポートでココアを飲みながら、また新しい文章を書きたいと思います。