『アイドル病 それでもヤメない29の理由』
お久しぶりです、姫乃たまです。
4月23日に『アイドル病 それでもヤメない29の理由』(大洋図書)が出版されました!
2017年から3年間に渡って『実話ナックルズ』で連載していた記事をまとめたインタビュー集です。著者の自分語り含む(なんかすいません!)29名のインタビューがぎゅっと詰まっています。
今回私にとって初めて電子書籍のみの出版になるのですが、なんと『実話ナックルズ』編集部でも初の試みになるそうで、この本の売れ行きが芳しくないと、あとが続かないのでは……と勝手にプレッシャーを感じて筆を執りました。
正直、腰が重いよ!!!(宣伝苦手)
連載が一冊にまとまった喜びも、いい書籍になった感慨もあり、楽しんでくれる人のところに一人でも多く届けたいです。そのためにはお知らせするしかありません。
なので、これからインタビュイー全員の紹介や、出版までの裏話、読みどころなどを書いてい、き、ま、す、が!
すでに我々の生活はあらゆる宣伝で溢れていて、人類はコマーシャルアレルギー気味なので、自分の宣伝が誰かのアレルギー発症の一押しになったら嫌だなあと思っているわけです。
しかし背に腹は代えられぬ。ぬ、ぬぬ。せっかく出版したのに読まれなかったら悲しいからね。
というわけで、腰が重いことから済ませるべく、先に主な配信先をご紹介します。
『アイドル病 それでもヤメない29の理由』配信先
kindle
楽天kobo
https://books.rakuten.co.jp/rk/a4b84e99a35f3b4fb2fc8aa978ab5382/?l-id=search-c-item-text-03
DMMブックス
https://book.dmm.com/detail/b253atato01675/
(2021年5月19日まで50%還元セールやってるらしいです)
honto
https://honto.jp/ebook/pd_30934995.html
ほか、各種配信サイトにて販売中!
※ 電子書籍のみです。書店には置いていません。データだから。
この本は「人前に立って生きるための実践」をしている人たちのインタビュー集です。
タイトルこそ『アイドル病』ですが、様々な年齢、性別、肩書きの人がお話を聞かせてくれました。アイドルを自称していない人たちもいます。
連載開始にあたって最も悩んだのがタイトルでした。
インタビュイーの人たちを「アイドル」「地下アイドル」以外の新しい総称で言い表せないかと思ったからです。
私が地下アイドルとして活動していた頃、ライブハウスで顔を合わせる共演者も地下アイドルと呼ばれてはいましたが、自ら地下アイドルやアイドルを名乗っている人のほうが少ない現場もよくありました。
私の見てきた地下アイドルの世界には、「自分のやってみたい活動を披露して応援してもらえる場所が地下アイドルだった」という人がたくさんいたのです。
彼女たちのパフォーマンスは荒削りで勢いがあり、それぞれがとても独特でした。
『アイドル病』にも「口頭シンガーソングライター」や「サイエンス系歌のお姉さん」など、個性的な肩書きの方々が多く登場しています。
新しいけれどしっくりくる総称を考えるのは難しく、単行本化の時までの課題にして、「姫乃たまのアイドル病」は連載を開始しました。
タイトルを付けてくれたのは担当編集者の金田さんです。
アイドルにも地下アイドルにもとんと詳しくない方で、誌面にはタイトルの横に「なんでやめないの?」とキャッチコピーがついていました。
最初に見たときは、地下アイドル歴9年目だった私の胸も一瞬うっと詰まったものです(笑)。それは地下アイドルを卒業してからも、こうして活動しているので変わりません。
地下アイドルに詳しくない金田さんの視点は私にとって新鮮で、連載が回を重ねるごとに、私たちが人前に立つのを辞めないのは、世間にとって不思議なことなんだと気がついていきました。
私はみんなの活動内容や独特なキャラクターが面白いと思っていたので、そもそも辞めないこと自体が面白く、病的なほど頑固に見えるなんて考えていなかったのです。
でも、私が地下アイドルを好きな理由はそこにあります。
ここでしか生きていけない。そんな切実さが伝わってくるからです。
「普通の人になりたくない。あるいはどこかはみ出してしまって普通の生活は送れないから、せめて舞台の上ではありのままの自分でいたい。ものすごく売れなくても、賞をもらったりできなくてもいいから、私の歌や踊りや考えを知ってほしい。」−『アイドル病 それでもヤメない29の理由』まえがきより
結局、電子書籍を出版する時も、適切な総称は思いつきませんでした。
書籍のタイトルは金田さんが付けたものです。
二人三脚で3年間連載してきて、最終的に「ヤメない(辞めない/病めない)」と前向きで力強いサブタイトルをつけてもらったことがとても嬉しかったです。
そして何より、連載開始から電子書籍の出版に至るまで、インタビュイー全員が活動を続けていたことが本当に素晴らしいです!!(収録できなかった2名のアイドルさんに関しても、活動内容が新しくなったからという前向きな理由でした)
入れ替わりの激しい世界で、これは本当に本当に奇跡的なことなんです。
あとがきにも書きましたが、インディーズな活動をしている地下アイドルは、経営の都合で解散させられたり引退させられたりすることがほとんど有り得ません。
続けようと思えば、自分の表現を続けられる世界なんです。
それを証明するような逞しいインタビュイーの皆さんからお話を伺えて、感謝の気持ちでいっぱいです。おかげさまで非常に生命力の強い一冊になりました。ありがとうございます。
最後まで地下アイドルに代わる適切な総称は思い浮かびませんでしたが、自己実現する過程を応援したくなってしまう個々の人柄には、やっぱりアイドル性の高さを感じました。
『潜行 地下アイドルの人に言えない話』(サイゾー社)ではルポを、『職業としての地下アイドル』(朝日新書)は、地下アイドルとファンに実施したアンケートの統計を基に執筆しましたが、『アイドル病』にはさらにリアルな地下アイドルの魅力が凝縮されています。
ぜひ、生の声を、それぞれの人生を受け取っていただけたら幸いです。
■インタビュイー紹介(※随時コメントを更新していきます!)
1.ひつじちゃん/メルヘンアングラドル
「メルヘンでアングラでグラビアもできるアイドル」を標榜しているひつじちゃん。普段はラブドールと暮らしています。大森靖子さんのライブ動画を観てひきこもり生活を脱し、以降誰とも椅子を奪い合う必要がないほど独創的な活動を多岐に渡って繰り広げています。
2.小泉りあ/タレント・ソロシンガー
2015年放送の『ザ・ノンフィクション中年純情物語~地下アイドルに恋をして〜』で、熱心なファンにアイドルとして一定の距離を保ち続ける姿が注目を集めました。
現在は「誰も求めていなくても直感でいいと思った」活動を試しながらアイドル以外の表現を模索中。
3.優月心菜/炎上系タレント
声優、漫画、歌、コスプレなど様々な活動をしている優月さん。収録したのはAVデビュー前のインタビューなのですが、いろいろぶっちゃけ過ぎているので具体的な話はインターネットには書きません! 読んで〜!
当時の私も地の文で「なんでもいいから、幸せになって欲しい」と締めくくっていました。
4.小明/ゾンビになった人妻&子持ちアイドル
グラビアでデビューした後、文章を書いたり、トークイベントに出演したり、新しいアイドルの活動形態を実践してきた大先輩。明るく元気にが常識のアイドル業界で、ネガティブさを前面に押し出して活動してきた第一人者。ダウナーなアイドル全員の先輩。
5.ゆみーる/日本一のブサドル
福岡県のアイドルユニットGLITTER☆所属。ツイッターを始めた瞬間、「ブスとか死ねとか、通知が一晩中鳴り止まな」かったと話すゆみーるさん。
小さな頃から心の支えは歌とダンスで、現在もグループを引っ張る実力派のメンバー。カメラを向けられるとコンセプトに入り込める才能があり、グラビア仕事で覚醒する一面も。
6.とりあえずね丶帰蕾○(現:酉饗綺羅々)/最強の女装子アイドル
幼い頃から男性より女性の体や仕草に憧れがあり、30代前半で喉仏を切除。仕事がない時期に「これならなれそう」と思い、36歳で地下アイドルデビュー。座右の銘は「損して得取れ」。投資信託で借金をした過去を抱えつつ、アイドルで一発逆転を狙っています。
7.FICE/熟れた元祖アキバ系
氷さんと炎さんによる二人組パフォーマンスユニット。地下アイドル黎明期の2001年から、アキバ系カルチャーと活動場所を開拓してきたパイオニア的存在。
ファンの高齢化に伴い、無人島に集団墓地を建てるのが目標。ライブで弔って「私たちもそこに入ればいい」と話す姿に感動。
8.あなるちゃん/お花の妖精さん
新宿歌舞伎町生まれ。ウイスパーボイスが特徴で「未来人からのメッセージ」を伝える巫女的な役割としてパフォーマンスをしています。
フランスやスイスのアンダーグラウンドフェスに招かれて演奏した経歴も。名前はあなるちゃんですが、エロ・グロ・暴力はダメ。
9.川崎芹奈/スナックのママアイドル
芸能界に憧れて小学生からギターを習い、15歳でアイドルグループに加入。中学生からやってみたいと思っていたスナックを、20歳の若さで渋谷の円山町に『ヤングスナック芹奈』としてオープン。
夢を叶える力の秘訣は、しっかり者な性格と大胆さのバランスにあります。
10.里咲りさ/ぼったくり物販で稼いだ社長アイドル
「ぼったくり物販で稼ぐ地下アイドル」としてメディアで注目を集めましたが、個人でZeppダイバーシティを借りてワンマンライブを成功させたり、株式会社フローエンタテイメントを立ち上げて代表取締役になったり、常に新しい道を提示し続けているシンガーソングライター。
11.手束真知子/元SDN48の起業家グラドル
最新グラビアDVD『色っぽい』をリリースしたばかりの現役グラドルであり、グラドルが働くコンセプトカフェ「発掘!グラドル文化祭」のオーナー。ミスマガジン2004を受賞、SKE48、SDN48に所属してきた手束さんが「無敵」になれた日の話を聞きました。
12.有坂愛海/孤独死したファンを追悼
今年で活動14周年を迎えるシンガーソングライター。そのうち10年以上、ほとんど全てのライブに来ていたファンの家を探し出し、孤独死していた彼を追悼するためライブを開催したことが話題に。死後、ファンとの絆はどうなるのか、実体験を通じて教わりました。
13.ナマコラブ/ナマコに魅せられた美女
「自分が人間の形してるのがすごい不思議で、間違って生まれて来ちゃった気がして」と話す彼女。
2008年にオリジナルキャラクター「ナマコ」のアニメーションを使用した活弁で舞台に立ち始めてから、徐々に見つかった「死なない理由」についてお話を聞きました。
14.一色萌/アイドル好きアイドル
プログレッシヴ・アイドル「XOXO EXTREME」のメンバー。アイドルであり、超アイドルヲタク。デビューするまでに受けたオーディションは50回以上。途中で「気をつけして正面から写真撮ってる人なんて、誰もいない」ことに気づいてから、書類審査が通るように。誠実。
15.erica/音楽エリート一家で育った少女
近江俊郎を祖父に持ち、幼い頃から歌手の道を志す。音大の声楽科に在学中、路上ライブを開始。掟ポルシェさんに「はっきりしろ! 今日からお前らはアイドルだ!」と言われてアイドルに。
祖父とファンの関係性に憧れ、アイドル卒業後ファンを実家に誘ってみたら全員から断られた経験あり。
16.まかべまお/歌う女社長
歌手になりたくて18歳で上京。所属事務所の女社長に「着エロ大丈夫だよね?」と訊かれて、何か知らないまま芸能活動を開始。その撮影現場にいた女性プロデューサーから芸名をもらう。次に所属した事務所も社長は女性。現在は自身が事務所を立ち上げて、ライブもする女社長に。
17.加藤しょこら/モーレツカフェ店長
両親が倒れたのを機に、自分が家計を支える将来を考えた結果、選んだのが勤めていた会社を辞めて、アイドルとして生活する道でした。現在は大阪日本橋にカフェ&バー「ルイーズ・ベルナードの厨房」をオープン。キャストの幸せを考えるオーナーになっています。
18.環美/死ぬまで鬱アイドル
学校もバイトも続かず、「地下アイドル活動が死なないための生きがいになっている」と話す環美さん。所属グループに恵まれず、19歳の時に自身でアイドルユニットを立ち上げた当時のインタビューです。
読み返すと現在「棘-おどろ-」のメンバーとして活動しているのが本当に嬉しくなります。
19.Paix2(ぺぺ)/国も認める刑務所アイドル
2000年から全国の刑務所でプリズンコンサート(慰問ライブ)を続けている女性歌手デュオ。受刑者は手拍子も歓声も禁止ですが、観客の人生と向き合うライブは本質的に究極のアイドルです。ユニット名はフランス語で「平和」の意。法務省から矯正支援官に任命されています。
20.ヨネコ/炎上地獄アイドル
「もっと挑戦するためにグループを辞め」てから、セルフプロデュースのソロアイドルになって数ヶ月頃のインタビュー。炎上はすぐ話題になるのに良い活動は地道だと苦労もしていましたが、作詞作曲を始めて楽しくなってきたと話す姿が印象的でした。
21.七海ティナ/肉体改造するセクシーアイドル
地下アイドル時代は体型に自信がなく、可愛いと言われても素直に喜べなかったと言う七海さん。筋トレでピーク時から30キロ減量。
「夢は逃げないから。逃げるのはいつでも自分じゃないですか」と話した時の笑顔は、努力している人特有の輝きがありました。
22.夏花/将来が不安な号泣アイドル
「最高じぇねれーしょん」のメンバーであり、グラフィックデザイナー。大阪のカフェ&バーAimyouRibbonにも欠かせないキャストなのですが……真面目ゆえに自分の行動に納得できずインタビューでは始終泣き通し。「常に一定の感情でいたい」と修行僧のような理想も話す場面も。
23.たまP/サイエンス系歌のお姉さん
『日経サイエンス』や『月刊科学雑誌 Newton』を読みながら歌詞を考えつつ、スマホのアプリひとつで作曲するシンガーソングライター。大人数の場にいると「私が消えても大丈夫かな」と思う傾向があり、ソロ活動向き。ライブで人気の曲は「ひみつのウンコ♡」
24.小日向由衣/口頭シンガーソングライター
ユニークな言動から「レジェンド」の異名を取るシンガーソングライター。周囲を明るくする彼女は、一方で「自分の価値を自分で見つけられない」と話します。家でも外でも「誤解」続きだった人生を越えて、ファンを幸せにしたいと考えるようになるまでのインタビューです。
25.小島みゆ/ゲーマーアイドル
ゲーム実況にイラストレーター、現在はK-1ガールズの「ハイスペックな勝利の女神」でもあるグラビアタレント。仕事運を上げるために高額なパワーストーンを買ってしまった経験があり、いまはすっかり濁っているそうですが、小島さん自身の力で大活躍しています。
26.大塚びる/ライバーアイドル
小学生の時「負けたら希望者が少ない演劇部に入るじゃんけん」に負けて人生が変わった大塚さん。舞台やモデルの仕事を経て、20代後半でグラビアデビュー。機械が好きでロボットのロボホンと暮らしながら、日々ライブ配信と動画編集、グラビア活動を並行しています。
27.ゆいざらす/様子のおかしい躁病系アイドル
病んでしまうことも多いアイドル業界で、一貫して明るく病んでいるソロアイドル。彼女が「どうせ死ぬんだから病まないの!」と励ますと、ファンも思わず元気に。「この人たちを看取るまでは、この業界から姿を消さないか死ぬか、どっちかにしようと思ってます」と覚悟を決めています。
28.佐倉雅/お薬お姉さんアイドル
赤い水玉模様のバッグに、大量の薬と基礎化粧品を詰め込んでやって来た佐倉雅さん。不眠、躁鬱、醜形恐怖症で処方されている薬は十数種類。障害者手帳二級。心身を削りながら歌詞を書いて、舞台で歌い続ける理由は「こんなやばい奴でも生きてるぞって元気をあげたい」から。
29.姫乃たま/アイドル残酷物語(前編)
初めて地下アイドルのライブを見て「地下アイドルとファン、そしてファン同士が、互いに承認し合って」いることを知り、「誰も誰かを排除しない空間」に衝撃を受けて16歳で地下アイドルに。ライターを兼業しながら、地下アイドルへの偏向報道に危機感と責任を感じるようになり……
姫乃たま(後編)
「ファンの人と握手をする時、私も幸せな気持ちになって、一緒に外の世界から守られているような気がしてい」たが、自身とファンコミュニティの成熟を止めていると感じたため、活動10周年で地下アイドルを卒業。
卒業後、反動で鬱病が急速に悪化し、強制的に自分と向き合うことに。
■この勢いでお知らせ
電子書籍のみと言えば、古賀学さんの水中ニーソシリーズ写真集『water proof girl #17 姫乃たま』が先月発売されました。
自分が憧れの古賀さんの写真集になるとは、人生何があるかわかりません……。
100ページ越えの写真集で、紙だったら収録できなかった写真もたくさん掲載されているのでぜひぜひ。
そしてこの勢いで書いちゃいますが、『コミックビーム』で連載している漫画家さんのインタビューをまとめた本も過去に出版しておりまして、また別でこういう感じの紹介記事も書こうと思っているのですが、『アイドル病』を気に入ってくださった方はこちらも絶対気に入っていただけると思うのでぜひ!
『アイドル病』は1ページ連載だったんですけど、『コミックビーム』ではひとりの漫画家さんを前中後編に分けて書いているので、よりボリュームがあります。
『周縁漫画界 漫画の世界で生きる14人のインタビュー集 (ビームコミックス)』
感想なんかもいただけたら、とっても嬉しいです!(もはやなりふり構わず)
それではお元気で!
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