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パリ、東京、行ったり来たり。(2)初パリ

 初めてのパリ旅行は1週間だったと思います。高校の時からの友人と一緒に行きました。彼女は3回目のパリでした。私はその短い旅行中に彼と待ち合わせをしてどこかで会うという計画だけれど、どうしたらよいかまったく見当もつきません。彼はパリに着くまえにはイタリアにいて、その頃は通信の事情も今ほど便利ではなく、うまく連絡がとれるかどうかも心配でした。 
 パリ市内の移動について友人に聞いてみても、これまでの旅行は買い物メインで、ブランド店からホテルまでタクシー移動だったのでよくわからないとのことでした。パリ市内は山手線の内側くらいの大きさと言われていてけっこう小さい街です。結局、タクシーで移動することにしたのですが、それでも、私のホテルと彼のホテルはパリの端から端まで移動する感じだし、言葉も通じるか不安でちょっと緊張しました。でも、世界一の観光地であるパリではタクシーの運転手さんもカタコトに慣れていて何の問題もありませんでした。タクシーの中では、私が日本人だとわかると(というか、この当時はアジア人観光客はほとんど日本人だったと思いますが)「おしん」のことを聞かれました。「おしん」というのは、ずいぶん前に日本で大人気だったドラマですね。「おしん」は外国でも人気だと聞いていたので、私はやっぱり!と思いました。おしん役の女優さんは当時もう大人になってたので、私はそんなことを話しました。

パリで彼に会う、という心躍る計画は実現したのですが、その人とはその後別れてしまいました。直接の原因はそれではないのですが、パリに着く前日のイタリアのホテルで、腕時計を紛失し、部屋のお掃除をしていた人を疑って大騒ぎになったという話を聞いていました。結局腕時計は、自分でどこかに入れてしまってたということで、疑われた人が気の毒だと思ったし、私はなんとなく気持ちが冷めていたのでした。

一番の目的を果たして、あとは友人とふつうに観光をしました。映画の「アメリ」に出てくるカフェに行ってみたり、行きたかったお店に行ったりしました。街中を歩いているときに、友人が犬のフンを踏んでしまって(パリはフンがふつうに放置されてます)「ギャー!」と騒いだら通りすがりのおじいさんに怒られたりしました。
 友人は銀行員をしていて、年に一度強制的に有休を消化するためにお買い物メインの豪華な海外旅行に行っていました。私はしがない派遣社員で、海外に行ってもタクシーに乗ることも最低限、たいていは公共の乗り物に乗って移動しているような旅行ばかりでした。なので、友人にとっては私との旅行は、今までのパリ旅行とはまったくちがう場所に来たような体験だったと言っていました。

 パリのいいところは、メトロが便利なところ、散歩が楽しめるところだと思います。私たちは足にタコができるほど歩き回りました。その頃、ガラケーで写真が撮れるようになったばかりでした。私たちが写真を撮っていると、たまたま近くにいた消防士たちがわらわらと集まってきました。携帯のカメラは日本がすごく進んでいて、珍しかったのです。いろいろ質問されましたがもちろんわからないので、ほとんど日本語のカタコトで対応しました。ふと気が付くと友人は無言で直立でかたまっていました。あとから「あのときどうしたの?」と聞いたら、「あまりにもカッコいい人たちが何人も集まってきてかたまってしまった!」とのことでした。あとで知ったのですが、フランスで消防士は大人気だそうです。たしかにあのとき集まってきた人たちかっこよかった!
 そんな感じで、私のはじめてのパリ旅行は楽しく終わって日本に帰りました。(つづく)

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