私が救われたネタ


お笑いを見ていると、単に「面白かった」「たくさん笑った」というだけでなく、「なんだか救われた」と感じるネタに出会うことがある。

ここで言う「救われた」という感覚は、"沢山笑って気持ちが前を向いた"というよりは"自分の人生が肯定されたような気がした"というニュアンスの方が近い。

これから紹介するネタを見て同じように感じる人がもしいたら、きっと仲良くなれると思う。



①レッドブルつばさ「ディズニーランド」

このネタは「人に勧めるお笑い・コント編」という記事でも紹介した、本当に大好きなネタだ。

知人の言葉を借りて言うなら、レッドブルさんのネタは「クラスや社会の隅っこや下の方にいる人たちを、無理矢理そこから引き上げずにその場で輝かせてくれる」。

私自身、カースト上位の人々の顔色を伺いながら息を殺して生きてきた人間だ。
常日頃からこんな自分じゃ良くないよな、もっと"ちゃんと"して周りから邪険にされないようにしないとな…と思っていたところに、レッドブルさんのネタに出会って、自分の中で小さな革命が起きた。

レッドブルさんのネタの登場人物には、いわゆる「陽キャ」の目の敵にされてしまうような不器用な人々が多い。
そんな人たちが等身大の姿で、好きなように振る舞って、感情を露わにして、ネタの世界の中や客席に"受け入れられて"いる。
その瞬間は何度見ても楽しくて、同時に「こんな風に生きていてもこうして受け入れて笑って流してくれる世界もあるんだ」と思えるのだ。
しかも、"ネタは面白い"という大前提があるから、恐ろしい。

そんなレッドブルさんのネタの中でも、「ディズニーランド」はその極地だと思う。
自分の感情や「やりたい」を、自分の属性やヒエラルキーを理由に否定されないことって、こんなにも居心地が良くて安心するものなんだ…と気づかせてくれたネタだ。

本当にこんな世界があればいいよな~とは思うけど、今の世界線じゃなければこんな風にレッドブルさんのことを大好きになることはなかったと思うと、それはそれでもったいない気がしてしまう。

ネタの登場人物みたいな人が実際にいるかもしれない。
それに、レッドブルさんやお客さんの存在によって、そのような人でも受け入れてくれる人が実在することは実証されているのだ。
だからこそ、見る度に少しだけ世界のことを好きになることができる。


②永田敬介「漫談」

動画のタイトルになっている「漫談」をそのままネタのタイトルにして良いのかは全く分からない。し、むしろ良いとは全然思っていない。
でも、このネタを表現するために適切な語彙を、私は見つけることができない。

初めて見た時には、とにかく圧倒された。何がこんなに面白いのかよくわかってなかったけど、ひたすらずっと笑っていた。
見終わった時の得も言われぬ充足感となんとも心地のよい疲れは、他のネタでは全く経験したことのない感覚だった。
余韻から抜け出すのにしばらくかかってしまった。

このネタを言葉で説明しようとするのは物凄く野暮なので、とにかくまずは見てほしい。

オチの一言を聞いたとき、本当にそうだったら良いのにな、と割と本気で思った。


③ニモテン「オシャレなカフェ」

ちょっと前の若武者で見て、めちゃくちゃ胸がスッとしたネタだ。

スクールカーストの上位層ないし陽キャだった人は我々のようなカースト最下層ないし陰キャのことを下に見ている
という事実を嫌味なく示してくれて、こういう被害者意識みたいなものって感じててもいいんだ、陰キャがこういうことをするのって実は当たり前じゃなかったんだ、と思わせてくれた。
これまで抱えていたモヤモヤを代弁してくれたような気がした。

世間で陰キャが何か不満を言っても、ただの僻みに聞こえてしまったり、馬鹿にされてしまったり、そもそも相手にすらしてもらえない、ということがどうしても多いと思う。
それでも、このニモテンのネタには、「陽キャにこき使われる陰キャ」という構図をコミカルに表現していることによる面白さがある。
だから、陽キャがこのネタを見た時に「また陰キャが何か言ってらw」と鼻で笑うだけでは終わらないのではないかと思う。
それも私にとって一つの大きな"救い"なのだ。

ニモテンのネタは、オタクであるにしおさんを馬鹿にして笑ったり、オタクのある種の奇妙さを全面に押し出したりする、というだけには決して終始しない。
それが最もやりやすいネタの作り方のはずなのに、ネタの中で2人の関係性がどんどん入り乱れていく作りになっている。
ただの"キャラ漫才"で終わらないところが、物凄く好きなのだ。

あとこれは完全なる褒め言葉なのだが、最近コマゴメさん(ニモテンの陽キャの方)が、金髪に赤紫のスーツという物凄く嫌味な格好になっていて、非常に"良い"。


④ランジャタイ「くそったれ人生にさよならぽんぽん」

このネタ動画のコメント欄に
「これで笑えないときは心に余裕があって、めちゃくちゃ笑える時は心が疲れてるから、自分の精神状態を測るのにちょうど良い」
的なものがあって、本当にその通りだなと思った。

マジで自分の人生が嫌になったときに、ウザいぐらい明るい国崎さんが、「さよならぽんぽんヨガ」なるものをハイテンションで繰り広げる様子に、なんでかわからないけど本当に救われる。

精神状態に本当に余裕がないときの頓服薬として常備しているネタだ。


⑤ひかるぶんどき「生きてる」

最近、知人の影響でぶんどきさんのスペースをちょくちょく聞くようになったので、それをきっかけにYouTubeで見つけたネタがこれだ。
ラストでかなり覆された。
ぶんどきさんもこういう風に生きたいのかな、ってちょっと思ってほっこりする。

個人的に見るのに少し体力を使うネタなのだけれども、こんな人が生きてるってだけで救われる私もいるということは、紛れもない事実だ。


紹介したかったけどできなかったネタ


・ニモテンのキャッチのネタ(漫才)
・コーツが5月22日の煉瓦でやっていたネタ(漫才)
・ガクヅケの機関車トーマスのネタ(コント)

もしYouTube等で一般に公開されたら追記します!



本当にかなりお笑いに活かされているので、お笑いのある世界に生まれて良かったです。


2022.8.8追記

追記分を公開しました⤴︎⤴︎⤴︎

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