
たまには振り返ってみよう
「10年前、何してましたか?」
と聞かれても、すぐには答えられません。
いや、今とほとんど変わらないし。わたしも多分そう。
でも、イラストレーターであるわたしは、10年前にはどんな絵を描いていたか?問われれば、振り返ることができます。
この記事に刺激を受けて、今日の記事は書いております。
10年前:水彩のシンプルなイラスト
10年前、2011年9月の私は「名ばかりのイラストレーター」でした。
いくつか仕事をしたことがある、という程度で東京を離れてしまったので、この先どうやって生きて行けばいいのか、途方に暮れていました。
そんな中で書いて送った引っ越しましたハガキ。
いま見ると、結構ナゴヤ色強くて驚き!!
2012年に描いた当時、評判のよかった絵(自分比)。
わたしの中で「あるある」なのですが、見た人ほぼ全員が「すごくいい!」っていう絵のタッチでは、なぜか仕事が来ないんですよね。賛否両論ある方が、仕事に結びつく。どうしてなんだろう?とかんがえる日々。
20年前:趣味で描いてた正確なイラスト
ついでに言うと20年前にも絵は描いていました。植物画といって、植物を学術的に正確に描くというもの。
細かいですよね。今はもう描けません。。。
ここからほかの絵もご覧になれます。サイトも凝ってたよなぁ。。。
この頃は完全な素人で、その割にはうまく描けてるでしょ、という感じです。少なくとも、プロとしてやっていくのなら「うまい」の先に何かがないと。「うまい」だけではダメなのがプロなんですよね。
それこそ「うまい」人なんていくらもいるわけで。
現在:
最近は水彩画は描いていません。アナログで活躍するのはもっぱら色鉛筆。
なんだかどんどん、うまいんだかヘタなんだか、よくわからなくなってきてます。自分でもヘタだなーと思うんです。昔の方が「わたしは絵がうまい」って思っていたような。。。
(それは単純にまわりにそんなにうまい人がいなくて「お山の大将」だったからなだけかもしれないけど)
いまの絵が過去の絵とあきらかにちがうのは、絵にチカラがあるかなってことかな、と思います。それはよく言われるんですね。
押しがつよいというか、クセが強いというか、パンチはありますよね。一度みたら記憶に残りそうな。
いまが昔と違うのは「こう描きたい」というイメージが明確にあるということ。もちろん100%思いどおりには描けないんですけど。
それでも、ただ「キレイに描こう」「実物どおりに描こう」ではなく、もっと強い意志を持って「描く」ことで、絵にはチカラが生まれるような気がするんです。
ただ、絵にチカラがありすぎると、仕事では逆に使いづらくなったりもするのが、むずかしいところでもあり。。。イラストは「そえ物」で、きほん主役は文章や宣伝などであるため、邪魔しないことも大切なので。
「うまい絵」は「いい絵」であるのは当然ですが「(一見)ヘタな絵」でも「いい絵」であることもあるのがイラストレーションの世界。
また「うまい絵」でも「いい絵」でも「使いづらい絵」はあるし、使いづらいと仕事はなかなか来ないですが、うまくはまるとドーンと大きな仕事がきたりする。
考えれば考えるほど「イラストレーション」の世界は奥深いし、むずかしい。それでもはじめてしまったら抜けられない。
仕事をはじめて15年経っても悩むことだらけですが、ある大御所がおっしゃっていた「今も自分の絵は下手だと思うし悩むよ。悩むから続けていられるんだ。悩まなくなったら、絵の仕事をやめるよ」という言葉を胸に、今日も明日も描きつづけて行くのでした。
最近あんまり描けてないけど。
余談
途中に登場した「植物画」は、東京都庭園美術館の次回の展示テーマ。
キューガーデン 英国王室が愛した花々
シャーロット王妃とボタニカルアート
会期 2021年9月18日(土)-11月28日(日)
キューガーデンは、いまも憧れの場所。そういえば、関東在住で庭いじりと植物画が趣味だったわたしの当時のオアシス、日本橋三越屋上の「チェルシーガーデン」がいつのまにか閉店していたのを最近知ってショックでした。
当時の庭。手作りお菓子で英国風ティータイムを気取っておりました。