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#12 エチオピアのおもてなし
エチオピアといえば、コーヒー発祥の地で、アフリカ最大のコーヒーの産地である。
先日、エチオピアのMETAD(メタッド農業開発)の浅野文章氏から現地のお話を伺うことができた。
コーヒーセレモニー
エチオピアでも、コーヒーを淹れて客人をもてなす“コーヒーセレモニー”と云う儀式がある。
その一般的なスタイルを浅野氏が再現してくれた。
日本で云う茶道のお茶会のようなものだろう。
作法とともに母親から受け継ぐお茶道具を一式並べ、お客様をおもてなしするそうだ。
アウトドアではあるが、まずお香を焚いて空間を浄めることから始める。
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甘いいい香りがする。
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生豆をじっくりと黒くなるまで炒る。
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すり鉢と棒ですり潰し、粉にする。
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おもてなしの一杯に。
おしゃべりをしながら、豊かなコーヒータイムを楽しむ。
1杯目は「愛」
2杯目は「平和」
3杯目は「尊敬」
を願いながら、3度飲むと云う文化があるそうだ。
スパイスやハーブなどを入れ、味の変化をそれぞれ楽しむ。
また“コロ”という大麦とナッツが入ったお茶菓子をつまみながら、コーヒーを飲む。
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お味は…
とても甘いが、ミントの葉の良い香りで、スッキリした印象だ。
エチオピアでは、ブラックで飲むことはないそうだ。なぜなら、私たちが飲むようなすっきりと酸味や香りが楽しめるような、いいコーヒー豆は出回らないため、コーヒー豆の悪さを甘さで誤魔化すそうだ。
産地でありながら、美味しい豆が手に入らないとは?
浅野氏からコーヒー産地の実態を聞いた。
スペシャルティコーヒーとは?
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スペシャルティーコーヒー
最近、よく耳にする「スペシャリルティコーヒー」の定義を、まず私は全く知らなかった。
①生産から精製、流通まで一貫したトレーサビティーが明確であること。農園から1杯のカップまでの道筋を辿ることができなければいけない。(From Seed To Cup)
どこで誰がどのようにして作ったのかがわかると言うこと。
②自然環境を尊重し、人道的な取り組みによって生産されていること。
(生産者の正当な対価が保証され、農園が継続的に栽培を続けられる状態でなければいけない。)
③明確な評価基準(SCAA:アメリカスペシャルティコーヒー協会)が80点以上の高品質のものをスペシャルティコーヒーとして認定。
私の‘スペシャルティコーヒー’のイメージは、高価だけど良質な豆を使った美味しいコーヒーとぐらいにしか思っていなかった。
…だとすると、私たちが日常、口にしている一般的なコーヒーってどんな風に作られているのか???
コーヒー好きな私は1日に4、5杯は飲む。
全世界での1日あたりの消費量は約20億杯分にもなるそうだ。ほとんどは大手企業がコーヒー市場支配し、NYとロンドン市場で理不尽な取引のもと、価格が決定される。
エチオピアコーヒーの農家が手にすることができる金額は、なんと0.9%、90%が小売業者と輸入業者、7〜9%が生産国の輸出業者や地元の貿易会社。
この利益配分には衝撃的だ。
エチオピアの現状
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コーヒーの木が、大きくなるのには4年、ようやく5年目ぐらいから実となり、収穫し乾燥させ、精製→出荷される。もちろん全て手作業で。生豆の価格で、現地でコーヒーに関わる全ての人の生活が影響される。
教育を受けることも、食べることさえままならず、働いても貧困生活に喘いでいるという。
エチオピアは、最貧困の国の一つで緊急食糧援助を必要としている人々が900万人もいる。
コーヒーという産物がありながら、なんとも酷い状況である。
まして、地球温暖化問題で、農作物であるコーヒーは、気温、雨量、湿度などの気候変動で、病害や虫害などの生産低下とまり、ますます深刻な問題となっていくだろう。
浅野氏は、この現状を打破しようと、現地でエチオピア人とともに高い基準の豆を作り、適正な価格で売ることで、農家の生活を向上させている。
このため日本にも、上質な豆を適正価格で販売するルート作りのため来日している。
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本当に美味しいコーヒー
そして、今、私たちの飲んでいるコーヒーは、どんな背景で届けられてきたのかということを、美味しいコーヒーを飲みながら語ってくれた。
今日の1杯のコーヒーは、コーヒーに関わる全てに人の笑顔が浮かび、本当に美味しいと思える。
コーヒーの価格高騰も、農園で働く人たちが還元されるのであれば、大いに納得できる。
*2006年に作られたドキュメンタリー映画「おいしいコーヒーの真実」は不公正な貿易の事実が突きつけられる。
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