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夜の、生花売り場

父が寝静まった23時30分

母と2人で家を抜け出して
ドライブがてら深夜営業のスーパーへ。

私は深夜のスーパーの閑散とした空気が
ちょっぴり苦手だ。
怖いとさえ感じる。

そんな深夜のスーパーの店内はいつも
白光りした蛍光灯がこころもとなく周囲を
照らしていて薄暗い。

よく来る場所なのに夜は特別だ。
なんだか来てはいけない場所に踏み込むような
ドキドキ感を感じる。

だけど、唯一、いつもと変わらず
出迎えてくれるのが生花コーナーの花たちだ。

「あら、こんな遅くに珍しいわねこんばんは」

そうとでも言ってくれているかのような
安心感。

私自身が好き好んでいるということ以前に
花というのは本当に不思議で

不慣れな場所でも、緊張している場面でも
苦手な場所でも、感情が乱れている場面でも

スッと視界に入ってきては
落ち着きという酸素をくれる。


深夜の生花コーナーはいわば
道に迷った時にみつけた交番のような場所だ。

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