見出し画像

パリ、東京、行ったり来たり。(4)研修旅行

  2004年からパリでの拠点がF氏の家になったのですが、ちょっとしたことからすれ違いがあり、F氏との交流が一時途絶えてしまいました。
  F氏との仲もこれまでかと思っていた2005年、私は習い事の練習に励むことで、どうしてこんなことになったのかという後悔と悲しみをまぎらわせていました。
 そんな時に、当時住んでいた関東某県の研修旅行の募集を見つけました。これは、地域でボランティア活動をしている女性たちを対象に行っていた、県が主催する海外視察旅行でした。その昔、一般人(特に女性)が海外旅行に簡単に行けなかった頃からの名残のもので、全国的にはもう時代遅れの感じでなくなりつつあったのが、その県では長年知事が変わってなかったため存続していたということでした。毎年行く場所は変わるのですが、その年はオランダ、スウェーデン、フランスだったことと、前年まで50代以上が対象だったのが、たまたまその年から30代以上になり、私も応募出来ることがわかりました。しかもその旅行の費用は、住んでいる市町村が一部が負担してくれるし、県の視察なので普通は行けないようなところも見学できるということだったので、ますます行きたくなりました。何よりも、F氏との交流が途切れてしまってしょんぼりしていたし、もはや思い出の場所になってしまうかもしれないフランスに行けるならまた行きたいと思いました。
 しかし、視察旅行に行けるのは市町村から一人だけ。たいていは、長年地域でボランティア活動の代表をしているような50代くらいの人が選ばれることが決まっているようなものでした。30代から応募が出来るということになっても、私はボランティア経験もゼロ。面接もあるし、実際は選ばれるのは難しいだろうと思われました。それでも、こんな風にたまたま今年いろいろなことが重なって申し込みが出来るのだし、ダメ元で受けてみようと思いました。
  そんな感じで無謀とも言える応募でしたが、なぜか合格することが出来て、私は町の代表として研修旅行に参加することに決まりました。しかもラッキーなことに、私の住んでいた町は、旅行費用のうち自己負担分の半分を出してもらえるということでした。市町村によってその割合は違っていて、大抵のところではあまりたくさんはでていなかったので、派遣社員で不安定な経済状況だった私にとってはとてもありがたいことでした。
  そして出発まであと1週間となった頃、びっくりなことがなことが起きました。なんと、しばらく音沙汰なしだったF氏から突然メールがきたのです。内容は、「お元気ですか?最近どうしてる?」というようなことが、なんとなくおそるおそるっぽい感じで書かれていました。あとからF氏とその時のことを話したときに、数か月連絡をしていなかったし、もしかしたらメールアドレスも変わっているかもしれない、もう連絡がとれないかもしれないという気持ちでメールを送っていたということでした。私は連絡が途絶えるまえの気まずい出来事を思い出すよりも、この絶妙なタイミングでメールがきたことに驚いてすぐに返事をだしました。1週間後に出発しアムステルダム→ストックホルム→パリにいく予定だと。
 この研修旅行中にF氏に再会したことで、仲直りすることができたので、不思議な出来事だったなと思います。F氏がメールをくれたのがあと少しでも遅かったら再会はかなわず、仲直りも出来なかったかもしれません。
 研修旅行中は、自由時間もひとりでの行動は制限されていて(大人なのに!)実際はあまり自由ではなかったのですが、まわりの人の協力もあって短い時間ではあったけれどF氏と会うことが出来ました。
 アムステルダムもストックホルムもその時はじめて行って、楽しかったですが、最後がパリだったことがもちろん一番楽しみでした。私にとってはすでに何回目かのパリだったので、なんとなく慣れている感じもしました。とにかくこの旅行ついてのいろいろなラッキーな偶然が今につながるきっかけとなったのはまちがいないです。(つづく)

読んでいただきありがとうございます。よろしければサポートお願いします。いただいたサポートはひみつカフェポピーの活動に使わせていただきます。