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ゆたかさって、他人を知ることから始まると思う

6/13(土)に、演劇サロンプロジェクトで私が主宰のひとりを務めるprologueの対話サロンがありました。

「演劇によって豊かになった自覚はあるけれど、実際なんで豊かになったんだ?」
そんな疑問からです。

私なりの「ゆたかさ」について考えてみました。
演劇文化が何千年も廃れずに続いた理由も、ちょっとだけわかった気がします。

「他人を知る」ということが快楽になっている

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私は他人に興味があります。
この新しい生活になる前からインドアだし付き合う友達も限られてるのに何言ってんだとも思うのですが
どうも私は他人に、それも思想に興味があるようです。

他人を知るためには、まず観察。
大学が渋谷に近かったため、何か用事を見つけては渋谷へ行き、多くの人通りがある道などでコーヒー片手に1時間以上ただただ歩行者を見つめる遊びをしました。

今時の量産系とはこんな感じなのだなとか
今日はこんな服装の人が多いな、何かライブがあるのかなどを調べてへー!!ってやるだけの趣味。
ちょっとだけ不審者なのですが、公園とかに場所を変えると雰囲気も変わって面白い。

けれど、観察したからといって声をかけられるわけでもなく。
なんとなく、こういう人が存在しているのだなと知るだけなのです。

友人と話すと、それはそれは多くの発見があります。
あの時こう思ってたんだよ、あの話を読んだ時こう考えたんだ。
そんな話を聞くのが大好きです。

私の友人はその手の話をよくしてくれる人なので(というかそういう人が好き)実はちょくちょくリサーチしてたりします。

自分にはない、外側の思想が私には大切な栄養になるのです。

演劇は他人を知るために効率が良い

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効率が良いなんて言うと非情に聞こえますが、そう言う意味ではなく
時々どうしても生ビールが飲みたい!よし鳥貴族へ行こう。みたいなのあるじゃないですか。あんな感じです。

私は幼い頃から演劇をしていて、もう人生の2/3演劇と共に過ごしています。
だからこそ気づけなかったんですが
他人の思想を知ることが必要な栄養素だった」んです。

演劇にはさまざまな種類があります。
多くの方が知る劇団四季さんは、ブロードウェイから作品を仕入れています。
思いつく演目は、だいたいブロードウェイ発信のものです。(私は四季オリジナルのユタと不思議な仲間たちが大好きです。)

私が身を置いている小劇場は、その多くの作品がオリジナル作品です。
様々な脚本家が様々な演出家、役者、スタッフと共に自己表現をする。
私はその世界が大好きなのです

小劇場に話を絞りますが
とても個性豊かな登場人物がでてくることが多いです。
様々な過去やそこから積み上げられた思想、そして今舞台で起きるその人の選択。
その生き様を観るのが、たまらなく快感なのです。

私にはない、私が今まで出会ったことのない人が
目の前で過去から積み上げられた思想をもとに選択をする。
私にとっては極楽以外の何者でもありません。

客席から様々な人を観察し
思想を知って見える世界を広げる。
その広がった世界の先には、まだ私の知らない未知の領域が無数に存在する。

こんなにワクワクすることないです。

知れば知るほど知らないことが増えて、
知ろうと思って手を伸ばし自分の中に吸収していく

私の心の世界はどんどん豊かになっていきます。

他人を知ることは、自分を理解することでもある

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私がやっていることは、結局他人を知ることで自分を理解することなんだと思います。

自分にはなかった、自分は知らなかったことを知る。
それは自分を広げるというよりも、自分の思想を理解することなのかなって。

prologueの対話を終えて、そんなことを思いました。

知らない世界を知ることで自分の世界を作り上げる。
自分の世界が豊かになるほど私は満たされて
きっと演劇の沼へこれからもどんどん沈んでいくのでしょう。

昨今の情勢で、演劇への風当たりは大変強くなったと思います。
不要不急の娯楽。確かにそうだなと思います。

けれど、他人を知り自分を理解することのできる演劇は少なくとも私にとっては必要なもの。

私が主宰する劇団Яealityの第5回公演に、こんな台詞があります。

「言葉と空白の境。物語は無数に存在している。
たくさんの物語があるけれど、そこには『一番』も『正解』も存在しない。
互いに干渉することなく、静かにそこにあるだけだ。」

この世の中に一番も正解もないんです。
演劇は崇高な芸術だから守るべきとか、
他の業界と比較して保護しろなんて思いません。

演劇は、誰かの生活や心の中に存在している無数の物語を表現しているだけ。
確かに作るのには時間がかかるし、利益が出るほど売り上げられる公演も多くはないと思う。

私たちひとりひとりの世界は
互いに干渉することなく、静かにそこにあるだけ。
干渉はしないけど、他の世界のいいところを取り入れたり考え方を知ったり。
優劣なんてないのです。

一番も正解もない大切で美しい世界。
私の知らない世界では、私の知らない壮絶な思いをしている人がいるかもしれない。演劇はそこに手を差し伸べられない。

せめて、美しい世界たちが幸せになれるように
ちょっとでも自分が楽になるように
演劇は前に進もうとしています。

演劇をやる目的は
「表現をすること」ではなく
「誰かの心をちょっとだけ開くお手伝いをすること」
だと思っています。

表現がゴールではなく
表現を見てくれた人の世界が豊かになることがゴール。

私の知らない世界が広がって、いつか私が知ることができたら。
こんなにワクワクすることないですよね?

いただいたお金は!!!全て舞台裏のためのお金にします!!!!殺人鬼もびっくり☆真っ赤っかな帳簿からの脱却を目指して……!!!