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「いい話」を「当たり前」にしないために

いわゆる美談の類が少し苦手だ。

こんなにいい出来事があった、という話がSNSを駆け巡り、判で押したように並ぶ「感動した」「泣いた」という文字を見ると、ちょっと引いてしまう。

たとえば、そこに書かれた「店員さんによる親切」が、「本来の自分の業務を超えたり」「業務上守るべき規約を破ったり」したことで成り立つものだった場合、どうしてもその先に起こり得ることを想像してしまうのだ。

今後、同じようなシチュエーションになった場合に、店員さんが「本来の自分の業務範囲を超え」「規約を破って」まで、お客のために動かないと責められる風潮になってしまうのではないか。

本来はありえないことだから「いい話」だったのに、それがスタンダードになってしまうって怖いことだ、と思う。

でもこんなことを書くと「考えすぎ」「素直じゃない」と言われて終わりそうだし、読んでも少しも面白くないだろう。

私だって「いい話」は「いい話」として、世の中に広く知られてほしい、とは思う。そうじゃないと、悪い事件の報道ばかりで、世の中救いもないのか、という気にさえなる。

だから書かずに飲み込んできた。

それを誰にも意見を押し付けることなく、誰もがスルッと読めてしまう珠玉のエッセイにしてしまったのが岸田奈美さん。

私が上記に書いたことは、岸田さんのこの文章の主題ではない。多くの人がこの文章を読んで、自分の愛や善意ゆえにやってしまった過去の「独りよがりな」行動を振り返り、楽な気持ちになれたはずだ。

私のこの記事はまだ続くけど、この岸田さんの記事を読んだら、もう私の記事の続きなんて読む必要ない。

(note読んでる人のほとんどは、岸田さんの記事なんてとっくに読んでるよって言われそうだけど(笑)、未読の方は是非読んでほしい)


やっとたどり着いた駅に神様がいた話・その1

この続きは、表に出すべきものではないかもしれないので、しばらくしたら消すか、有料記事にしてしまうかもしれません。

ずっと書きたかったけれど、冒頭に書いた理由から書けずにいた話を書いてみようと思う。

2021/8/2  3日経ったので、この先有料とさせていただきます。多くの人目を避けるための有料化であり、全く何の役にも立たない話ですのでご注意ください。

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